北大西洋条約機構(NATO)は9日から11日まで、米首都ワシントンで首脳会議を開いています。
NATOは第2次世界大戦後の1949年に米国がソ連の脅威に対抗する=ソ連を敵国とする軍事同盟として創設されたもので、ソ連が1991年に崩壊した時に本来の役割を終えた筈でしたが、逆にいまやロシアを敵国とする超巨大な軍事組織に成長しています。
そうである以上、そのような軍事同盟に本来加盟の資格を持たない日本が安易に参加したり、参加国同然の振る舞いをしようとするのは極めて異様であり危険なことです。
9日付のしんぶん赤旗は、岸田首相が10日から訪米し、12日にはドイツを訪問するのは「日米同盟を中心とした軍事ブロック網の強化を図るとともに、9月の党総裁選に向けて外交面での『実績』をアピールする狙い」と述べています。余りにも浅はかと言うしかありません。
22年以降、岸田首相は勇んでNATO首脳会議にオブザーバー参加したうえで、NATOの東京事務所設立のアイディアにも異議を挟まないでいます。憲法第9条を持つ国家としてあるまじきことです。
⇒(22.7.3)岸田首相が軍拡公約 NATO会議 力対力 世界を分断(しんぶん赤旗)
別のしんぶん赤旗の記事:「NATOノー 平和にイエス 米国内外平和団体が抗議」は、米国内外の反戦・平和団体が7日、ホワイトハウス前で抗議集会を開き、参加者が「NATOにノー、平和にイエス」「NATOに抵抗する」「終わりのない米国の戦争にノーと言う」等のプラカードを掲げ、「退役軍人平和会」ジョシュア・シャーリー副議長が、「NATOは平和と地球を脅かしている」「すでに危険な状況をより一層悪化させている」ことを、多くの人に知らせる必要があると語ったと報じています。
これがNATOの実態です。岸田首相には大いに頭を冷やしてほしいものです。
しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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きょうからNATO首脳 ウクライナ加盟へ支援
しんぶん赤旗 2024年7月9日
【ワシントン=洞口昇幸】北大西洋条約機構(NATO)は9日から11日まで、米首都ワシントンで首脳会議を開きます。ロシアの侵略を受けるウクライナについて、同国の将来的なNATO加盟に向けて取り組みを進める構えを改めて示し、軍事や財政面などで支援を強化・拡大する枠組みを発表する見込みです。9日にNATO創設75周年の式典が行われます。
米政府高官は5日、記者団に対し、首脳会議で「ウクライナの将来がNATOにあることを再確認し、NATOのウクライナヘの軍事的、政治的、財政的な支援の拡大について新しい重要な発表を行う」と説明しました。同高官は「これはウクライナの〝NATOへの架け橋″の一環だ」と強調。米国政府としても「ウクライナの防空と軍事能力を強化するための新たな措置を発表する」と述べました。
ウクライナの「加盟への架け橋」と呼ばれる長期計画について、同高官は、訓練や兵たん、装備の提供・開発などでウクライナ軍を支援し、NATOとの相互運用性も強化していくものだと述べました。
首脳会議にはウクライナのゼレンスキー大統領も参加。10日は3月に加盟したスウェーデンを含む32カ国で会議を行います。11日には議長を務めるバイデン米大統領が記者会見を開く予定です。
日米中心の軍事ブロック網 岸田首相 強化狙う
しんぶん赤旗 2024年7月9日
【ワシントン=石橋さくら」3年連続で北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席する岸田文雄首相は10日から訪米し、12日にはドイツを訪問します。日米同盟を中心とした軍事ブロック網の強化を図るとともに、9月の党総裁選に向けて外交面での「実績」をアピールする狙いです。
NATOのストルテンベルグ事務総長は昨年の首脳会議で、日本は「最大のパートナー国だ」として連携深化を称賛。対中国を前提にした日・NATO間の協力拡大を織り込んだ新文書「国別適合パートナーシップ計画(ITPP}」を締結し、宇宙、人工知能(AI)や量子技術を使った「新興破壊技術」への対応など16項目にわたる協力分野を盛り込みました。今回の首脳会議では、偽情報対策で協力を探めるための戦略対話の枠組み創設で合意する方向です。
ストルテンベルグ氏は昨年の首脳会議で、情報操作をはじめとする新たな脅威に対抗するためのNATOの演習への自衛隊のオブザーバー参加等を挙げたうえで、実務的な活動への参加の機会を拡充すると明記しました。
実際に、先月27日、海上や空中、サイバー空間など初の複数領域にまたがる日米韓の共同訓練 「フリーダム・エッジ」を実施。また防衛省は、7月下旬にNATO加盟国のドイツ、フランス、スペイン各国空軍との共同訓練を北海道で実施すると発表。3カ国の空軍機が同時期に日本に展開するのは初めてで、3カ国の戦闘機と輸送機、空中給油機など合わせて30機あまりが展開する大規模なものとなる見込みです。
NATOノー 平和にイエス 米国内外平和団体が抗議
しんぶん赤旗 2024年7月9日
ホワイトハウス前
【ワシントン=柴田菜央】北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が9~11日に米首都ワシントンで開かれるのを前に、米国内外の反戦・平和団体は7日、ホワイトハウス前で抗議集会を開きました。参加者は「NATOにノー、平和にイエス」と唱和し、NATOの強化・拡大による世界各地の軍事的緊張の高まりに危機感を示しました。
集会は、国際平和ビューロー(IPB)や「ワールド・ビヨンド・ウォー」など反戦・反核を訴える幅広い団体が共催。参加者は「NATOに抵抗する」「終わりのない米国の戦争にノーと言う」などと書かれた横断幕やプラカードを掲げてアピールしました。
米退役軍人による反戦組織「退役軍人平和会」(VFP)のジョシュア・シャーリー副議長は、「NATOは平和と地球を脅かしている」と強調。米国やNATO加盟国が核開発を続けて「すでに危険な状況をより一層悪化させている」と指摘し、そのごとを多くの人に知らせる必要があると語りました。
ニューヨークから参加したザイ・ユーセフさん(30)は、米政府は税金をウクライナやイスラエルヘの支援にあてて海外での戦争を激化させようとしているが、「米市民には何のためにもならない。不公平だ」と力を込めました。
ユーセフさんは「NATOが拡大してきて良いことは何もなかったということに、多くの人が関心を持ち始めている」と訴えました。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。