2024年7月29日月曜日

法人化と権力介入ノー 学術会議巡り 学者ら6団体声明

 しんぶん赤旗に掲題の記事が載りました。
 日本学術会議の法人化は「学術会議会員任命拒否の制度化・合法化」に他なりません。
 自民党政治はこの4半世紀で日本を三流経済国に転落させましたがそれに飽き足らず今度は「学問」を政界と財界に従属させるという「禁じ手」を使おうとしています。
 それを当たり前のように行おうとしている人物こそがおよそ学問とは無縁と思われる菅前首相と岸田首相の二人で、それはそのまま日本の悲劇を象徴しています
 学者や弁護士らでつくる6団体が27日、「法人化による権力介入に強く反対する声明」を発表しました
 その声明文を併せて紹介します。
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法人化と権力介入ノー 学術会議巡り 学者ら6団体声明
                        しんぶん赤旗 2024年7月28日
 日本学術会議を法人化する方針で政府が議論を急いで進めていることに対し、学者や弁護士らでつくる6団体が27日、東京都内でシンポジウムを開き、「法人化による権力介入に強く反対する声明」を発表しました。

 政府が昨年末に決定した法人化方針は、外部者らが学術会議の会員選考や運営に関与する委員会や、大臣が任命する監事や評価委員会などの新設が柱です。
 前学術会議会長の梶田隆章・東京大教授は、政府が2022年末に示した同会議の独立性を侵害する改悪法案への対応などについて「(内閣府側に)学術会議をより良くしようという根本的な考えが見えず、われわれの思いを届けるのは極端に難しいと痛感した」と報告。このまま法人化案が進めば「日本はナショナルアカデミーのない国になる」と強い危惧を表明しました。
 元学術会議第一部長の小森田秋夫・東大名誉教授は、同会議は国の機関として、政府方針と一致しない「科学的助言」も行い、20年までは会員任命拒否がなく、独立した組織として機能してきたと強調。政府側の「独立性を高めるための法人化」という主張を批判しました。

 学術会議会員への任命を拒否された一人の加藤陽子・東大教授はビデオメッセージで、「学問の自由、研究組織の自律性が確保されなかったことの帰結が原爆投下」だと指摘。学術会議を無力化する法人化の阻止を訴えました。
 米倉洋子弁護士は、任命拒否の情報公開請求訴訟の経過を報告した上で、「法人化案は任命拒否の制度化・合法化」だと指摘。青井未帆・学習院大教授は、政府の動きについて、国家安全保障に学術専門家集団を組み込むための「破壊と浸食」などと指摘するメッセージを寄せました。


                                2024年727
日本学術会議の法人化による権力介入に強く反対する声明
                            学問と表現の自由を守る会
                   大学危機をのりこえ、明日を拓くフォーラム
               学術会議会員の任命拒否理由の情報公開を求める弁護団
                              立憲デモクラシの会
                        安全保障関連法に反対する学者の会
                  稲田から広げる9の会(早教職員9条)

本学術会の法人化の形をとった独立性侵害の危機
 政府は法人化の形をとって日本学術会議(以下、学術会議を政府の言いなりになる組織に作り替ようと、急ピッチで法案化を急いでいます。その内容は驚いたことに担当としては学術にあまり関係のない防災・海洋政策担当の特命担当大臣が2023年1222日にした「日本学術会議の法化に向けて」で提起した「日学術会議を国から独立した法人格を有する組織とする」というものでした。そして学術会議を法人化した上で、「選考助言委員会」(仮称)や「運営助言委員会」(仮称)等の委員会を設置し、政府がガバナンスしやすくするというもので、学術の独立性、自律性を害するいくつもの仕掛けが組み込まれています。この決定の裏には、菅前首相が学術会議会員任命拒否を行った2020年10月の直後に発足した「自民党政務調査会。政策決定におけるアカデミアの役割に関する検討プロジェクトチーム(PT)」が2020年12月9日に発表した「日本学術会議の改革に向けた提言」がありました。そこでこれでの経緯簡略に触れながら学術会議の独立性、自律性の侵害の問題を検討し、反対の声を挙げたいとえます。

学術会議存立の要件
 学術会議会員任命拒否には多くの団体、人々から反対の意見が表明されました。それからすでに4年が経とうとしていますが、まだこの問題は終わっていせん任命の拒否理由を示さないどころか、員選出に透明性がないと決めつけて、政府は学術会議の在方の見直しを迫りました。
 学術議は見直しに関わって2021年4月の総会で「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」を採択ました。世界のアカデミた要件して 学術的に国を代表する機関としての地位 そのための公的資格の付与、 国家財政支出による安定した財政的基盤、 活動面での政府からの独立、 会員選考における自主性・独立性」を挙げ、この「5要件」には、「近視眼的な利害に左右されない独立した自由な学術の営みを代表するアカデミーの活動が、学術の豊かな成果を広く国際・国内の社会に還元する役割を通じて公共の福祉を保障する世界共通の信念が託されています」と述べ、政府の機関であっても政府から独立した組織である意義が語られました

学術会議法改正案の提案を断念
 2004年に学術会議が組織改革された折、十年後に見直すという総合科学技術会議の方針に基づき、2015年内開府特命担当大臣(科学技術政策)のもに「日本学術会議の新たな展望を考える識者会議」が組織され、「日本学術会議の今後の展望についてというが出されました。それには「国の機関でありつつ法律上独立性が担保されており、かつ、政府に対して勧告を行う権限を有している現在の制度は、日本学術会議に期待される機能に照らして相応しいのであり、これを変える積極的な理由は見出しにくい。」との見解が示されました。