田中宇氏が掲題の記事を出しました。
いつものように多岐に渡る言及がありますが、非米側が一貫して増大する中で、先般「プーチン訪朝でロシアが北朝鮮と国家安全を守る条約を結んだことで、朝鮮半島の対立は戦争でなく外交で解決していかざるを得なくなった。韓国は、米国に強要される露朝敵視をやめて、北朝鮮との交渉を中露に仲裁してもらうしかない。当面は無理だが、韓国もいずれ非米化していかざるを得ない」として、欧州もいずれ非米側に転じるので、米覇権を信奉する国は英国系と日本だけになると述べています。
文中、「安倍晋三氏が銃殺されたのはいずれ自民党が官僚独裁を壊して非米化に動きかねないので日本の官僚機構が米国に頼んで消した」という言及もあります。
また、米バイデン大統領が、G7首脳会談に痴呆症が発現してウロウロ徘徊し始めたことにも言及しましたが、このことは耕助のブログ「No. 2185 もううんざりだ」でも述べられています。
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非米側の拡大
田中宇の国際ニュース解説 2024年6月22日
世界の非米化が進んでいる。米覇権が縮小し、以前にあった米単独覇権体制が失われている。米国以外の諸大国がBRICSなどで協調して世界の主導権をとるようになって、非米側が拡大している。
BRICSの主導役は中国だが、非米側は中国の単独覇権体制でない。もし中国が他の諸大国の意向を無視してBRICSを牛耳って覇権を行使しようとした場合、中国をライバル視する印度など他のBRICS諸国が言うことを聞かなくなってBRICSが機能不全におちいる。非米側の世界体制は、勢力均衡を意図した多極型になっている。
(It Would Be A Bad Idea For Japan To Sanction Indian Companies On Anti-Russian Pretexts)
ロシア(プーチン)は中国(習近平)の子分になっているが、それは中国がロシアの現状をよく理解し、経済面などで助けてくれるからだ。万が一、中国がロシアを助けず勝手に覇権行使するようになると、ロシアは中国よりも印度や中東諸国などとの関係に頼るようになる。ロシアは、中国への筋だけでなく、印度への筋、イランへの筋、アフリカへの筋など、国際的な貿易政治のルート・筋を何本も開拓し、中国だけに頼らないようにしている。(Putin's Full Speech: BRICS, NATO Expansion and Ukraine Peace Talk Conditions)
BRICSなど非米側は、諸大国のちからが均衡する多極型の国際秩序になっている。多極型体制は、構造的に、単独覇権体制に転換しにくい。だからこそ、米上層の諜報界(隠れ多極主義者)は、わざわざ何十年もかけて、(英国系に乗っ取られてしまった)米覇権を自滅させ、中露BRICSを結束させて、世界を多極化した。(米覇権潰しを宣言した中露)
英米は単独覇権を守るため、世界の発展を犠牲にし続ける。米上層の資本家は、それがいやだ。彼らは、中露が好きだからでなく、世界を安定した発展体制に移行するため、何十年もかけて米覇権自滅と多極化を推進した。(Are International Institutions Viable in the Future World Order?)(田中宇史観:世界帝国から多極化へ)
世界は、非米化しつつある。対米従属していた諸国の中から、中露とも親密にして、米国側と非米側の両方と関係する「両属」状態に転換する国が続出している。たとえば産油国として最重要なサウジアラビアは、米国との関係を維持したまま、中露との親密を加速し、習近平の仲裁で米国の仇敵イランと和解し、BRICSにも加盟した(まだ入ってない演技もしつつ)。(Saudi Arabia Chooses Chinese Yuan Over US Dollar)
(Sense And Nonsense On Petrodollars)
アフリカ諸国も、親米諸国が残りつつも、サヘル諸国が米仏軍を追い出して替わりにロシアと安保協定を強めたり、中国が創設に寄与したアフリカ連合がアフリカ大陸の結束を強めるなど、非米側に入って安定と発展を手にしている。アフリカは、米欧の傘下にいる限り「暗黒大陸」だったが、非米側に入ることで好転していく。(Lavrov in Africa: How is Russia’s multipolar vision being realised?)(アフリカの非米化とロシア)
東南アジアのASEANは丸ごと親米・対米従属的だが、最近タイとマレーシアがBRICSへの加盟を希望し始めた。ベトナムはプーチンの訪問を歓迎し、米国からの非難を無視してロシアを称賛した。
ASEANは昔から、米国と中国の両方と親密にしていたが、以前は中国自身が経済面で米国の傘下にいたので、親米と親中が矛盾しなかった。だが今は違う。かつて親中国だった日本は、対米従属の一環として中国敵視になった。ASEANはそうでない。米国から非難されても、中国やBRICSとの関係強化を進めている。
(As Putin visits, Vietnam says will boost ties with Russia for global peace)
英国の一部である豪州ですら、資源類を買ってもらわねばならないので、中国敵視をやめて対中和解した。日本も経済面で中国敵視を強められないが、国内の権力機構が対米従属を基盤にしているので非米側に引き込まれると国内の権力構造が壊れかねず、豪州よりもずっと目立たない形でしか中国と関係維持できない。
日本が非米側に引き込まれると、自民党が官僚独裁を壊して非米化に動きかねない。かつて安倍晋三がそれをやりそうだったので、官僚機構が米国に頼んで消した。マスコミも野党も、統一教会の話を急に持ち出してきて、殺された安倍が悪いんだみたいな言い方をし続け、米傀儡性を露呈した。
後継の岸田は「あなたは消されたくないよね」と官界や米国系から脅され、慎重になっている。官界の傘下にいるマスコミは、非米化や中露BRICSの台頭結束を軽視・偽悪化し、国民を無知なままにしている。
(US Forming Anti-China ‘Squad’ With Japan, Philippines, and Australia)
ウクライナ開戦で世界の非米化が加速した後、米単独覇権・ロシア敵視・非米化拒否を信奉する米国側は、米国・欧州(EU、NATO)・英国系(英豪NZ加)・日本・韓国あたりで構成されてきた。しかし最近、欧州が崩れている。
ウクライナ戦争でロシアの優勢が確定し、欧州では、厭戦機運と、対米従属エリート支配への不信感が強まり、選挙のたびにエリート支配が崩れ、対米自立・親露を希求する右派が強まる傾向になった。
欧州のエリート支配の崩壊は今後さらに進む。欧州も米国も、エリート層は、言論統制や右派弾圧など全体主義的な手法を強めているが、この傾向がまた人々の怒りを増やす。欧州は、かつて自慢していた民主と自由を自ら潰し、世界からの尊敬を失っていく。途上諸国は、欧米を信用しなくなって非米化を加速する。(Macron Has Gambled... And Lost)
欧州自身も、右派が強まるほど非米化していく。イタリアのメローニ政権は右派で、就任後ロシアへの接近を試みたが米国とEUに阻止され、いったんあきらめた。替わりにメローニは、建前上まだ親米国である印度などに接近し、非米的な色彩を強めている。
イタリアは今年のG7議長国だが、イタリアで開かれたG7サミットに参加した米バイデン大統領は、各国首脳と歓談中に痴呆症が発現してウロウロ徘徊し始めるなど、米国の信用失墜を加速した(⇒主催国のメローニ首相が連れ戻しました)。欧州エリートは、米国を信用できなくなっているが、対米従属をやめられない。(Italy deepens Libya engagement amid concerns over energy, Russian influence)
右派親露なハンガリーのオルバン首相は、欧州でドナルド・トランプ式の「欧州第一主義(MAGAならぬMEGA)」の政治運動を開始し、欧州を対米自立・非米化に導こうとしている。欧州は、エリート層と右派の対立が激化して政争と混乱・経済難が加速する。欧州は弱体化しつつ非米化していき、米国側から外れていく。
(Hungary unveils MEGA slogan for EU presidency)
一昨日の有料記事に書いたように、先日のプーチン訪朝でロシアが北朝鮮の国家安全を守る条約を結んだことで、朝鮮半島の対立は戦争でなく外交で解決していかざるを得なくなった。韓国は、米国に強要される露朝敵視をやめて、北朝鮮との交渉を中露に仲裁してもらうしかない。
韓国が露朝敵視をやめるには、在韓米軍の撤退を含む対米自立が必要だ。米国とその在韓傀儡はそれを全力で妨害するだろう。当面は無理だが、韓国もいずれ非米化していかざるを得ない。
米覇権を信奉する米国側は、欧州と韓国を失っていく。米国側に残るのは、英国系と日本だけになる。日本は、自民党(長州)が米傀儡官界系の妨害を乗り越えて政治主導を取り戻せる指導者を擁立し、再度の暗殺を避けられれば、中露と関係を結び直して非米側に転換し、経済面でも蘇生できる。(朝鮮半島問題の解決には韓国の非米化が必要)
だが、今のところその見通しはない。長州は、もともと英国傀儡になることで倒幕できて日本の権力を取らせてもらい、そのあと英覇権が戦間期に潰れかけた時に、対英自立して大東亜共栄圏を作ったものの打ち負かされて傀儡に戻り、米傀儡の官界マスコミ野党に国内で監視されて80年過ごしている。
米英系からの自立を試みた政治家は、田中角栄も、小沢一郎も、安倍晋三も、敗北している。長州(自民党)に、まだ戦う気力があるのかどうか。期待しているが、敵は大きく、身内を含むあらゆるところに入り込み、正体も見せない巧妙さだ。(こう書くと私も、左翼など米うっかり傀儡読者から中傷されるよね)(印度は意外と居心地良い)
米国の株価は史上最高値を更新している。株価は米経済・米覇権の強さだと喧伝され、米国の経済や覇権が強いのだから非米化とか多極化とかしてないよ、あんたの妄想でしょ、という話になる。だが実のところ株高は、経済の強さと無関係だ。米国の実体経済は、不況とインフレが続いている。
米政府による経済テコ入れによって作られた雇用はすべて違法移民に取られ、中産階級は所得と住環境が悪化して貧困層に転落し、消費できなくなっている。米経済の大半は消費によるものだから、経済は悪化している。(The Music Just Stopped)
米国の株高は、米連銀(FRB)が資金を作って金融市場に注入して演出している。連銀が毎週発表している財務諸表(B/S)を見ると、連銀の資産総額は減り続けており、2022年からのQT策(量的縮小、QE=量的緩和で市場に注入した資金の吸い上げ)を続けていることがわかる。
連銀は、QTの規模を小さくしたが吸い上げ自体は続けている。市場にある資金は減っているのに、株高になっている。インフレなのに、米国債金利も下がって債券高になっている。(Federal Reserve Balance Sheet)
当局の資金でなく、不況なのに好況だと喧伝して投資家を騙して投資させ、民間の資金で株高債券高にしているのか??。いや、ニセ情報で騙せるのは小口の投資家だけであり、最高値を演出できるだけの力にはならない。連銀が、表向きインフレ対策として議会から強要されたQTをやりつつ、裏で帳簿外の資金を作って金融に注入していると考えた方が現実的だ。
米当局は、無根拠な温暖化人為説を欧米人に信じ込ませ、欧米に石油ガス使用減少を強要して経済を自滅させている。米当局は、有害なコロナワクチンを接種必須なものと人々に信じ込ませ、史上最大の薬害を引き起こしたのに隠蔽している。
これらの無茶苦茶に比べると、米連銀が帳簿外で資金を作って金融市場に注入して株高と債券高を演出するぐらい、屁のかっぱだ。(Record Demand For Stellar 20Y Auction)
連銀が簿外資金を作っているなら、今の株高・債券高は今後かなり長く続く。簿外で見えないのだから、この不正はずっとやれる(米政界にバレて、QEのように政治的に阻止されない限り)。
金融が崩壊せず延命していると、米覇権もゾンビ状態のまま延命する。非米側(BRICS)は米覇権の延命を尻目に、CBDCを使った非ドル決済システムを作り、非米側独自の経済システムを確立して運営していく。(CBDCとBRICS通貨)
米覇権が潰れて世界が多極化・非米化するのでなく、非米側システムができた後に米覇権がいずれ潰れる。もしくは米国側が縮小しつつも潰れず、新設される非米側システムと、米国側の(隠然と不正化・ゾンビ化した)債券金融システムが、ずっと併存し続ける。
(Russia to start using CBDC for cross border payments in 2025)
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。