2022年6月18日土曜日

国民の痛みに無自覚の自公政権 共産党 消費税減税・賃上げ提案

 帝国データバンクの調査によると、食品主要メーカー105社の年内の「値上げ」計画(実施済み含む)は1万品目を突破し、平均値上げ率は13%に達するということで、この夏の食品値上げは春を超える規模で進む見通しです。

 岸田首相は15日の会見で「まさにロシアによる価格高騰だ」と強調しましたが、主要な理由はアベノミクスがもたらした極度の円安に拠るもので、ロシア侵攻のせいにするのはバイデンと同様(別掲記事参照)ゴマカシです。
 何よりも問題なのは、日本の食品値上げは「相対的に低い水準だ」(13日)と述べるなど国民の苦しみへの自覚がまったくなく、世界89カ国・地域で行っている最も効果的な対策である消費税(付加価値税)の減税を拒否しながら、それに代わる他の対策も皆無であることです。年金も予定通り4%も引き下げました。
 しんぶん赤旗が、「国民の痛み 無自覚の自公政権 物価高なのに賃金も年金も減 共産党 消費税減税・賃上げ提案」という記事を出しました。
 日刊ゲンダイも同じ趣旨の記事を出しましたので、併せて紹介します。
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国民の痛み 無自覚の自公政権 物価高なのに賃金も年金も減
共産党 消費税減税・賃上げ提案
                       しんぶん赤旗 2022年6月17日
 深刻さを増す物価高騰が参院選の大争点になってきています。岸田文雄首相は15日の会見で「まさにロシアによる価格高騰だ」と強調。アベノミクスがもたらした異常円安で物価高騰に拍車をかけている事実を隠し、日本の食品値上げは「相対的に低い水準だ」(13日)と述べるなど国民の苦しみへの自覚がまったくありません。世論調査でも多くの国民が首相の物価対策を評価せず、物価への対応を参院選で考慮すると答えています。


 帝国データバンクの調査によると、食品主要メーカー105社の年内の「値上げ」計画(実施済み含む)は1万品目を突破。平均値上げ率は13%に達し、値上げ幅も前月より広がっています。夏の食品値上げは春を超える規模で進む見通しです。

 首相の発言は、現に進行している事態を見ないだけではなく、日本が世界でも異常な「賃金の上がらない国」となっており、物価高騰が国民生活に特別に深刻な打撃を与えている自覚がまったくないことを示すものです。
 ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏のリポートによると日本の1人当たり名目賃金は1995年から2020年にかけて42%減少。この間、消費者物価は4%上昇し、実質賃金は約8%減少したことになるとして次のように記しています。
 「欧米などの先進主要国では、同期間の賃金上昇率が物価上昇率を上回り、実質賃金が大幅なプラスとなっているだけに、日本の賃金低迷ぶりは際立っている。また、我が国では、この間に社会保険料が大きく増加しているため、手取りベースの賃金はさらに減少している」
 岸田政権の物価対策は完全に逆立ちしています。消費税(付加価値税)の減税という世界89カ国・地域で行っている最も効果的な対策は拒否。物価高騰のもとで米独英仏などが年金を引き上げる中、年金を04%も引き下げるという異常な政策をとっています。

 日本共産党は、消費税5%への緊急減税や大企業が増やした内部留保への時限課税を財源とした実効ある賃上げ政策を提案。社会保障や教育の予算を経済力にふさわしく充実させることが健全な経済成長を実現する上でも大きな力となると主張しています。「冷たく弱い経済」から「やさしく強い経済」へ―参院選でそのための諸提案の実現を迫ることがいよいよ切実な課題となっています。


庶民の苦しみはロシアのせいか この国は首相も日銀総裁もイカれている
                         日刊ゲンダイ 20226/ 17
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 庶民を苦しめている物価高に対する岸田首相の認識にはア然だ。来週22日公示の参院選(7月10日投開票)に向け、16日、自民党本部で開いた全国幹事長会議の場で、「ロシアのウクライナ侵攻により、世界規模の物価高騰で国民の暮らしと仕事は大変不安な状況にある」と、物価高はロシアのせいだと発言したのだ。
 15日記者会見でもそうだった。「ロシアによるウクライナ侵略が世界各国で国民の懐を直撃している。まさにロシアによる『有事の価格高騰』だ」と断言していたが、違うだろう。この世のすべての“悪事”はプーチン大統領のせいにすればいいとでも思っているのか。自らが招いている問題ではないとの逃げは見苦しい。
 確かにウクライナ戦争で小麦やエネルギー価格が上昇しているが、より大きな問題は、24年ぶりの1ドル=135円台を付けるような「超円安」である。それは、アベノミクスの異次元緩和を継続することによって拡大する日米の金利差が招いているもので、決してロシアのせいではない。
 8%を超える歴史的な高インフレとなっている米国では、FRB(米連邦準備制度理事会)が15日、通常の3倍となる0.75%の大幅利上げを決めた。「金融引き締めで、なんとしてもインフレを止める」という中央銀行の強い決意の表れだ。しかし、これで日米の金利差はさらに広がる。円安がますます加速するのは確実で、1ドル=140円や150円が現実味を帯びる。だが、日本の中央銀行の黒田日銀総裁はインフレ対策のための利上げに動こうとはしない。
「金融緩和を粘り強く続けることで、経済をしっかりサポートする必要がある」--。黒田はこう繰り返し、自らが推し進めてきた金融緩和政策の失敗を絶対に認めない。そんな黒田を岸田は擁護する。おとといの会見でも、日銀の金融政策について「引き続き物価安定目標を持続的、安定的に維持するため、努力を続けてもらうことを期待している」と発言。黒田緩和による円安加速を事実上、容認したのだから、ロシアのせいじゃなく、やっぱり「岸田インフレ」なのである

本気度が伝わらない
 そのうえ、岸田が打ち出した物価上昇対策も期待外れ。「物価・賃金・生活総合対策本部」を立ち上げ、21日に初会合を開くというが、参院選向けの“やってる感”アピールの臭いがプンプンして、即効性に欠ける。
 具体的には、「国際価格が2~3割上昇している小麦について、10月以降も輸入価格が急騰していれば必要な措置を講じ、パンや麺類などの価格高騰を抑制する」「飼料の高騰対策として官民による基金から生産者に補填金を交付し、肉やソーセージなどの価格上昇を抑制する」「秋に向けて肥料高騰に手を打ち、農産物の生産コストを最大1割引き下げる」という。今すぐ物価が下がるというものではないし、生産者や業者向けの対策で、消費者の生活を直接支援するものでもない
 岸田は「賃上げと投資を進めることで今の物価高騰に結果を出していく」と、物価上昇を上回る賃上げや投資に重点を置く姿勢も見せているが、30年間賃金が上がらないこの日本で、すぐに結果が出るわけがなく、庶民生活はカツカツで投資に回せる余裕資金なんてない。口では岸田は「断固として国民生活を守り抜く」なんて言っても、むなしく言葉が躍るだけなのだ。
 経済評論家の斎藤満氏が言う。
「岸田政権から物価高対策への本気度が伝わってきません。円安対策こそが物価高対策の一丁目一番地です。諸悪の根源である日銀になぜメスを入れないのか。政府が物価抑制を目指す一方で、日銀は継続的な価格転嫁による持続的な物価上昇を目指している。『日銀の独立性』でごまかしていますが、政府・日銀が一体となって物価高対策に臨むのではなく、逆方向の股裂き状態なのですから、効果が出るはずありません。目立って高騰しているものに部分的に補助金を出すなど、絆創膏を貼るようなミクロな対策では埒があかない。大幅利上げした米国のようなマクロな対策が急務です」

「安いニッポン」こんな貧しい国に誰がした
 物価高について岸田が「欧米よりマシ」と胸を張るのにも呆れるしかない。
 15日の会見でも、こう強調していた。
「ウクライナ侵略後のガソリン価格の値上がり幅で見ると、日本は欧米各国に比べ、半分程度の水準にとどまっています」「電気料金については、ロシアからのパイプライン供給への依存度の高い欧州の消費者は、3割から5割の値上げに直面しています。我が国は家庭用電気料金の上昇幅を欧州の3分の2程度に抑えています」
 物価高騰は世界的な潮流だが、欧米と日本が決定的に異なるのは、欧米は物価上昇とセットで賃金も上昇していることだ。いまや多くの国民が知るところとなったOECD(経済協力開発機構)の平均賃金比較データをあらためて見ると、1997年を100とした2020年の平均賃金は、米国が206へ倍増、英国190、カナダ184、独159、仏158、伊142。各国が総じて大幅増となっているのに、日本だけは93に下落している。
 物価が上昇しても、賃金が上がっていればまだマシ。賃金が上がらない日本は、わずかの物価上昇だって、庶民生活を直撃することは誰だって分かる。
 通貨の相対的な実力を測る「実質実効為替レート」は、50年前の水準まで下落した。国際決済銀行の試算によると、今年1月時点の日本円の「実質実効為替レート」は「67.55」と、1972年6月の「67.49」以来の低水準だった

献金目当てで大企業優遇
 まさに「安いニッポン」。こんな貧しい国に誰がしたのか、と言えば歴代自民党政権だ。「今だけ、カネだけ、自分だけ」の自民党の悪政によって、マトモな経済成長は蔑ろにされた。
 規制緩和の名の下に非正規雇用を増大させ、賃金上昇を抑制。株価至上主義のアベノミクスで格差をさらに拡大させ、官製相場と異次元緩和という麻薬が国力低下を加速させた。金融緩和による円安誘導策は輸出企業を潤し、株高を演出したが、為替差益だけで儲けられるため、産業界はあぐらをかき、設備投資もロクにせず、内部留保だけがブクブクと膨張。国際競争力を失ってしまった。
賃金が30年間上がっていないというのは異常です。しかし、時間をかけてジワジワと国際的地位の低下が進んだので、茹でガエルのように気が付かなかった。政治家がセンシティブに国民の状況に目を光らせていればもっと早く対応できたものを、『円安なら大企業が儲かるからいいじゃないか』とばかりに大企業のご機嫌取りをして、法人税も下げた。そうして国民生活はどんどん貧しくなっていったのです」(斎藤満氏=前出)
 今度の参院選の公約で野党は物価高対策として消費税減税や消費税廃止を掲げたが、「消費税を触ることは考えていない」とかたくなな岸田自民は消費税減税を完全否定。しかし世界を見渡せば、日本の消費税に当たる付加価値税の減税を実施・予定している国が89カ国もある。なぜ日本ではやれないのか。ガソリン高騰対策で補助金を与えた石油元売りを最高益で潤わせるだけで満足してもらっちゃ困る。
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「岸田政権がやっている物価高対策は企業支援策であり、家計を直接助けるという発想は自民党にはありません。なぜなら、スポンサーとして献金をしてくれる大企業にしか目を向けていないからです。大企業優先の政治でも選挙に勝ってきているので、今度の参院選も『楽勝できるだろう』と庶民は見くびられている。国民の側がしっかり異議申し立てをしなければ、この国は今まで通りで何も変わらず、衰退していくだけです」
 自民党政権が続く限り、貧者はむしり取られるだけ。有権者はよく噛みしめて参院選に臨むべきだ。