植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
「無知報道」とは ウクライナ戦争の原因を22年2月24日のロシアの侵攻に限定する解釈のことです。「ウクライナ侵攻」の「前史」を捨象すれば、「ロシアが悪者、ウクライナは正義」ということになりますが、それは間違いであるという指摘です。
それこそはイスラエルの「ガザ侵攻」が、23年10月7日のハマス軍によるイスラエル侵攻という「許されない行動」が全ての原因で、イスラエルの侵攻とパレスチナ住民の虐殺は全て許される、というネタニヤフやバイデンらの主張と同じ「間違い」を冒すものです。
後者が大間違いであることは、パレスチナ問題の専門家 岡真理・早大教授などが克明に論じているところです。
ウクライナ戦争は植草氏他が説明している通り すべて米国によって入念に画策されたものでした。ウクライナ戦争が勃発した際に識者らが「一番悪いのは米国」と述べたのはこの間の経緯を指摘したものです。しかし残念ながら現在では米国を悪とする論調は皆無に近くなっています。
ウクライナは暴力集団の「ネオナチ(極右)」を「アゾフ大隊」として正規軍の一部に編入した極めて特異な国家です。そのことは公安調査庁のホームページにも掲載されていましたが、ウクライナ戦争が始まるとその記事を削除しました。すると日本の識者たちもTV朝日やNHKと論調を合せ、ウクライナには「ネオナチ」は存在しないと言うようになりました。
⇒(22.4.11)公安調査庁 アゾフ大隊をテロ組織から削除(植草一秀氏)
そもそも「ネオナチ」が政権の主体を占めているかどうかは極めて重要な問題です。上記の記事では、キャノングローバル戦略研究所研究主幹の小手川大助氏(元大蔵官僚・元IMF理事)による解説記事が極めて参考になるとして、そのURLを紹介しています。
「ウクライナ問題について 」(2014/3/20) https://bit.ly/3LAkeeX
「ウクライナ問題について その2」(2014/4/10) https://bit.ly/3qXQIrQ
「ウクライナ問題について その3」(2014/5/13) https://bit.ly/36KeXms
「ウクライナ問題について その4」(2014/5/15) https://bit.ly/3J73Twy
興味をお持ちの方は最初の論文だけでも読んでみてください。
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ウ戦争無知報道続けるメディア
植草一秀の「知られざる真実」 2024年7月11日
ウクライナ戦争について米国の2人の大統領候補はまったく異なる見解と対応提案を示している。トランプ氏は前大統領。バイデン氏は現大統領。
ウクライナ戦乱がなぜ発生したのか。その捉え方によって見解は真逆になる。
トランプ氏は自分が大統領任期中に問題が発生したなら戦乱発生を防ぐことができたと述べた。十分に説得力のある見解だ。
これに対してバイデン氏は悪の帝国ロシアが侵略戦争を引き起こしたのであって、正義の国ウクライナを全面支援する必要があるとする。
この見解は米国軍産複合体の利益追求を覆い隠す偽装主張に過ぎない。
問題は日本のメディア対応。バイデンの主張の側に立つ報道しか展開しない。
ロシアが悪。ウクライナが正義。
ウクライナ支援のために無制限、無尽蔵に武器支援を行うべきだ。戦争拡大、戦争長期化を回避することなく、ロシアを撃退するまで戦争を続けるべきだ。この主張しか報道しない。
不正義はウクライナにある。ウクライナでは2004年と2014年に2度の政権転覆があった。いずれも米国が地下工作して仕組んだ政権転覆だ。
2004年は大統領選挙でヤヌコビッチが勝利した。
これに「不正選挙だ」とクレームを付けた。2020年の米国大統領選と同じ。
ウクライナでは選挙やり直しを強要した。これが正当なら、2020年の米国大統領選挙もやり直しをするべきだった。
やり直し選挙を求める民衆活動を創作したのは米国の地下工作だった。
やり直し選挙前に親米候補ユシチェンコの顔がただれた。「反対勢力に薬を盛られた」との宣伝が効果を発揮してユシチェンコが勝利した。
しかし、真実はユシチェンコサイドの自作自演だった疑いが強い。
2014年はヤヌコビッチ*大統領によるEUとの連携協定調印先送り決定に合わせて大規模デモが組織された。これも米国が地下工作して準備したもの。(*2010年に再選された)
ヤヌコビッチ政権とEUは話し合いで問題を解決した。これに切れたのが米国。
ネオナチ勢力を動員してデモ参加者とウクライナ警官29名を狙撃して射殺した。
この暴挙が民衆を暴徒化させて大統領を国外退去に追い込んだ。
この機に乗じて非合法政府が樹立され、米国が国家承認した。
創設された非合法政府の主要閣僚人事にまで米国が介入した。
米国の地下工作によるウクライナ政権転覆だった。
樹立されたウクライナ非合法政府はロシア系住民に対する大弾圧を始動した。
同時にウクライナ系住民に対する武力攻撃を展開した。この結果として、東部ドンバス地方で内戦が勃発。この内戦を収束するためにミンスク合意が締結された。
ミンスク合意は国連安保理で決議され、国際法の効力を有するものになった。
2019年4月に大統領に就任したゼレンスキーはミンスク合意の履行を公約に掲げた。
ところが、ゼレンスキーは公約を踏みにじった。
2020年の米国大統領選でバイデンが選出されると、ウクライナはミンスク合意を一方的に破棄し、ロシアとの軍事対決路線を鮮明化した。
ミンスク合意の核はウクライナ東部2地域に高度の自治権を付与すること。
この実施により、ウクライナのNATO加盟は消滅する。
しかし、米国とウクライナが共謀してミンスク合意を踏みにじり、ロシアの軍事行動を意図的に誘発した。その結果として2022年2月以降の戦乱拡大が生じたのである。
こうした経緯を踏まえると、バイデンサイドの主張をやみくもに正当化することはできない。
NHKも民放も、歪んだ主張だけを垂れ流す。
こうした偏向思考で世界平和を構築できるわけがない。
気鋭の政治学者・政治思想家である白井聡氏との共著が販売開始になった。
『沈む日本 4つの大罪経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな!』(ビジネス社) https://x.gd/3proI (画像は省略)
ぜひご高覧賜りたい。
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「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。