2024年7月27日土曜日

広島平和公園で「原爆と戦争展」 「米国の原爆投下正当化は間違い」

 長周新聞に掲題の記事が載りました。
 同紙が後援している「原爆展全国キャラバン隊」は、4月27、28日に続き13広島市の平和公園で街頭「原爆と戦争展」を開きました。
 第二次世界大戦で戦地へかり出された兵士の体験や、全国空襲、沖縄戦、広島・長崎の原爆投下によって被害を受けた市民の体験、そしてアメリカによる単独占領後の日本社会について、多くの人々の証言をもとに写真付の記事が時系列で展示されています
 広島を訪れる外国人観光客の多くが展示に足を止め、海外では語られることのない凄惨な被爆体験や日本の市民の視点から見た第二次大戦の真実に衝撃を受けています。
 現場で渡されたアンケート用紙には、今回もびっしりと数十行に渡って感想が記されてい感動します。是非ご一読ください。

関連記事
 5月15日)平和希求し広島訪れる世界の若者たち 「西側の正義は偽善だった」 平和公園で原爆と戦争展
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「米国の原爆投下正当化は間違い」 広島平和公園で「原爆と戦争展」を参観する外国人 剥がれる第二次世界大戦評価の欺瞞

                          長周新聞 2024年7月25日

街頭に展示された「原爆と大戦の真実」パネルを見入る外国人(13日、広島市中区・平和公園)

 原爆展全国キャラバン隊は13日、広島市中区の平和記念公園で、街頭「原爆と戦争展」をおこなった。展示は、第二次世界大戦で戦地へかり出された兵士の体験や、全国空襲、沖縄戦、広島・長崎の原爆投下によって被害を受けた市民の体験、そしてアメリカによる単独占領後の日本社会について、多くの人々の証言をもとに時系列で描いている。広島を訪れる外国人観光客の多くが展示に足を止め、海外では語られることのない凄惨な被爆体験や日本の市民の視点から見た第二次大戦の真実に衝撃を受け、意見や感想をアンケートに記した
 外国人参観者の多くが、原爆投下直後の広島・長崎の被害を伝える写真や体験者の証言、詩を見て「言葉がない」「衝撃的で描写的」「興味深い」との反応を示している。海外では歴史の授業等を通じて原爆による具体的な被害の実情について学ぶ機会はほとんどないと語られる。とくに欧米から訪れた参観者が関心を寄せているのが、「原爆は戦争終結には必要なかった」というパネルと、終戦後に単独占領したアメリカの占領政策やその下での日本国民の体験だ。

 スウェーデンから来たという男性(28歳)は、長時間かけて展示を見たあと、「戦後アメリカによる占領下で、市民への厳しい弾圧があったことは本当なのか? こうした第二次世界大戦後の出来事は、ヨーロッパではまったく語られない」と話していた。
 展示パネルには、戦後の日本を占領統治したGHQがおこなった言論統制や検閲について、次のような体験者の証言が記されている。
 「どんな田舎でもGHQの事務所があり、会合をするたびに時間や場所、出席者や内容まで報告しなければいけなかった。私は事務所に呼ばれ“マニラから帰ったらしいが、反米思想をふりまくな”と釘を刺された」(長崎市)
 「戦争直後、治安の悪いことは特攻崩れ、予科練崩れのせいにされたり、悪用されて汚名を着せられた。元特攻隊員を脅し文句にするチンピラが出回った。私自身、“予科練崩れ”を悪用した強盗事件のおかげで、警察に連行され追及されるといった体験もした」(下関市)

 スウェーデンの男性はアンケートに、「かつての戦争で起こった出来事や体験を総合的に伝える展示であり、私の考え方も変わった。私は元々、原爆は戦争を早く終わらせ、人々の流血を減らすために必要なものだと信じていた。しかし、今になってそれは日本に対する攻撃というよりも、ロシアを牽制するための戦術だったと理解した。アメリカにとっては勝てるとわかって始めた戦争だった。そして、アメリカは戦利品を他国と共有することなく独占し、日本を支配下に置いたうえで、その後の自国の戦争の基地にするのが目的だったのだ。原子爆弾は日本との戦争を終わらせるためには必要なく、それはただ米国にとってその先々の他の戦争を有利に進めるために過ぎなかった」(28歳・心理学者)と記していた。
 日本国内各地からも親子連れなど多くの参観があった。神奈川県から来たという40代の男性は、アンケートに「戦争の惨禍が起こる機序がわかりやすく解説されていて、これからを生きる人々が何に注意し、何を防いでいかなければならないのか、社会がどのようになると危険が近づいてくるのかの参考になった。時間があまりない人にも立ち寄りやすく、場所も良い。イデオロギーや宗教をこえて、人類共通の利益となるはずの平和を創り続けるために、このような運動は永遠に続いていくべきだ」と記した。
 他にも参観者のアンケートには「原子爆弾は決して使用してはならないし、アメリカの正当性は間違っている。このことを世界にわかってもらうためにこの戦争を語っていかなければならない」「アメリカのいう“正義の原爆”はないと思う。いまだにアメリカの属国となっている日本をとても悲しく思う。日本の自主独立ができる日を望む」などの意見が記されていた。  

パネル参観後にアンケートを記す外国人観光客(13日、広島市)

人々の証言から見える真実――外国人アンケートより
 ▼私の知らなかった情報がたくさんあり衝撃的な展示だった。「ショッキング」という言葉はこの展示会のことをあらわす言葉であることは間違いない。戦争はとても悲しく、野蛮だ。ウクライナ戦争やガザ戦争は今すぐにやめるべきだ。しかし、世界の人類の一部には、自分たちのための権力を好む者がいる。それはアメリカ、日本、ロシア、北朝鮮なども同じで、彼らは助けではなく権力を望んでいる。アメリカは自身の権力のためにウクライナを助けているのであって、決して善行のためではない。戦争は悪だ。戦争とは、人間の悪い部分の象徴だ。(メキシコ・16歳男性・学生)

 ▼本当に胸が張り裂けそうだ。私と息子はメキシコ出身で、地理的に米国にも近いので彼らの戦争犯罪についても知っている。また、私の祖父は日本人だ。彼は第二次世界大戦以前にアメリカに到着していたが、そのときからすでに日本人コミュニティはアメリカ政府による圧力を受けており、強制収容所に入れられていたそうだ。アメリカは権力欲のあるナルシストな国だ。また、日本も中国や韓国に対してひどいことをおこなったことも事実だ。すべての戦争は野蛮で不必要でありすぐに止めるべきだ。このような残虐行為はいかなる理由があっても正当化されるべきではないし、どこの国の国民も軍事費を負担すべきではない。今世界で戦争を起こしている野心的で自己中心的なリーダーたちは過去から何も学んでいない。また同時にこの問題の主役は、世界中の人々の「無知」でもある。すべての戦争が早く終わることを願う。私たちが過去から学ばなければ、必ず負の歴史をくり返すことになるだろう。(メキシコ・43歳・女性・専業主婦)

 ▼私は信じられないほど感動した。また、日本における第二次大戦の経過とその余波についての自分の無知さ加減に愕然とした。私は、ニューギニアで日本兵と戦ったオーストラリア人志願兵の娘だ。彼は日本の一般の兵士の勇気を尊重するとともに、彼らのことを「私たちと同じ“哀れな人たち”だ」と話していた。オーストラリアに対する残虐行為は、ティモール、ビルマ、日本(占領下)の炭鉱でおこなわれた。だが、多くの日本兵はヒロヒト(昭和天皇)と支配層たちに利用された無力感に苛まれていたに違いない。彼らの背後には、この戦争における邪悪で巨大な米国の支配構造が秘密裏に存在していた。日本は、観光主義やビジネスに重きを置くのではなく、たとえ米国にどれほどの犠牲を払おうとも報道の自由と抵抗に重きを置くべきだ。日本はアメリカと同盟国だが、そのことで利益を得ているのは誰か、よく考えるべきだ。(オーストラリア・73歳・女性・退職者)

 ▼とても有益だ。私が今まで聞いたことのなかった出来事についてたくさんのことを知ることができた。これらはすべて、人々が学ぶべき非常に重要な情報だ。今も世界で戦争が起きていることは、とても悲しい。戦争は非人道的で破壊的であり、不必要だ。世界に戦争が好きな人がいるということが許せない。そして、私たち自身も戦争が起こることを許可していることになる。私たちは過去に十分な恐怖を見てきたはずだが、最終的な教訓にするのはいつになるのだろうか。いつか私たちが戦争のことを考えずに生きていける社会が実現することを願う。(アメリカ・20歳・女性・学生)

 ▼この展示は全体的に第二次世界大戦の歴史に対して描写的で比較的中立な立場を保っていると感じた。民間人の視点をとり入れている。そのなかでもとくに、当時日本国民の多くが、日本の軍国主義にもとづく侵略や主張に違和感を抱いていたということを知り衝撃的だった。また、この展示は731部隊や南京大虐殺をはじめとする日本が中国でおこなった残虐事件についてもはっきり伝えている。(中国・18歳・男性・学生)

 ▼このような虐殺を今日まで隠蔽しようとしてきた人々の意図を理解するためにも、歴史を遡って知ることはとても重要だ。人々の証言や詩を通して原爆がどれほど彼らの人生全体に大きなダメージを与えたかを知り、苦痛だった。彼らの証言を、この恐怖をまだ知らない人々とともに分かちあう必要がある。そして、世界中が痛みを共有している今こそ、二度と最悪の事態を引き起こさないために心にとどめておかなければならない。(フランス・29歳・女性・フリーター)

 ▼実際に広島という地で、いざここで過去に起こった恐ろしい出来事と対面することはとてもつらいことだ。オランダでの教育においては、ただ単に第二次世界大戦のことを教えるだけで、この展示のような歴史真実が教えられていないことは痛恨の極みだ。そして、災害は今日でも起きているのだということを、私たち全員に思い起こさせるためにもこの展示を読む必要がある。ウクライナ戦争やガザ戦争が今も続いていて、何の罪もない一般市民が政治対立によって犠牲になっていることにひどく心が痛む。(オランダ・24歳・女性・土木技術者)

パネルや縮刷版冊子を読む参観者(13日、広島市)