2024年6月29日土曜日

キッズドアが困窮子育て家庭向けアンケート結果を発表

 困窮家庭の子どもたちの支援活動を続けている認定NPO法人キッズドアが26日、記者会見し、困窮子育て家庭向けに実施したアンケートの結果を発表しました。

 小中学生の子どもを抱える保護者に「夏休みの長さ」について尋ねたところ、「今より短い方がよい」と「なくてよい」を合わせた回答が6割を占めました。夏休みの廃止や短縮を希望する理由の上位は、「生活費の増加」「昼食準備の手間や時間」「子どもに特別な体験をさせる経済的余裕がない」「給食がなく、子どもが必要な栄養を摂れない」でした。
 物価高騰に関しては「昨年同期と比べて家計の変化」は、「とても厳しくなった」が最多の8割、「やや厳しくなった」の回答も合わせると、98%の家庭が家計の悪化を実感しています。物価高による子どもの成長や健康状態への悪影響にかんしては、「風邪などにかかりやすい」「体重が増えない」「身長が伸びない」などの問題が顕在化しています。
 自由記述では、「何もかもが高くなった上に、賃金が上がらず生活がどんどん苦しくなっている。小学3年の長男も、熱があっても身体がきつくても、我慢して隠すようになってしまった。私が仕事を休む事になると給与が減る、生活が大変になる、と遠慮して『言えない』と言われてしまい、辛い」といった回答がありました。
 レイバーネット日本が報じました。
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NPO法人キッズドアが困窮子育て家庭向けアンケート結果を発表
                  竪場勝司 レイバーネット日本 2024-06-27
「夏休みはなくてよい」〜物価高騰が困窮子育て家庭を直撃
  竪場勝司
 困窮家庭の子どもたちの支援活動を続けている認定NPO法人キッズドア(渡辺由美子理事長)が6月26日、東京都内で記者会見し、困窮子育て家庭向けに実施したアンケートの結果を発表した。小中学生の子どもを抱える保護者に「夏休みの長さ」について尋ねたところ、「今より短い方がよい」と「なくてよい」を合わせた回答が6割を占めた。給食がなく、子どもが家にいることにより、生活費の負担が重くのしかかっているとみられる。また、物価高騰が続くことで、困窮家庭の生活がますます苦しくなっている実態も明らかになった。

「夏休みはなくてよい」が13%
 アンケートはキッズドアの支援を受けている家庭の保護者を対象に、インターネットを利用して今年5月下旬から6月初旬にかけて実施、1821人から回答があった。回答者の9割が母子世帯で、世帯の年間所得は200万円未満の家庭が5割以上を占めた。
 「夏休みの長さ」の質問に、「今より短い方がいい」との回答は47%、「なくてよい」は13%だった。会見で渡辺理事長は「『夏休みはなくてよい』との答えが1割以上あったのは衝撃的だった」とコメントした。夏休みの廃止や短縮を希望する理由の上位は、「生活費の増加」「昼食準備の手間や時間」「子どもに特別な体験をさせる経済的余裕がない」「給食がなく、子どもが必要な栄養を摂れない」だった。具体的には「長期休みが明けると、家族で旅行に行った友達とかの話を聞いてきて、羨ましそうにしているので、格差を感じる」といった声があった。

物価高騰が家計や子どもの成長に深刻な影響
 物価高騰に関連した質問で、「昨年同期と比べての家計の変化」については、「とても厳しくなった」が最多の8割、「やや厳しくなった」の回答も合わせると、98%の家庭が家計の悪化を実感しているという結果だった。
 物価高による子どもの成長や健康状態への悪影響にかんしては、「風邪などにかかりやすい」「体重が増えない」「身長が伸びない」などの問題が顕在化し、低所得の家庭ほど深刻な状況が明らかになった。年間所得100万円未満の家庭では「子どもが健康診断で栄養不良や肥満・やせ傾向を指摘された」との回答が18%にのぼった。
 自由記述では、「何もかもが高くなった上に、賃金が上がらず生活がどんどん苦しくなっている。小学3年の長男も、熱があっても身体がきつくても、我慢して隠すようになってしまった。私が仕事を休む事になると給与が減る、生活が大変になる、と遠慮して『言えない』と言われてしまい、辛い」といった回答があった。

緊急提言、困窮子育て家庭に現金給付を
 今回のアンケート結果をふまえて、キッズドアでは「困窮子育て家庭を危機から救うための緊急提言」を発表した。提言は ①夏休みを迎える困窮子育て家庭に現金給付を ②困窮子育て家庭の体験格差を埋める支援を ③年収300万円未満の困窮子育て家庭へ緊急の支援を ④困窮子育て家庭にも賃上げを、の4つ。
 ①に関しては児童1人あたり5万円以上の給付を、④に関しては全国一律で最低賃金を100円以上のアップを、それぞれ求めている。緊急提言に関しては、こども家庭庁、厚生労働省、文部科学省にそれぞれ申し入れを行なう予定だ。
 渡辺理事長は会見で「一律支援ではなく、本当に困っている方たちに手厚く支援をしていくことが必要だ。日本の社会は『1億総中流』ではなくて、格差社会の中で下の階級の方たちがいらっしゃるということを認識することが、非常に重要だと思っている」と語った。
 キッズドアでは、困窮子育て家庭の1日分の食費は「一人300円」にすぎず、「週に2回は夜ご飯も、納豆か、ふりかけだけ」といった家庭もある、として、「夏休み緊急食料支援」のクラウドファンディングを実施中。3000万円を目標に、7月31日まで市民から協力を求めている。詳細は https://kidsdoor.net/news/news/20240606.html へ。