2024年6月29日土曜日

キッズドアが困窮子育て家庭向けアンケート結果を発表

 困窮家庭の子どもたちの支援活動を続けている認定NPO法人キッズドアが26日、記者会見し、困窮子育て家庭向けに実施したアンケートの結果を発表しました。

 小中学生の子どもを抱える保護者に「夏休みの長さ」について尋ねたところ、「今より短い方がよい」と「なくてよい」を合わせた回答が6割を占めました。夏休みの廃止や短縮を希望する理由の上位は、「生活費の増加」「昼食準備の手間や時間」「子どもに特別な体験をさせる経済的余裕がない」「給食がなく、子どもが必要な栄養を摂れない」でした。
 物価高騰に関しては「昨年同期と比べて家計の変化」は、「とても厳しくなった」が最多の8割、「やや厳しくなった」の回答も合わせると、98%の家庭が家計の悪化を実感しています。物価高による子どもの成長や健康状態への悪影響にかんしては、「風邪などにかかりやすい」「体重が増えない」「身長が伸びない」などの問題が顕在化しています。
 自由記述では、「何もかもが高くなった上に、賃金が上がらず生活がどんどん苦しくなっている。小学3年の長男も、熱があっても身体がきつくても、我慢して隠すようになってしまった。私が仕事を休む事になると給与が減る、生活が大変になる、と遠慮して『言えない』と言われてしまい、辛い」といった回答がありました。
 レイバーネット日本が報じました。
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NPO法人キッズドアが困窮子育て家庭向けアンケート結果を発表
                  竪場勝司 レイバーネット日本 2024-06-27
「夏休みはなくてよい」〜物価高騰が困窮子育て家庭を直撃
  竪場勝司
 困窮家庭の子どもたちの支援活動を続けている認定NPO法人キッズドア(渡辺由美子理事長)が6月26日、東京都内で記者会見し、困窮子育て家庭向けに実施したアンケートの結果を発表した。小中学生の子どもを抱える保護者に「夏休みの長さ」について尋ねたところ、「今より短い方がよい」と「なくてよい」を合わせた回答が6割を占めた。給食がなく、子どもが家にいることにより、生活費の負担が重くのしかかっているとみられる。また、物価高騰が続くことで、困窮家庭の生活がますます苦しくなっている実態も明らかになった。

「夏休みはなくてよい」が13%
 アンケートはキッズドアの支援を受けている家庭の保護者を対象に、インターネットを利用して今年5月下旬から6月初旬にかけて実施、1821人から回答があった。回答者の9割が母子世帯で、世帯の年間所得は200万円未満の家庭が5割以上を占めた。
 「夏休みの長さ」の質問に、「今より短い方がいい」との回答は47%、「なくてよい」は13%だった。会見で渡辺理事長は「『夏休みはなくてよい』との答えが1割以上あったのは衝撃的だった」とコメントした。夏休みの廃止や短縮を希望する理由の上位は、「生活費の増加」「昼食準備の手間や時間」「子どもに特別な体験をさせる経済的余裕がない」「給食がなく、子どもが必要な栄養を摂れない」だった。具体的には「長期休みが明けると、家族で旅行に行った友達とかの話を聞いてきて、羨ましそうにしているので、格差を感じる」といった声があった。

物価高騰が家計や子どもの成長に深刻な影響
 物価高騰に関連した質問で、「昨年同期と比べての家計の変化」については、「とても厳しくなった」が最多の8割、「やや厳しくなった」の回答も合わせると、98%の家庭が家計の悪化を実感しているという結果だった。
 物価高による子どもの成長や健康状態への悪影響にかんしては、「風邪などにかかりやすい」「体重が増えない」「身長が伸びない」などの問題が顕在化し、低所得の家庭ほど深刻な状況が明らかになった。年間所得100万円未満の家庭では「子どもが健康診断で栄養不良や肥満・やせ傾向を指摘された」との回答が18%にのぼった。
 自由記述では、「何もかもが高くなった上に、賃金が上がらず生活がどんどん苦しくなっている。小学3年の長男も、熱があっても身体がきつくても、我慢して隠すようになってしまった。私が仕事を休む事になると給与が減る、生活が大変になる、と遠慮して『言えない』と言われてしまい、辛い」といった回答があった。

緊急提言、困窮子育て家庭に現金給付を
 今回のアンケート結果をふまえて、キッズドアでは「困窮子育て家庭を危機から救うための緊急提言」を発表した。提言は ①夏休みを迎える困窮子育て家庭に現金給付を ②困窮子育て家庭の体験格差を埋める支援を ③年収300万円未満の困窮子育て家庭へ緊急の支援を ④困窮子育て家庭にも賃上げを、の4つ。
 ①に関しては児童1人あたり5万円以上の給付を、④に関しては全国一律で最低賃金を100円以上のアップを、それぞれ求めている。緊急提言に関しては、こども家庭庁、厚生労働省、文部科学省にそれぞれ申し入れを行なう予定だ。
 渡辺理事長は会見で「一律支援ではなく、本当に困っている方たちに手厚く支援をしていくことが必要だ。日本の社会は『1億総中流』ではなくて、格差社会の中で下の階級の方たちがいらっしゃるということを認識することが、非常に重要だと思っている」と語った。
 キッズドアでは、困窮子育て家庭の1日分の食費は「一人300円」にすぎず、「週に2回は夜ご飯も、納豆か、ふりかけだけ」といった家庭もある、として、「夏休み緊急食料支援」のクラウドファンディングを実施中。3000万円を目標に、7月31日まで市民から協力を求めている。詳細は https://kidsdoor.net/news/news/20240606.html へ。

名古屋でガザ停戦求める定例の日曜デモ/ガザ ガレキに埋もれたままの子どもが4千人 ほか

 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
・日本動け 声一緒に. 若者が注目、デモ隊にカメラ 名古屋 ガザ停戦求める日曜デモ
 昨年10月から続くイスラエルによるガザ地区でのジェノサイド開始直後から停戦を求め続けてきた「ガザ緊急アクションなごや」が23日、名古屋市中区で定例の日曜デモを実施しました。
・がれきに埋もれたまま4000人 親を喪失1万7000人 ガザの子 辛苦
 イスラエル軍が昨年10月にガザ地区に侵攻して以降、今年2月時点で子どもの被害について国連機関やガザ保健当のデータをもとに分析すると、少なくとも約1万7000子どもが親を失ったり、親から引き離されたりしました。また約4000人の子どもがイスラエルの攻撃で崩壊した建物のがれきの下に埋もれています。国際人道団体セーブ・ザ・チルドレンが24日に推計を発表しました。
イスラエルが「偽情報を拡散」 国連総長が非難
 グテレス国連事務総長は24日の記者会見で、同氏が「ハマスを支持している」という虚偽の情報をイスラエルが拡散していると指摘し、同国を非難しました
 氏は「私はこれまでにハマスを102回非難したことがあり、そのうち51回は公式な演説のた」と強調。「真実は、最後には必ず勝利する」と述べました。
 イスラエルは自分たちが不利になる事柄については、恥も外聞もなくあらゆる場面ですぐにばれるニセ情報をバラまいています。
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日本動け  一緒に 若者が注目、デモ隊にカメラ 名古屋
 ガザ停戦求める日曜デモ
                         しんぶん赤旗 2024年6月26日
 昨年10月から続くイスラエルによるパレスチナ・ガザ地区でのジェノサイド(集団殺害)。開始直後から停戦を求め続けてきた「ガザ緊急アクションなごや」が23日、名古屋市中区で定例の日曜デモを実施しました。
 今にも雨が降りそうな天候のなか、「今すぐ停戦」や「誰もころすな」と書かれたプラカードを掲げた80人の市民が栄の繁華街を歩きました。「(ガザヘの)支援を止めるな、日本は勣け」「声をあげよう、一緒に歩こう」などと声をあげました。
「イスラエルがやっていることに対し、市民として黙っているわけにはいかないとの義務感で参加している」という自営業の福岡三郎さん(50)は昨年から日曜デモに参加し続けています。
 偶然デモに遭遇し、歩道から携帯カメラを向けていたインドネシア出身で市内在住のイワヤン・ディタ・ヘリアワンさん(27)は、「ガザの子どもたちは学校にも行けず、食べ物も不足している。イスラエルはパレズチナを解放してほしい」。
 デモ隊の先頭で「イスラエルは虐殺やめろ」と書いた横断幕を持って歩いた愛知県日進市在住の60代女性は「自分の周りにガザに関心を持っている人が少ない。ガザの人たちだけで解決できる問題ではないので、ひとりでも多くの人に関心を持ってほしい」と語りました。


がれきに埋もれたまま4000人 親を喪失1万7000人 ガザの子 辛苦
                         しんぶん赤旗 2024年6月26日
 イスラエル軍が昨年10月にパレスチナのガザ地区に侵攻して以降、今年2月時点で、少なくとも約1万7000人子どもが親を失ったり、親から引き離されたりしました。また約4000人の子どもがイスラエルの攻撃で崩壊した建物のがれきの下に埋もれています。国際人道団体セーブ・ザ・チルドレンが24日に推計を発表しました。

国際人道団体推計
 国連機関やガザ保健当のデータをもとに子どもの被害を分析しました。
 発表によると、ガザ地区内の集団墓地からは、拷問された痕跡がある子どもたちの遺体が発見されています。また正確な数は特定できないものの、イスラエル軍に拘束されて強制的にガザから遅れ去られて万方不明になっている子どもたちもいます。
 これらとは別に、殺害された子どもは1万4000人以上。ぞの約半分は、攻撃の影響で原形をとどめないほど遺体が傷ついており、全員の身元は特定できていません。
 セーブ・ザ・チルドレンは「停戦こそが紛争から子どもを守る唯一の方法だ」と強調。ジェレミー・ストーナー中東地域局長は「ガザは子どもたちの墓場になっている。独立した調査を行い、責任者を追及しなければならな」と指摘しました。
 同団体は、推計発表にあたってイスラエルに対し、赤十字国際委員会、国機関、独立した人権専門家によるガザ訪問と現地調査、家族再会への支援を認めるよう求めました。また全当事者に国際人法や国際人権法の順守を要求し、違反した者の責任を問うことを呼ぴ掛けました。


イスラエルが「偽情報を拡散」 国連総長が非難
                         しんぶん赤旗 2024年6月26日
【ロイター】グテレス国連事務総長は24日の記者会見で、「(同氏)ハマスを支持している」という虚偽の情報をイスラエルが拡散していると指摘し、同国を非難しました
 グテレス氏は「同じ出どころから何度も、私がハマス歌一度も非難したこ泡がないとする主張を耳にしている」と指摘。「私はこれまでにハマスを102回非難したことがあり、そのうち51回は公式な演説のでた」と強調。「真実は、最後には必ず勝利する」と述べました。
 イスラエルのエルダン国連大使は、グテレス氏の発言は「実際の行動と比べて口先だけだ」と反論しました。

人質司法の罠 冤罪の温床を問う(しんぶん赤旗)

 日本はこれまで国連拷問禁止委員会から2007年以降4回に渡って代用監獄制度、取り調べ方法、人質司法などについて改善勧告を受けています。しかし最新の勧告が23年9月に出されたことから見て 少なくとも17年間にわたって殆ど改善が見られていないことが分かります。
 そうした大欠陥のそれぞれが冤罪を生む要因になっていますが、なかでも犯罪を自供しない限り延々と留置場に拘留されるという人質司法の在り方は人権侵害の極みであって、当人が一家の主要な働き手である場合 家族が生活費に困窮することになるため、無実であっても官憲の求めるまま罪を背負った上で釈放されることを選択するしかありません。
 先進各国の有罪率が70%ほどであるのに対して日本の刑事訴訟での有罪率が99・9%という、常軌を逸した数字になっているのは、そんな人権無視の悪慣習が背景にあるからと思われます。この責任は検察(と警察)だけでなく司法(裁判所)が等しく負うべきでしょう。
 しんぶん赤旗が「人質司法の罠」とするシリーズ(不定期掲載)を始めました。

 2016年、名古屋市白龍町の奥田さん(67)は、地元で強行された高層マンション建設工事の見守り中に 目の前にいた現場監督が倒れ、奥田さんに「突き飛ばされた」と110番通報され、愛知県警に逮捕されました
 取り調べの警察官からは「おまえがやっとる姿がビデオに映っと」と執拗に言われました。留置場は3畳の2人部屋で正面入り以外の3面は壁の薄暗い部屋で、いびきがうるさいと同部屋の男性に蹴られまし
 しかし仮に突き飛ばしたにしても微罪なので勾留から14日で保釈されましたが、後に工事現場の監視カメラ映像には突き飛ばすシーンなどはないことが明らかにされました。
 警察官が、被疑者との軽い身体的接触であえて転ぶなどして、公務執行妨害罪の名目で逮捕する手法は「転び公妨」と呼ばれます。現場監督の行為はそれを連想させます。

 それとは別に、出版大手KADOKAWAの角川歴彦元会長(80)が無罪を主張するほど身柄拘束が長引く「人質司法」によって226日拘留され精神的苦痛を受けたとして国に2億2000万円の損害賠償を求める「角川人質司法違憲訴訟」を27、東京地裁に起こしました。心臓に持病を抱える角川氏は、接見中に数回、意識を失うなど、東京拘置所で体調悪化させました。保釈を求めても検察が反対し、5度目の保釈請求でようやく保釈となりましたが、体重が9キロ減り車いすで拘置所を出ました。
 提訴後の会見で、代理人の村山浩昭弁護士は「この裁判は刑事裁判と全く別の訴訟。この裁判の目的は、国際的に批判を浴ぴている人質司法をつぶさに論証し、制度改善、運用改善を求めることが目的だ」と述べました。角川氏は「こうした人権侵害に裁判が起こされてこなかったことが私には信じられない。何万人といるだろう人員司法の屈辱を受けた方々と経験を共有していきたい」と語りました。
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人質司法の罠 冤罪の温床を問う
「認めろ」圧力 24時間 白龍町の奥田恭正さんの場合
                        しんぶん赤旗 2024年6月28日
 「現行犯逮捕」で手錠をかけられ、警察署に連行された奥田恭さん(67)=名古屋自分は突き飛ばしてないんだから、すぐ帰れるだろう」と思っていました。

「本当は俺が・・・」
 取調べのたびに、警察官は「おまえがやっとる姿がビデオに映っとる」と繰り返しました。一方で、その映像を見せることはありません。「洗脳じゃないけど、『ひょっとして俺は本当はやったんじゃないか』と思うこともあった」(奥田さん)
 勾留されたのは、警察署内の留置施設。3畳の2人部屋でした。便器があり、排せつも食事もそこで済ませます。正面入り□が鉄錠門で、あとの3面は壁の薄暗い部屋。「いびきがうるさいと、同部屋の男性に蹴られた」と奥田さんは振り返ります時計もテレビもありません。部屋を出られるのは洗面所を使う時など限られました。
 奥田さんの心配は、「自分がいなくて、経営する薬局が回るのだろうか」ということ。
 連日、接にくる妻に、やってほしい仕事を伝え、取引のある医師への状況報告を頼みました。
「こうして勾留されている間に、私の生活基盤がごづそり無くなるんじゃないかと怖かった
 10日目。検察は、奥田さんの勾留延長を申請しました

たまらず「示談」
 裁判所が延長を認めたとを知った奥田さんは「示談でもなんでもいいから、早くここから出してくれって、たまらず弁護に頼みました」。
 談をすることなく、容疑を否認したまま、勾留から14日で保釈されました
「取り調べがなくても、そこに留め置かれるだけで、『罪を認めろ』「取り調べがなくても、そこに留め置かれるだけで、『罪を認めろ』と圧力を24時間受け続ける感じだった」
                                   (矢野昌弘)

 

奥田恭正さん

 名古屋市瑞穂区で3軒の薬局を経営2016年、地元で強行された高層マンション建
設工事の見守り中に、目の前にいた現場監督が倒れ、「(奥田さんに)突き飛ばされ
た」と110番通報され、愛知県警に逮捕されました(白龍町事件)。名古屋地裁は
18年、工事現場の監視カメラ映像と現場監督の証言の食い違いを指摘し、無罪判決を
出し、確定していま。奥田さんは同年に国・県などに不当な逮捕・起訴についての損
害賠償と、警察が保管する個人データの抹消を求める民事裁判を起こし、22年に名古
屋地裁は警察庁がデータベース化して保管する指紋、DNA型、顔写真のデータ抹消を
命じました。

 

 「大川原化工機事件」や袴田巌さんの冤罪(えんざい)事件などからは、容疑を認め
なかったり黙秘する人を捜査機関が身体拘束し、すぐに解放しない「人質司法」の弊帯
が浮き彫りになっています。捜査機関の遼捕状請求や勾留延長安易に認める裁判所や、
逮捕起訴された時点であたかも犯人視″する報瀧のあり方も問われます。各地で起き
た事件を基に人員司法の″窟(わな)″について考えます。(随時掲載)



国際的批判の人質司法論証 角川氏違憲訴訟起こす
                        しんぶん赤旗 2024年6月28日
「身体拘束の中で自白の『半歩』手前のところまで追い詰められた」無罪を主張するほど身柄拘束が長引く「人質司法」によって精神的苦痛を受けたとして出版大手KADOKAWAの角川歴彦元会長(80)が国に2億2000万円の損害賠償を求める「角川人質司法違憲訴訟」を27、東京地裁に起こしました。
 また日、スイスのジュネーブにある「国連人権理事会恣意(しい)的拘禁ワーキンググループ」に通報しました。

 角川氏は、東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件の贈賄容疑で、2022年9月14日に東京地検特檀那に逮捕されました。月に起訴されましたが、今も公判前整理中で、刑事裁判の初公判禾定です。
 訴状などによると、無実を訴えた角川氏の勾留23年4月27まで226日に及び
ました。心臓に持病を抱える角川氏は、接見中に数回、意識を失うなど、東京拘置所で体調が悪化。拘置所内では対症療法だけだったと主張しています。23年2月には、医務室の医師から「角川さん、あなたは生きている間はここかられまぜんよ。死ないと出られません」と言われたといいます。
 保釈を求めても、検察が反対し、5度目の保釈請求でようやく保釈となりました。体重が9キロ減り、車いすで拘置所を出ました。

 角川氏と弁護団は「二度と同じような悲劇を生まないための公共訴訟」と位置づけています。提訴後の会見で、代理人の村山浩昭弁護士(元静岡地裁裁判長)は「この裁判は刑事裁判と全く別の訴訟で、ここで無罪を主張する気はない。この裁判の目的は、国際的に批判を浴ぴている人質司法をづぶさに論証し、制度改善、運用改善を求めることが目的だ」と述べました。
 角川氏は「こうした人権侵害に裁判が起こされてこなかったことが私には信じられない。何万人といるだろう人員司法の屈辱を受けた方々と経験を共有していきたい」と語りました。
 角川氏は、賠償が認められた場合は、拘置所医療改善のために寄付するとしています。

政権追い詰めた共産党の論戦 通常国会150日(3)(4)

 しんぶん赤旗の連載記事「政権追い詰めた共産党の論戦 通常国会150日」の(3)(4)を紹介します。

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政権追い詰めた共産党の論戦 通常国会150日(3)
 自民党経済政策の破綻 法人税引き下げは失敗
                        しんぶん赤旗 2024年6月27日
「(新たな経済成長への)移行の兆しは明確になっている」―。岸田文雄首相は通常国会が事実上閉会した21日の記者会見でこう強調しました。
 しかし、4月の実質賃金は前年同月比25カ月連続マイナスとなり、過去最長を更新。物価高騰に賃金や年金が追い付かず、個人消費もリーマン・ショック以来の4半期連続マイナスです。

「選挙目当て」だ
 岸田首相が物価高対策の目玉に掲げた、1人あたり4万円の所得税・住民税の定額減税も、6月の世論調査で「評価しない」が7割(「毎日」)に上ります。給付は1回きりなうえ、複雑で不公平な制度となり、「選挙目当て」の政策だと見透かされています。
 岸田首相が「減税」の恩恵を示そうと、従業員などの減税額を給与明細に記載するよう求めたことも、自治体や企業の大きな事務負担となりました。批判が広がるなか、この問題をただした日本共産党の小池晃書記局長に、政府は減税額の記載がなくても罰則はないと答弁。自営業やフリーランスの配偶者と親族が減税対象から外された問題では、田村貴昭衆院議員や小池氏の質問、全商連などの運動で、政府から調整給付を行うとの答弁を引き出しました。
 一方、論戦を通じ長期の経済停滞「失われた30年」をもたらした自民党の経済政策の破綻ぶりも浮き彫りに。
 田村智子委員長は、財界の求めに応えた法人税率引き下げ政策について、2024年度の与党「税制改正大綱」が、「賃金や国内投資は低迷」し、「累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかった」と認めていると追及(3月5日、参院予算委員会)。岸田首相は「企業収益が投資や賃上げに振り向けられてこなかった」と失敗を認めました。
 また、「物価に負けない賃上げ」を掲げながら、大もうけの大企業には減税、6割が赤字の中小企業には効果が薄い「賃上げ減税」に固執。田村氏は、大企業の内部留保の一部に課税して中小企業に賃上げの直接助成をするよう迫りました。

負担を押し付け
 岸田首相が「前例のない規模で抜本的な強化を図る」として成立させた、子ども・子育て支援法も「看板倒れ」です。財源は社会保障費の歳出改革や医療保険料に上乗せする「支援金」などでまかない、高齢者の医療費窓口負担増や介護保険の利用料負担増など、新たな国民負担を押し付けます。
 宮本徹衆院議員の事務所は、会社員などが加入する被用者保険と比べ、非正規雇用労働者やフリーランスなどが加入する国民健康保険料では、同じ年収でも「支援金」の負担額が2倍以上になると試算。高橋千鶴子議員の「(支援金の財源を)なぜ社会保障改革でのみやりくりするのか」との質問には、内閣官房内閣審議官から「(社会保障関係以外の歳出改革は)防衛力強化のための財源として整理されている」との答弁が飛び出しました(3月13日、衆院特別委)。「大軍拡」と子育て支援が両立しないことが明確になりました。
 しかも岸田政権の子育て支援策には、高等教育の無償化などはありません。こうしたなか、東京大学が授業料の約10万円の値上げを検討するなど学費値上げの動きが強まっています。吉良よし子議員は東大の学生自治会アンケートで9割の学生が値上げに反対しているとして、運営費交付金や私学助成を増やし、全ての大学の学費の値下げを迫りました。(6月4日、参院文教科学委)
 岸田首相が、最も人手不足が深刻な訪問介護の基本報酬を引き下げたことで、訪問介護事業所の倒産が過去最多を更新する事態も生まれています。小池書記局長や倉林明子参院議員は、報酬引き下げの撤回を要求。介護報酬を引き上げても保険料に跳ね返らないよう、国庫負担引き上げなど介護保険制度の抜本改革を求めました。
 自民党に多額の献金をする大企業には減税や補助金をばらまきながら、国民には負担増、社会保障切り捨てを押し付ける―。破綻した自民党政治の転換が必要です。田村委員長は21日の議員団総会で「日本共産党の経済再生プラン」に基づく対案を示し、国民的運動を広げようと呼びかけました。(つづく)


政権追い詰めた共産党の論戦 通常国会150日(4)
「共同親権」・入管・選択的別姓… 「人権後進国」脱却迫る
                        しんぶん赤旗 2024年6月28日
 今国会で岸田政権は人権を巡り、ジェンダー平等、子どもや外国人の人権などを踏みにじる悪法を数の力で次々と強行しました。日本共産党は「こんな人権後進国でいいのか」と対決し、「個人の尊厳、全ての人の人権が尊重される社会をつくる新しい日本を」と脱却を迫りました。

子の安全損なう
 離婚後「共同親権」を導入する改定民法を巡っては、医療、教育、福祉などの現場から怒りの声が上がり、与党からも懸念が相次ぐ異例の事態となりました。
 改定民法は、父母の協議が調わなくても、合意のない父母にも「共同親権」を裁判所が定めることのできる仕組みを導入します。「共同親権」の合意を促す方向で運用されるとの懸念から、DV(配偶者などからの暴力)や虐待当事者ら約700人が3月29日、「人間関係、強制するな」と廃案を求めて声を上げるなど、新しい運動が湧き起こりました。
 日本共産党の本村伸子議員は4月3日の衆院法務委員会の参考人質疑で、小泉龍司法相も改定案で紛争が増えると審議で認めたとし「新たな人権侵害が起きるのではないか」と質問。DV被害者の斉藤幸子さん(仮名)は「子どもの安全・安心が損なわれないか心配だ。当事者の声を聞いてほしい」「子どもの成長の節目で別居親の同意が必要になる。どこが『子の利益』になるのか」と語りました。
 参院での審議では、「共同親権」の場合、離婚後も父母の収入が合算され、所得制限のある公的支援が受けられなくなる重大な懸念が浮上しました。
 仁比聡平参院議員の調査で、親の収入などが要件となる各省庁の支援策が少なくとも32件(5月16日時点)に上ることが判明。共産党が合意のない「共同親権」が子どもに与える影響を事実に即して明らかにしたことが、急速に反対世論を広げる力になりました。

深刻な人権侵害
 華僑や在日韓国人、日系ブラジル人などの当事者などから撤回を求める声が広がる中、当事者の声を無視して強行されたのが外国籍住民の永住許可を取り消す要件を盛り込んだ改定入管法・技能実習法です。
 改定法は、永住許可制度の「適正化」として、日本で永住者資格を持つ外国人が ▽税金や社会保険料を未払い ▽在留カードの常時携帯義務違反など入管法が定める義務を守らない―などの場合に永住者資格を取り消せる制度を新設します。
 仁比氏は6月6日の参院法務委員会で、永住許可取り消し制度を盛り込むことに対し、「当事者から撤回を求める声が広がっている。この声にどう応えるのか」と迫りました。岸田首相は「当事者のヒアリングは行っていないが、当事者の意見は適切に踏まえている」と強弁し、具体的根拠を示せませんでした。
 育成就労制度は、深刻な人権侵害の温床となってきた技能実習制度を「育成就労」と言い換えるだけで、看板の掛け替えにさえなっていません。
 5年間で技能実習生の失踪者は4万人に上りますが、原因究明と再発防止策は曖昧にされ、職場を移る「転籍」も制限。仁比氏は14日の参院本会議で、「自民党政治の外国人差別と排外主義はどこまで底深いのか」と抗議。「苛烈な外国人差別と迫害の歴史、真の共生社会への強い要求を真正面から受け止めるべきだ」と主張しました。

ジェンダー平等
 長年にわたる女性たちの訴え、ジェンダー平等を求めるムーブメントにより、選択的夫婦別姓の実現を求める声は経済界からも上がっています。
 田村智子委員長は19日の党首討論で、選択的夫婦別姓の早期実現を迫ったのに対し、岸田首相は「女性に大きな不利益が生じていることは重く受け止める」と述べる一方、「さまざまな角度から議論を深める必要がある」などと後ろ向きの姿勢に終始しました。
 田村氏は、夫婦の95%で女性が結婚後に改姓し、アイデンティティーの喪失、キャリアの断絶などに直面している実態を示し、一日も早く法案を国会で審議するよう要求しました。
 倉林明子議員は21日の参院本会議で、男女賃金格差の是正、単身高齢女性の貧困やケア労働者の処遇改善などについて政府の姿勢を追及。さらに、正規雇用男性労働者の賃金を100とした正規女性、非正規男性、非正規女性の賃金比率の公表と、企業に原因分析と是正措置を義務付けるよう迫りました。
 ハラスメント根絶も喫緊の課題です。宮本徹議員は5月29日の衆院厚生労働委員会で、ハラスメントを受けた労働者が会社の窓口に相談しても救済されない実態を示し、国際労働機関(ILO)のハラスメント禁止条約批准と包括的なハラスメント禁止の法整備を求めました。(つづく)