しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
・ガザ停戦 英首都でデモ 「新政権・議会に圧力」
4日の総選挙を受けて労働党のスターマー政権が発足した英国のロンドンで6日、イスラエルが続けるガザ地区への軍事侵攻に抗議し、「今こそ停戦を」「ジェノサイドをやめろ」「イスラエルヘの武器援助の中止を」などと書いた横断幕やプラカードを掲げたデモ行進が行われました。労働党公認候補で再選を果たしたザラー・スルタナ氏は、「労働党指導部は、当初からイスラエルの戦争犯罪を非難すべきだった。そうしなかったという事実は汚点だ」と指摘しました。
新外相となったデービッド・ラミー氏は6日、ガザで続く紛争について「われわれは皆即停戦を求めている」「その停戦をもたらすバイデン米大統領の努力を支援するためにあらゆる外交的努力を行う」と述べました。
・学校攻撃 16人死亡 イスラエル軍
パレスチナの保健当局は6日、イスラエル軍がガザ中部ヌセイラトの学校を攻撃し、少なくとも16人を殺したと発表しました。学校にはパレスチナ人が避難しており、負傷者は50人以上に上るといいます。負傷者の多くが重体で、今後死者が増えるだろうということです。
ガザ保健当局の6日の発表によると、イスラエル軍のガザ地区への攻撃で、この24時間に少なくともパレスチナ人29人が死亡し、100人が負傷。昨年10月7日以降、3万8098人が殺されました。10月7日以降に殺害されたジャーナリストは158人となりました。
櫻井ジャーナルが「殺されたパレスチナ人は12万人から60万人になる可能性」という記事を出しました。
ガザ保健省は死者数についてはこれまでも「確実な数を発表している」としてきましたが、ランサットによると、間接的な死者は直接死者の3倍から15倍にのぼるとされているので、12万人から60万人がイスラエルによって殺害されたと述べています。
同記事はまた23年10月7日にハマスが越境攻撃するに至って経緯を明らかにしています。バイデンはいまも「10月7日のハマスの行為が諸悪の根源」と述べて憚りませんが、あまりにも浅薄で誤った見解です。併せて紹介します。
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ガザ停戦 英首都でデモ 「新政権・議会に圧力」
しんぶん赤旗 2024年7月8日
英国の首都ロンドンで6日、イスラエルが続けるパレスチナのガザ地区への軍事侵攻に抗議し、即時停戦を求めるデモ行進が行われました。4日の総選挙を受けて労働党のスタリマー政権が発足してから初めてとなるガザ連帯行動で、対イスラエル・パレスチナ政策の転換を求める圧力が今後高まるとみられます。
現地からの報道によると、反戦平和団体や労働組合のメンバー、大学生などが参加しました。パレスチナの旗を振りながら、「今こそ停戦を」「ジェノサイド(集団殺害)をやめろ」「イスラエルヘの武器援助の中止を」などと書いた横断幕やプラカードを持って歩きました。
労働組合会議(TUC)のシェリー・アスクウィス氏は集会で、「ガザの子どもたちが毎晩悪夢を見ている最中に英国の新議員が静かに休むようなことがあってはならない」と強調。
「英国がジェノサイドの共犯者になることをやめるまで、あらゆる形で新政権や新議会に圧力をかけていく」と述ぺました。
無所属で総選挙に立候補し、ガザ支援を訴えて当選したジェレミー・コービン前労働党党首は、「私は公約を守り、パレスチナの人々のために立ち上がる」と語りました。またスターマー氏が率いる労働党が前回比で得票数を減らした背景にはガザ問題での対応の不十分さがあったと指摘しました。
総選挙では、ガザ問題でイスラエルを厳しく批判する無所属候補5人が労働党候補を破って当選しました。ほかにも現職議員でありながら、選挙直前に労働党指導部から公認を外された左派のファイザ・シャヒーン氏が、無所属として立候補した選挙区では、労働党公認候補と票が割れ、保守党重鎮が当選。ガザ問題で労働党が得票や議席を失った事例が相次ぎました。
スターマー氏は昨年10月、イスラエルがガザヘの電力や水を遮断した際、イスラエルにはそうする「権利」があるが「国際法の範囲内で行われるべきだ」と発言し、批判の的に。「即
時停戦」をすぐには主張しなかったことには、党内の左派やイスラム系の党員が抗議し、地方議員を含む少なからぬ離党者を生みました。
党公認候補として再選を果たしたザラー・スルタナ氏は、当選後のテレビインタビューで「労働党指導部は、当初からイスラエルの戦争犯罪を非難すべきだった。そうしなかったという事実は汚点だ」と指摘しています。
英新外相 ガザ即時停戦求める
英労働党のスターマー首相の下で新外相となったデービッド・ラミー氏は6日、英メディアとのインタビューで、パレスチナのガザで続く紛争について、「われわれは皆即停戦を求めている」と述べました。
TVとのインタビューに答えたラミー氏は、続けて「その停戦をもたらすバイデン米大統領の努力を支援するためにあらゆる外交的努力を行う」とし、人質の解放や援助物資の搬入を進めることも求めました。
労働党のマニフェストでは、パレスチナ国家の承認と「2国家解決」に言及していますが、いつ承認するかについては触れていません。
ラミー氏はガーディアン紙とのインタビューでは、気候政策や、欧州、グローバルサウスとの関係を「リセット」し、「世界との関係を再構築しなければならない」と述べました。
また「欧州での戦争が続いており、国防支出や緊密な協力を継続する」として、ウクライナヘの軍事支援を継続する意向を示しました。
ラミー氏は6日、外相としての初訪問先のドイツでベーアボック外相と会談。その後ポーランド、スウェーデンを訪問します。
学校攻撃 16人死亡 イスラエル軍
しんぶん赤旗 2024年7月8日
【ロイター】パレスチナの保健当局は6日、イスラエル軍がガザ中部ヌセイラトの学校を攻撃し、少なくとも16人を殺したと発表しました。学校にはパレスチナ人が避難しており、負傷者は50人以上に上るといいます。
イスラエル軍は、ハマスの戦闘員が隠れ家としてこの地域を利用していると主張。ハマスはこれを否定しました。イスラエル軍は、民間人へのリスクを最小限に抑えるため予防措置を講じたとも主張しました。
現場にいたアイマン・アトウネ氏は子どもの遺体を見たと話し、「ここは遊ぴ場で、トランポリンもブランコもあった」と述べました。
ガザ民間緊急サービスのマフムード・バサル報道官は声明で、負傷者の多くが重体で、今後死者が増えるだろうと述べました。
ヌセイラトは、ガザ地区の八つの歴史的な難民キャンプのひとつ。6日、イスラエル軍の砲撃が強化されました。医療関係者によると、キャンプ内の民家への空爆により、少なくとも10人が死亡、多数の負傷者が出ました。
ガザ保健当局の6日の発表によると、イスラエル軍のガザ地区への攻撃で、この24時間に少なくともパレスチナ人29人が死亡し、100人が負傷。昨年10月7日以降、3万8098人が殺されました。
ガザ当局のメディア事務所によると、6日の空爆で死亡した人たちのうち5人が地元ジャーナリストでした。10月7日以降に殺害されたジャーナリストは158人となりました。
ガザで虐殺されたパレスチナ人は12万人から60万人になる可能性
櫻井ジャーナル 2024.07.09
ガザ保健省の発表によると、昨年10月7日から今年6月19日までにガザでは3万7396人が殺された。瓦礫の下には数千の遺体があると言われているほか、ランサットによると間接的な死者は直接死者の3倍から15倍にのぼるとされているので、12万人から60万人がイスラエル軍の攻撃で殺されたことになる。大量殺戮以外の何者でもない。
この大量殺戮を正当化するため、西側の政府や有力メディアはイスラエルという国が先住民であるアラブ系住民の虐殺、いわゆる民族浄化から始まったことから目を背けてきた。
今回の虐殺に限っても、イスラエルは2023年春から挑発を繰り返していた。2023年4月1日にイスラエルの警察官がイスラム世界で第3番目の聖地だというアル・アクサ・モスクの入口でパレスチナ人男性を射殺し、4月5日にはイスラエルの警官隊がそのモスクへ突入、ユダヤ教の祭りであるヨム・キプール(贖罪の日/昨年は9月24日から25日)の前夜にはイスラエル軍に守られた約400人のユダヤ人が同じモスクを襲撃、さらにユダヤ教の「仮庵の祭り」(昨年は9月29日から10月6日)に合わせ、10月3日にはイスラエル軍に保護されながら832人のイスラエル人が同じモスクへ侵入しているのだ。それをアメリカなど西側諸国は黙認した。
昨年10月の攻撃直後、イスラエルのハーレツ紙は記事の中で「ハンニバル指令」について触れている。攻撃の際、約1400名のイスラエル人が殺されたとされたされたのだが、その中にハマスと交戦したイスラエルの軍人や治安機関員が含まれていると指摘されて1200名に訂正されたが、相当数はイスラエル軍の攻撃で殺されたと伝えたのだ。
同紙によると、イスラエル軍は侵入した武装グループを壊滅させるため、占拠された建物を人質もろとも砲撃、あるいは戦闘ヘリからの攻撃で破壊したとしていた。ハーレツの記事を補充した報道もある。
その後、ハーレツ紙は当初の報道を補強する情報を入手した。文書のほかイスラエル軍将兵の証言からイスラエル人を殺害した命令が具体的に示されている。誘拐されたイスラエル人の多くが、イスラエル軍に銃撃され、危険にさらされていたのである。パレスチナの武装集団にイスラエル人拉致され、人質になることを避けるため、自国の兵士や民間人を殺害するよう指示されたということだ。
ハマスは10月7日に民間人を虐殺、子どもの首が切り落とし、女性をレイプしたと西側では宣伝されてきたが、殺害したのはイスラエル軍、子どもの首を切り落としたり女性をレイプしたとする話は証拠が示されていない。作り話である可能性が高いと考えられている。
戦闘が始まった直後、ベンヤミン・ネタニヤフ首相はパレスチナ人虐殺を正当化するため、「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出し、「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を引用している。
「アマレク人」を家畜ともども殺した後、イスラエルの民は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神に命じられたと旧約聖書では記述されている。
アマレク人は歴史の上で存在が確認されていないが、この民族をイスラエルが敵視している勢力に重ねて見せた。パレスチナ人が生活していた歴史を破壊で消し去るということだろう。
サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」ということが書かれている。これこそがガザでイスラエルによって行われていることだというのだ。
ネタニヤフによると「われわれは光の民であり、彼らは闇の民だ」としたうえで、イザヤの預言を理解しなければならないと主張する。「われわれ」とはイスラエル人、「彼ら」とはパレスチナ人、イスラム教徒、あるいはイスラエル以外の人びとを指しているのだろう。
ネタニヤフはリクードの政治家だが、同じようにこの政党に所属する元国会議員のモシェ・ファイグリンはガザをドレスデンや広島のように破壊するべきだと主張している。実際、破壊されたガザの様子は両都市を彷彿とさせるものがある。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。