2015年4月11日土曜日

株式資産増 1千億円超が18名 銀行も国債の転売で大儲け

 9日の参院予算委員会で日本共産党の大門みきし議員が、庶民の生活は日々苦しくなる中で、アベノミクスの円安と株高で一部の富裕層と大企業恩恵を受けていることを明らかにしました。
 
 安倍政権発足後、株式資産を1000億円以上(最高額は9800億円)増やした個人は18名にのぼりました(下表)。同じく100億円以上増やした株主は220人にのぼり、その資産増加額の合計は11兆円を超えました。
 また株式譲渡所得申告納税者を所得階級別に見ると、「所得1億円超(富裕層)」(全体の2・6%)の人たちが株式譲渡所得全体の約70%を占めました
 
 いまは年金運用機関(政府機関)が積立金の130兆円を使って株の買い支えをしているため、海外の投資家を含めて富裕層が何の心配もなく投機に走り大儲けをしています。現在の株高はそうしたマネーゲームによるもので、別に経済の実態を反映したものではありません。しかし株価がピークに達すれば投資家は売り抜けるのでその後は株は大暴落します。そのときに最後まで株を持ち続けなくてはならない政府機関は、国民の年金積立金を台無しにすることになります。
 富裕層の大儲けのマイナス面だけが庶民に降りかかってくるわけです。
 
 一方、金融・保険業アベノミクスの恩恵を一番受けていて、彼らは国から買った国債を日銀に高い値段で売り巨額の利益を得ています。5大銀行グループは前年同期比2兆488億円増の利益を上げ、リーマン・ショック前の最高利益をも超えました。
 それにもかかわらず金融業界は大企業優遇税制の是正に反対し、受取配当・益金不算入制度なども温存しました。
 
 大門氏は、OECDが「格差の拡大が経済成長を抑制している」との報告書を出したことや、米国で富裕層や大もうけしている金融機関に増税し、その税収分を中低所得者の減税や学費援助に使っていることを挙げて、「日本も見習うべきだ」と提起しました。
 
 麻生財務相は「応能課税は引き続き検討すべき問題だ」と、また安倍首相は「今後、利益を上げている人たちから税金をいただき、教育等の分野に支出していきたい」と答えましたが、真剣に取り組む気があるのかは疑問です。
 しんぶん赤旗の二つの記事を紹介します。
 
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富裕層は大もうけ 庶民は暮らし悪化 税制の抜本的転換を
          参院予算委 大門議員の追及
しんぶん赤旗 2015年4月10日
 9日の参院予算委員会で、アベノミクスの問題点をただした日本共産党の大門みきし議員。円安と株高で一部の富裕層と大企業は恩恵を受けたものの、庶民の暮らしは悪化しているとして、税制を抜本的に転換するよう提案しました。
 
 「アベノミクスによる株高で富裕層が巨額の利益を手にしている」。こう指摘した大門氏は、株の売却・譲渡所得に占める富裕層の割合を紹介。株式譲渡所得がある申告納税者を所得階級別に見ると、「所得1億円超」(全体の2・6%)の人たちが株式譲渡所得全体の67・6%を占めています。大門氏は超富裕層の資産増加の状況(参照)も告発。次のようにただしました。
 
麻生財務相も「検討課題だ」
 
大門 貧困が広がっているのに、そこには手当てをしないで、一部富裕層が大もうけする。こんな経済政策は世界でも聞いたことがない。
麻生太郎財務相 富裕層の課税のあり方については、格差の固定化を避けるという点から関心がある。応能課税は引き続き検討すべき問題だ。
 
 大門氏は、経済協力開発機構(OECD)が「格差の拡大が経済成長を大幅に抑制している」との報告書を出し、米国でも富裕層や大もうけしている金融機関に増税し、その税収分を中低所得者の減税や学費援助に使っていることを指摘(図)。「日本も富裕層に増税し、所得の低い層の負担軽減や教育、社会保障などにまわすべきだ」と提起しました。
 
「量的緩和」で銀行にも巨利
 一方、業種別にみると、アベノミクスの恩恵を一番受けているのは金融・保険業です。業種別の増益額を見ると、金融・保険業界は前年同期比2兆488億円でトップ。5大銀行グループはリーマン・ショック前の最高利益を超える純利益をあげています。
 大門氏は、アベノミクスの「量的緩和」によって、銀行は国から買った国債を、日銀に高い値段で売り、巨額の利益が転がり込んでいると強調。ところが、金融業界は大企業優遇税制の是正に反対し、受取配当・益金不算入制度など本来見直すべき税制改正すら骨抜きにしてしまったとただしました。
 
大門 (受取配当・益金不算入制度を本来通り見直したら)国と地方合わせていくらの税収になったか。
佐藤慎一主税局長 国税で600億円、地方税で200億円、あわせて800億円と試算できる。
 
 大門氏は800億円あれば、年金のマクロ経済スライドをやめることもできると指摘。
「苦しい庶民には消費税を増税しておいて、もうかっている大企業は減税するのは逆さまだ。応能負担を原則とした税制に切り替えるべきだ」と強調しました。
 
図

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アベノミクス株高で1千億円超 超富裕層だけ大もうけ 大門議員告発
                                                                                   しんぶん赤旗 2015年4月10日
 「アベノミクスによる株高で富裕層は巨額の利益を手にした」―。日本共産党の大門
みきし議員は9日の参院予算委員会で、アベノミクスによる株価上昇で保有株式の時
価が1000億円以上増加した超富裕層18人の資産額を明らかにしました(表)。
 
 大門氏は「応能負担を原則とした税制に抜本的に転換すべきだ」と求めました。
 それによるとトップは、ソフトバンクのS氏で、資産増加額は9806億円。2位はファー
ストリテイリングのY氏で、8434億円です。ただ、Y氏の長男、次男もランク入りしてお
り、両氏の資産増加額を合わせると1兆3000億円超に達します。アベノミクス効果で
保有株式の時価総額が100億円以上増えた株主は220人にのぼり、資産増加額の
合計は11兆円を超えました。
 
 大門氏は、安倍政権がアベノミクスによって海外マネーを呼び込み、円安・株高をつ
くりだした結果、一握りの超富裕層・大株主の資産が急増したと指摘。「貧困が広がっ
ているのに、そこには手当てをしないで、一部の富裕層だけが大もうけをする。おかし
いのではないか」とただしました。
 麻生太郎財務相は「応能課税は引き続き検討すべき問題だ」と答弁。安倍晋三首相
は「今後、利益を上げている人たちから税金をいただき、教育等の分野に支出してい
きたい」と答えました。