2024年6月8日土曜日

08- ハワイ周辺で実施する軍事演習RIMPACにNATO加盟国も参加する意味

 1971年に創設された環太平洋合同演習RIMPAC)に自衛隊が初参加したのはまだ初期の1980年(隔年開催)でした。
 1949年に創設された北大西洋条約機構(NATO)は「ソ連」を敵国とした軍事同盟です。日本は北大西洋に面していませんが、岸田首相は何故かNATOに加わりたがっています。 ⇒23.5.15)なぜ議論にならないのか NATO事務所開設/タイム誌 
 櫻井ジャーナルは、「NATOは米英がヨーロッパを支配する目的で設立された」と述べています。米国にウクライナ戦争への協力とロシアとの絶縁を要求された欧州国が目下深刻な経済的打撃を受けているのを見ると頷ける話です。
 21年9月に米・英・豪の3カ国太平洋軍事同盟AUKUSを作り、さらに米国はJAPHUS(日・比・米というNATO的な軍事同盟を作りました。それは中国やロシアとの戦争を想定しているだけでなく、米国がその地域全域の支配体制を強化することを目的にした東/東南アジアの植民地化であると述べています
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ハワイ周辺で実施する軍事演習RIMPACにNATO加盟国も参加する意味
                         櫻井ジャーナル 2024.06.07
 アメリカ軍は6月26日から8月2日まで配下の軍隊をハワイ周辺に集めて軍事演習「RIMPAC(環太平洋合同演習)」を実施 する。海軍力による太平洋支配を維持ることが目的だろう。参加国はアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドのアングロ・サクソン系5カ国のほか、日本、ブルネイ、インド、インドネシア、マレーシア、韓国、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、ラテン・アメリカのチリ、コロンビア、エクアドル、メキシコ、ペルー、ヨーロッパからデンマーク、フランス、ドイツ、オランダ、そしてトンガ、イスラエルだ。名前だけだろうという国も少なくないが、ヨーロッパからこれだけ参加するのは興味深い。

 本ブログでは繰り返し書いてきたが、アメリカの支配力は弱まっている。軍事同盟を強化するため2017年11月にオーストラリア、インド、アメリカ、日本で組織されるクワドの復活を協議したのもテコ入れのつもりだろう。アメリカ太平洋軍は2018年5月にインド太平洋軍へ名称を変更している。太平洋の拠点は日本、インド洋の拠点はインド、ふたつをつなぐ役割をインドネシアが担うとされた。
 2020年6月にはNATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長はオーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言、21年9月にアメリカ、イギリス、オーストラリアのアングロ・サクソン3カ国は太平洋で軍事同盟AUKUSを築く。JAPHUS(日本、フィリピン、アメリカ)なる軍事同盟も編成した。こうした動きに対し、ニコライ・パトロシェフは2021年9月、AUKUSは中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと指摘している。その当時、パトロシェフはロシア国家安全保障会議の議長を務めていた。

 NATOは集団防衛機構だとされているが、その事務総長だったヘイスティング・ライオネル・イスメイはNATO創設の目的はソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつけることあるとしている。このイスメイはウィンストン・チャーチルの側近だ。
 NATOは1949年に創設されたが、その母体になったのは48年に作られたACUE(ヨーロッパ連合に関するアメリカ委員会)。この組織はアメリカやイギリスがヨーロッパを支配する目的で設立され、イギリスのチャーチルやアメリカのアレン・ダレスたちが参加していた。ちなみにビルダーバーグ・グループはその下部機関のひとつ。
 NATO加盟国には破壊活動を目的とする秘密部隊が存在していることもわかっている。その中でも特に有名な部隊がイタリアのグラディオ。1960年代から80年頃までクーデター計画や極左グループを装った爆破事件を繰り返していた。

 フランスのOASもそうした秘密部隊ネットワークにつながる組織で、メンバーの一部が1962年にシャルル・ド・ゴール大統領の暗殺を試みている。
 その背景を知っていたド・ゴールは1966年にフランス軍をNATOの軍事機構から離脱させ、SHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリから追い出している。ジョン・F・ケネディ米大統領が暗殺されたのは1963年のことだが、ド・ゴールはケネディ暗殺と自分の暗殺未遂の背景は同じだと考えていたと言われている。

 東アジアにNATO的な軍事同盟を築く目的は中国やロシアとの戦争を想定しているだけでなく、その地域全域の支配体制を強化することにあるはずだ。つまり東/東南アジアの植民地化である。ロシアに敗北した西ヨーロッパ諸国は東/東南アジアに注目しているのか、あるいは世界大戦を始めて戦況を一変させようとしているのかもしれない


NATO加盟国が言う:ゴールはロシア連邦の解体
                  耕助のブログNo. 2170  2024年6月6日
 Nato Country Says Goal Should Be …Breakup of the Russian Federation
                by Tyler Durden
先週、ロシアのメディアは、エストニアのカーヤ・カラス首相による最新の挑発的な発言に注目した。彼女はロシアの隣国の小さなバルト三国を反モスクワのタカ派的な確固たる立場に導いたのだ。エストニアは2000年代半ば、ブッシュ政権時代にNATOに加盟した東欧諸国の波の一部だった。
彼女はロシア連邦の解体を求めた。カラスは先週、首都タリンでの討論会で、ウクライナ戦争の望ましい結果として、ロシアはもっと「小さく」なる可能性があると提案したのだ。

「ロシアの敗北は悪いことではない。なぜなら社会が本当に変わるかもしれないのだから」と首相は第17回レンナルト・メリ会議で語った(ロシアのRTが翻訳{1})。
彼女は、現在のロシア連邦は実際には「多くの異なる国家」から構成されていると見ることができ、それらは当然ながら別々の国家に分割される可能性があると述べた。
小国のような国が増えれば、それは悪いことではないと思う。大国がより小さくなることは悪いことではない」とカラスは主張した。
その小さな国土にもかかわらず、エストニアはここ数カ月、戦争に関連して強気な発言をしている。例えば、フランスのマクロン大統領は最近NATOにウクライナへの西側部隊の派遣を検討するよう呼びかけたが、それを支持するような発言をした{2}:
エストニア政府は、ウクライナ軍を前線での戦闘に解放するために、直接戦闘ではない「後方」の役割を担う部隊をウクライナ西部に派遣する可能性について「真剣に」議論しているが、これは差し迫った決定ではないとタリンの大統領国家安全保障顧問はブレイキング・ディフェンスに語った。
もちろん、これらの部隊は、たとえ「後方」で前線から遠く離れていたとしても、ロシアの航空部隊による直接攻撃の可能性に直面することになる。
さらに最近では、新たな国境紛争が勃発する可能性もある{3}:
戦争研究所(ISW{4})の報告書によると、モスクワはクレムリンの国境警備隊がロシアとエストニアの海上国境を示すブイを撤去した後、NATOの「決意」を試そうとしているという。
エストニアの警察と国境警備隊はリリース{5}の中で、ロシアの法執行機関が木曜日の夜、ナルヴァ川に設置された浮上国境の一部を撤去したと述べた。エストニア警察によると、このブイは航路を示すためのもので、タリンとモスクワ間の2022年合意の一環として、毎年春に設置されている。
おそらく、エストニアの指導者たちが一貫してモスクワに向け大胆な発言をしていることに対するある程度の報復として、このような挑発行為は今後も続きそうである。
政治地図/ロシア連邦の州 …Source: MapsofIndia.com
ロシアとウクライナの紛争を通じて、親西側のバルト三国の指導者たちはますます「強気なこと」を口にするようになっている。しかし最終的にはワシントンを含む西側の強力な後ろ盾に頼らざるを得ない。
Links:
{1} https://www.rt.com/russia/597979-estonia-ukraine-nato-eu/ 
{2}https://breakingdefense.com/2024/05/estonia-seriously-discussing-sending-troops-to-rear-jobs-in-ukraine-official/ 
{3}https://www.newsweek.com/russia-tests-nato-bold-border-move-isw-1904303 
{4} https://www.newsweek.com/topic/isw 
{5}https://www.politsei.ee/en/news/border-guard-of-the-russian-federation-removed-light-buoys-from-narva-river-11981 

https://www.zerohedge.com/markets/nato-country-says-goal-should-be-breakup-russian-federation