バイデンは、ナチスのユダヤ人殺戮にも匹敵するイスラエルによるガザ攻撃を公然と支持し、武器・弾薬を供与することでパレスチナ人殲滅行為を支えてきましたが、さすがに見かねて停戦を提案した途端にネタニヤフからあからさまに拒絶されました。
これについて掲題の記事(「マスコミに載らない海外記事」)は、ネタニヤフが大統領選挙直前にバイデンを辱め、外交政策の大失敗を強調したのは、バイデンを捨ててトランプを支持しているためかも知れないと述べました。
大統領がトランプに代わってもガザ攻撃が止むことはないことはこれまでも言われてきました。ネタニヤフはトランプの特使と既に会談しているということです。独善的国家同士の関係とはそんなものなのでしょうか。
その一方で、旧約聖書などに書かれている3千年以上前に古代イスラエルの民族指導者モーセが神に告げられたとされる故事を蛮行の根拠にされても、それが国際条約に反し人道に反する以上通用しないのは当然です。
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中東で大失敗したバイデン
マスコミに載らない海外記事 2024年6月20日
Salman Rafi Sheikh 2024年6月13日
New Eastern Outlook
5月31日、ジョー・バイデン大統領は、イスラエルがガザでの「永続的」停戦を受け入れたという重要な発表をした。同日遅く、ハマスはバイデンの和平計画と「恒久的停戦、ガザ地区からの[イスラエル]占領軍撤退、復興、捕虜交換」の呼びかけを歓迎した。バイデンによれば、これはイスラエルが段階的に戦争を終結させる計画だったという。
バイデンが合意を「発表」した方法は、裏外交が功を奏し、イスラエルとハマスが既に共通基盤を見つけたかのような印象を与えた。しかし、そうではなく、平和は実現にほど遠い。そのため屈辱的に聞こえるかもしれないが、ネタニヤフ政権は、ハマスが完全に壊滅するまで恒久的停戦はないと主張し、欧米メディアがすぐ歴史的転換点と呼び始めたことを既に拒否している。バイデンにとって更に屈辱的なのは、最終的にネタニヤフ政権がこの計画を「実現不可能」と呼んだ事実だ。これが中東におけるバイデンの全体的失敗につながった。
この失敗の根源は歴史にあるが、パレスチナ問題を棚上げし、イスラエルを地域的に正当化しようとしたいわゆるアブラハム合意の開始とともに、より顕著になった。バイデン政権はこの政策を中止するために何もしなかった。それどころか、サウジアラビアに合意に参加するよう説得して、この政策を加速させた。しかし、バイデン政権が今やイスラエルを制御できない事実は、安全保障を主にアメリカに依存している国を制御できないことを意味する。1946年から2024年の間に、イスラエルはアメリカから3,000億ドルを超える軍事・経済援助を受けた。10月7日に最新の紛争が始まった時、ワシントンは年間38億ドルの軍事援助に加えて、2024年4月の補正予算法から87億ドルも提供した。しかし、ワシントンは今やイスラエルの行動を変えるための糸を引くことが全くできないことに気付いており、これはアメリカが過去77年間にこの地域で試みてきた紛争解決の様々な方法がいかに無駄に終わったかを示している。
ヨーロッパの変化とイスラエルの孤立
これにより、本来親米派のEU数カ国がイスラエル・パレスチナ問題に対する政策を変更し、パレスチナ国家の急速な承認とイスラエルへの明確な反対に至った。この承認は、地域的にも世界的にもイスラエルを孤立させるだけでなく、アメリカ主導の欧米諸国がイスラエルに対し内部的に分裂していることを示している。合意した計画をバイデンがイスラエルに守らせられなかったことを受けて、この承認プロセスは加速すると予想される。
ネタニヤフ首相の拒絶
イスラエルの明白な拒絶は、バイデンにとって致命的打撃となった。バイデンは、復活したトランプ(最近有罪判決を受けたにもかかわらず)と対決するまであと数ヶ月となった。選挙直前にバイデンを辱め、外交政策の大失敗を強調することがイスラエルの意図だったのだろうか? トランプとネタニヤフの親密な関係(悪名高いアブラハム合意にもつながった)を考えると、ネタニヤフ政権は、国内外でトランプの重要性を高めるために(と進行中の法的危機を受けてトランプに重要な援助の手を差し伸べるために)、バイデンを捨ててトランプを支持しているのかもしれない。
この屈辱は組織的なものだ。数週間前、ネタニヤフ政権がラファ侵攻と爆撃の計画を発表した時、アメリカはイスラエルに武器を供給しないとバイデンは答えた。この発表は、既に供給されている武器のおかげでイスラエルの戦争遂行能力に大きな影響を与えるとは予想されなかったが、主要同盟国を完全に無視して、イスラエルはラファ侵攻を行い、再び100万人近くの人々に命からがら逃げるよう強いたのだ。
国内および国際的影響
こうしたイスラエルの措置は、明らかにハマス壊滅を目的としながら、実際はパレスチナ人の組織的大量虐殺を伴うもので、アメリカにおけるバイデンの不人気化に直接寄与している。既にアメリカ人の約59%がバイデンを否定している。アラブ系アメリカ人の間では、バイデンの人気は既にわずか18%に急落している。
同時に、ネタニヤフ首相はドナルド・トランプと協力している外交政策特使とも会談している。この最近の会談の目的は、イスラエルの国内政治状況を「より良く評価する」ことと、ドナルド・トランプはバイデンと異なり、イスラエルにとって、現政権より遙かに適任なのを再確認することだった。この会談がメディアで報じられた事実からも、背後にある意図がうかがえる。つまり、バイデン再選の可能性と再選への取り組みに火に油を注ぐということだ。ネタニヤフ首相と極右同盟者は、当然ながら、ドナルド・トランプの親シオニスト政策を支持している。報道によると、既に、アメリカで活動するシオニスト・ロビーを含むスポンサーに対し、自分が当選すれば親パレスチナ派抗議行動参加者を取り締まり、国外追放もするとトランプは語っている。
アメリカ政治家や政策立案者はまだそのような主張をしてはいないものの、これら全ては自らの政治的生き残りを確実にするために戦争を止めることができず止める意志もないネタニヤフ政権が間接的にアメリカ政治に介入していることを意味する。この介入はパレスチナ人の大量虐殺を阻止する上でのバイデン政権の全体的失敗の一因となっている。
しかし、バイデン自身も今日自分が陥っている混乱の責任を負わなければならない。シオニズムを支持すると彼が宣言し、無辜のパレスチナ人を犠牲にしてイスラエルの「自衛権」を支持すると主張した結果、イスラエル戦争機構は、この大量虐殺が起こるために十分な潤滑油を注がれたのだ。大量虐殺が政治的に高くつくようになった今、シナリオを変えようとするバイデンの努力は、エルサレムでは無視されている(ネタニヤフ政権にとって政治的に有利なため)。国内外でバイデンの完全な失敗を示す全体的な政治シナリオが生まれている。
サルマン・ラフィ・シェイクは、国際関係とパキスタンの外交・内政の調査アナリスト。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/06/13/biden-has-failed-big-time-in-the-middle-east/
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。