2024年6月8日土曜日

10月7日のハマスを私が非難しない理由

 ネタニヤフとバイデンがいまだに、「10月7日のハマスの越境攻撃が諸悪の根源であり、それは永久に許されないことだ」という意味のことを述べているのは本当に奇妙なことです。それはパレスチナ人の苦難の歴史についての認識が皆無であるのか、又はそれに問題意識を持たない非人間的な冷酷さの顕れとしか解釈できません。
 しかし、世界中の人たちが絶対に認めない「ガザでの虐殺」を現に行い続けているネタニヤフとそれを擁護して武器弾薬を供与し続けるバイデンに取っては、そんな論理にしがみつく以外には方法がないのでしょう。
 当日のイスラエル人の死者の多くはイスラエル軍が承知で砲撃した結果だったことはイスラエル紙が認めているところです。

 10月7日の越境攻撃については、長年にわたって頭を踏みつけられてきた人間が、「遂にその足に噛みついた」ようなものという擁護論が当初からありました。
 ケイトリン・ジョンストンが改めて筆を執りました。ここではリフレイン(詩歌などで用いられる繰り返し)の筆法がとられていますが、余りにも明白なことなので そうするしかなかったのでしょう。
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10月7日のハマスを私が非難しない理由
                 マスコミに載らない海外記事 2024年6月 7日
1999年、ニューメキシコ州のトレーラーハウス内で、シンディ・ヘンディという女
  性がシンシア・ヴィジルという女性にアイスピックで首を刺された。ジルはその後、
  現場から近くの住宅に逃げ、その家の所有者がすぐ警察に通報した。
                  ケイトリン・ジョンストン 2024年6月3日
 1999年、ニューメキシコ州のトレーラーハウス内で、シンディ・ヘンディという女性がシンシア・ヴィジルという女性にアイスピックで首を刺された。ビジルはその後、現場から近くの住宅に逃走し、その住宅の所有者がすぐ警察に通報した。
 彼女はいかなる犯罪でも起訴されなかった。
 シンシア・ヴィジルがアイスピックでシンディ・ヘンディの首を刺したにもかかわらず、何の罪にも問われなかったのは、ヘンディが連続殺人犯デビッド・パーカー・レイ(別名トイボックス・キラー)の共犯者だったからだ。レイとヘンディが監禁し拷問していたトレーラーからヴィジルは逃げ出し、その後二人は逮捕された。レイは三年後に獄死したが殺人事件の全容はいまだに不明だ。ヘンディは19年間服役し、2019年に釈放された。
 シンシア・ヴィジルはいかなる罪にも問われなかった。誘拐され、恐ろしい扱いを受けたことに対する暴力は全く理解できる正当な反応だと誰でも理解できたためだ。彼女は違う行動を取るべきだったと言う人は誰もいなかったし、女性を誘拐し、殺人地下牢で拷問していた連続殺人犯がいる事実ではなく、彼女の必死の暴力行為だけを主要ニュースにしようと考えた人は誰もいなかった。
 そして、もしメディアがそうしていたら、どれほど馬鹿げたことになっていたかご想像願いたい。トイ・ボックス・キラー事件が報じられた際、主要見出し全てが「ある女性が別の女性をアイスピックで刺した事件」だったらどうだろう。残酷な連続殺人犯に人が監禁され、残忍な虐待を受けた事実ではなく、アイスピックによる刺傷事件ばかり何ヶ月もメディアが話題にしたとしたらどうだろう。
 ニュースで、この事件に関しインタビューを受けるたびに、残忍で邪悪でサディスティックなアイスピックでシンディ・ヘンディを刺したことでシンシア・ヴィジルを非難するかと人々が問われたら、どれほど不条理かご想像願いたい。
 この事件を、ヘンディはただ立っていただけで、いらぬおせっかいなどしていなかったのに、ヴィジルによる野蛮で、いわれのない攻撃の犠牲になったかのように報道機関が報じ続けたら、どれほど不条理なことになるか想像願いたい。

 アイスピックによる刺傷事件に全員が焦点を絞り、この刺傷事件は精神異常の連続殺人犯と共犯女性にシンシア・ヴィジルが監禁されていたため起きたのだと指摘するたびに、ヴィジル擁護者、首刺し支持者だと、ヒステリックに非難され、あの恐ろしい日にヴィジルがヘンディに加えた暴力を弁護したり正当化したりできるものは何もない、絶対何もないと言われたら、どれほど馬鹿げたことになるかご想像願いたい。
 ヴィジルを救出し、彼女を酷い目に遭わせた連中を逮捕する代わりに、警察がヴィジルを犯人の元に戻し、デビッド・パーカー・レイが殺人生活を再開するのを助けていたら、どれほど不条理だったかご想像願いたい。

 デビッド・パーカー・レイが誘拐、拷問、殺人という現状の生活様式を再構築するのを手助けしながら、レイの殺人地下牢は存在する権利があり、レイと共犯者は自分の家と生活様式を守る権利があると警察やメディアが主張したらどうなるかご想像願いたい。
 シンシア・ヴィジル逃亡未遂事件後、世界の目の前で、レイが殺人とサディズムを著しくエスカレートさせ、ヴィジルがシンディ・ヘンディの首に理由もなくアイスピックで攻撃を仕掛けた恐ろしい日を人々が厳粛に引き合いに出し擁護したと想像願いたい。
 レイの凶暴な殺人行為への支援を正当化するために、逃亡中にヴィジルがヘンディを性的暴行し、赤ん坊の首を切り落とし、その遺体をオーブンに入れたと警察とメディアが主張し、嘘と偽情報を流布していたらどうなるかご想像願いたい。

 これ以上馬鹿げたことを想像するのは困難ではないだろうか? 被害者と加害者の逆転が 、どれほど卑劣か、虐待的監禁者から逃げようとする人の必死の努力に対する反応が、どれほど馬鹿げているか想像するのは困難だろう。
 これは、何かに関し人が考え得る限り最も時代遅れで狂気じみたもので、このような不条理を信じ込ませようとする連中は明らかに今後決して信じるべきでない心理的虐待者だ。明らかに連中は狂った考え方をしており、そのあらゆる部分が、あらゆる方法で拒否されるべきなのだ。
 とにかく、そうなのだ。だから私は10月7日のハマスを非難しない
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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/06/03/why-i-dont-condemn-hamas-for-october-7/