2024年6月17日月曜日

日本学術会議歴代会長6氏による岸田首相に対する声明(要旨)

 10日付の題記声明の要旨がしんぶん赤旗に掲載されましたので紹介します。
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  6月12日)学術会議の独立性 尊重を 歴代会長6氏声明 政府の法人化方針を批判
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日本学術会議歴代会長6氏による岸田首相に対する声明(要旨)
                        しんぶん赤旗 2024年6月16日
 日本学術会議の歴代会長(吉川弘之、黒川清、広渡清吾大西隆、山極寿一、梶田隆章の6氏)が連名で10日に公表した声明の要旨は、次の通りです。

 学術会議会長の職を務めた者として、政府に対し、学術会議の社会的役割を根本において危うくするという懸念を表明せざるを得ない。
)政府が2022年末に決定した日本学術会議法の改正提案について、私たちは岸田首相に再考を求めた。学術会議の運営や会員選考に政府介入の危険性があり、国際的、歴史的に形成されてきた科学者代表機関についての基本的考え方に齟齬(そご)するからだ。
(2)政府は、社会や学術界、国際的な批判に直面し、23年4月に改正提案を撤回した。しかし、政府主導の見直しを止めず、同年末に法人化案を公表した。
(3)この案は「政府から独立するための法人化」という名目で、撤回案よりはるかに深く学術会議の独立性と自主性に手をつけるものだ。国の機関である限り首相の任命拒否もありえるので、これを防ぐために独立の法人になるべきだと理由づけられる。しかし、菅義偉首相の任命拒否は、学術会議法の解釈を一方的に変更し、十分な理由の説明もない前代未聞の措置だ。法人化の理由づけは、任命拒否を正当化するためのものと疑われる。
 法人化案は何より運営に対する外部者の関与を広く導入する。会員選考に意見を述べる選考助言委員会、運営の重要事項に意見する運営助言委員会、さらに政府が任命する監事を置き、仕上げに政府任命の評価員会が中期計画期間ごとに活動を評価するとされる。
 国の機関から外れた独立の法人になぜ政府がこのように関与するかといえば、新組織にも国の財政支援が行われるからだ。しかし、法人化案は、自主財源の確保を優先し、公的財政支援を補助的役割に位置づけている。財政の自主性を要求し、方で公的財政への依存を理由に幾重にも外部者のチェックを用意している。科字的助言などの有償化や寄付の促進が勧められている。これまでの社会的役割が損なわれ、変質する危惧が極めて大きい
(4)内閣府は今年4月に有識者懇のもとに二つの作業部会を設置し検討を始めた。学術会議は、有識者懇の議論に参加し、法人化案に懸念と批判を示している。75年にわたる歴史が途切れることなく社会から求められる役割を十分発揮できるよう、主体的に社会との対話を進め、政府との継続的かつ建設的協議を求めている。
 学術会議の独立性およぴ自主性の尊重と擁護を岸田首相に再度心から要望する。学術会議か社会的役割を発揮するためには、より長期的な公平な検討の仕組みのもと、社会や与野党を超えた国会での議論が必要だ。