国際司法裁判所は19日、
イスラエルが1967年に占領したヨルダン川西岸、ガザ、東エルサレムに継続的に駐留していることを国際法違反と判断し、
イスラエルによる占領地の併合や入植活動の拡大、パレスチナ住民に対する差別的措置を全面的に断罪し、
イスラエルは「違法な駐留をできる限り速やかに終わらせる義務を負う」
と述べる歴史的判断を下しました。
法的な強制力はありませんが、常識を持つ人たちであれば一字一句同意できる内容です。
鬼畜の行為をやめないイスラエルを改心させるのは無理にしても、米国と西側諸国は司法裁の「占領で生み出された状況を維持するための援助、支援を与えない義務を負う」という指摘に耳を傾けるべきです。
「勧告的意見の骨子」は下記の通りです。
ー、パレスチナ占領地でのイスラエルの駐留は国際法違反
【イスラエルは】
一、違法な駐留を可能な限り速やかに終わらせる義務を負う
一、新たな入植活動の即時停止と全入植者の撤退の義務を負う
一、占領地での損害賠償義務を負う
【すべての国は】
一、違法な駐留を合法と認めず、駐留維持への援助を与えない義務を負う
【国連、国際機関は】
一、違法な駐留による状況を合法と認めない義務を負う
ー、国連総会と安保理は、違法な駐留を速やかに終わらせる的確な方法とさらなる措置
を検討すべき
しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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国際司法裁がイスラエル断罪
パレスチナ領土占領・入植・住民差別 国際法違反と判断
しんぶん赤旗 2024年7月21日
国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)は19日、イスラエルが1967年に占領したヨルダン川西岸、ガザ、東エルサレムに継続的に駐留していることを国際法違反と判断する勧告的意見を出しました。イスラエルによる占領地の併合や入植活動の拡大、パレスチナ住民に対する差別的措置を全面的に断罪し、イスラエルは「違法な駐留をできる限り速やかに終わらせる義務を負う」と述べる歴史的判断となりました。
同意見は、イスラエルについて占領地での新たな入植活動の即時停止、すべての入植者の撤退、住民にもたらした損害の賠償を行う義務があると指摘しています。
さらにすべての国に対して、違法な占領がもたらす状況を合法と認めないよう求め、「占領で生み出された状況を維持するための援助、支援を与えない義務を負う」と指摘しました。
国連総会や安保理に対しては、「イスラエルの違法な占領を可能な限り速やかに終わらせるために必要で的確な方法とさらなる措置を検討するべきだ」と勧告しました。
同意見は、57年以上続く占領について、武力による領土取得の禁止の原則に違反しており、パレスチナ人の民族自決権行使の障害となっていると明言。また占領地のパレスチナ人に対する差別的な立法・措置は「人種、宗教、民族的出自に基づく差別」であり、国際人権規約や人種差別撤廃条約に違反していると踏み込んだ批判を行っています。
パレスチナ自治政府議長府は「歴史的」であり、「正義の勝利」だと歓迎。イスラエルのネタニヤフ首相は「イスラエルは、自らの土地の占領者ではない」などと占領を正当化しました。
国連のグテレス事務総長は、勧告的意見を直ちに国連総会に送付。国連総会で今後の対応が審議されます。
国際司法裁の勧告的意見 国際司法裁は、国家間の紛争の裁定や、国際法上の論争点に対する勧告的意見を出す二つの任務を持ちます。裁定には法的拘束力があるのに対し、勧告的意見には法的拘束力がありません。今回は、2022年12月の国連総会決議が、イスラエルによるパレスチナ領土の長期の占領・入植・併合がもたらす法的結果に関する勧告的意見を求めたのに答えました。今年2月には6日間にわたり約50カ国が参加して、審理が行われていました。
ICJの勧告的意見
イスラエルによる占領 全面断罪
国際司法裁判所(ICJ)が19日に出した勧告的意見は、パレスチナの領土を占領し続けているイスラエルの行為を全面的に断罪しました。法的拘束力はないものの、国際的な規範として、イスラエルの占領終結とパレスチナの民族自決権の実現に大きな後押しとなる判断です。
同意見は、イスラエルは、違法な駐留をできる限り遼やかに終わらせる義務を負う、と述べるとともに、すぺての国に対して、イスラエルの不法な駐留を終わらせるための措置に実効性を与えるために協力すべきだ、と指摘しています。最大の支援者である米国などのイスラエル擁護の責任を事実上厳しく問う内容になっています。
勧告的意見は、イスラエルの占領が57年を超えていることについて、国際人道法に基づく占領としての性格は変わらないと指摘しました。
そのうえで、イスラエルが「占領国」として負う法的義務に反して行っている入植、併合、パレスチナ住民に対する差別的な立法・措置について検討しました。
入植政策については、民間人の移入の推進、土地の没収や接収、水を含む天然資源の搾取、イスラエル国内法の適用、パレスチナ人の追放、パレスチナ人に対する暴力の問題を取りあげています。
また占領地の一部併合、パレスチナ住民に対して課される居住許可や移動制限、家屋の破壊などの差別的な法律・措置についても、占領の違法性を裏付けていると指摘しました。
ICJは2004年、イスラエルが「自爆テロ対策」として建設した「分離壁」についで、違法であり、撒去すべきだとする勧告的意見を出しました。今回は、さらに踏み込んでイスラエルの違法行為を包括的に批判しました。
特に、占領の継続が「パレスチナ民族の自決権の行使を長期にわたり剥奪(はくだつ)し、基本的権利を侵害している」と指摘したのは画期的です。
またICJのサラーム所長は、同意見への付随意見で、イスラエルの占領地での差別的な政策は「アパルトヘイト(人種隔離)の犯罪に等しい」「一つの人種集団の他の集団に対する組織的な抑圧・支配の制度」だと断じました。
サラーム氏はさらに、違法な占領の終結にあたってイスラエルとの合意を条件にすることは「占領国に拒否権を与えることに等しい」と指摘。勧告的意見は、「公正で永続的な和平につながる、正義に基づくプロセスの基礎を敷いた」と評価しました。 (伊藤寿庸)
■勧告的意見の骨子
ー、パレスチナ占領地でのイスラエルの駐留は国際法違反 を検討すべき |