2015年4月26日日曜日

戦争立法 十把ひとからげで 強行?

 「戦争立法」と呼ばれる新たな安全保障法制の制定・改正で政府は24日、自民・公明両党の与党協議会に、新設される海外派兵恒久法(国際平和支援法)と、現行の派兵関連法の改定案10本の条文案(しんぶん赤旗・表)を提示し事実上了承されました。
 
 毎日新聞は25日、「新たな安保法制 憲法も日米安保も超え」と題する社説を出しました。これらの法案はこれまで報道されてきたように、憲法をないがしろにし、これまではそれなりに辛うじて維持してきた日米安保条約の節度を大幅に破るものです。
 
 安倍政権は5月11日自公法案最終審査を経て、15日にも法案を国会に提出するかまえですが、何んと関連法案11本のうち海外派兵恒久法(国際平和支援法)を除く10本を一つの法案として扱十把ひとからげ審議で乗り切ろうとしています。それなら一度の強行採決で済むからといわんばかりです。
 
 そのうえ与党からは「(審議は)80数時間で十分間に合う」(佐藤勉・自民党国対委員長、14日の記者会見)との発言さえ出ています。しかし、一連の海外派兵法の過去の審議時間と比べてもおよそ考えらないことです。(しんぶん赤旗・表) 
 極めて乱暴に非常識的に戦争法案が制定されようとしています。
 
 信濃毎日新聞の社説としんぶん赤旗の記事を紹介します。
 
追記) 米国のメデイロス・アジア上級部長米国家安全保障会議NSC)は24日、日米が27日に最終合意する日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定によって「日本の役割が著しく拡大し、日本が米軍を広範囲に支援する仕組みが整う」日米同盟の運用に歴史的な変更が加わる」と評価しました。
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(社説)安保をただす 政府の法案 乱暴な十把ひとからげ
信濃毎日新聞 2015年4月25日
 新たな安全保障法制の整備で政府は、関連法案11本のうち10本を一つの法案として扱おうとしている。
 十把ひとからげに審議する類いの法案ではない。丁寧に議論する姿勢を全く感じさせないやり方だ。
 新たに制定を目指す「国際平和支援法案」を除く10本の改正部分を1本に集約する。自衛隊法や武力攻撃事態法、周辺事態法、国連平和維持活動(PKO)協力法などだ。自民、公明両党はきのうの与党協議で主要部分の条文を事実上、了承した。
 法改正とは言うものの、新しい法律を定めるのに等しい内容が含まれる。例えば、PKO法だ。PKOとは別に、「国際連携平和安全活動」を新たに設け、国連が統括しない活動にも自衛隊が参加できるようにする。
 2003年制定のイラク復興支援特別措置法のようなケースが念頭にある。法案が通れば、その都度、時限法を定めなくていい。紛争後の人道復興支援などに自衛隊を随時、出せる。後方支援の国際平和支援法案と並び、政府の判断でいつでも派遣可能になる。
 PKOを含め、自衛隊の業務も拡大する。住民保護などのため巡回や検問といった治安維持を担えるようにする。武装集団に襲われた他国軍部隊などを助ける「駆け付け警護」も可能にする。活動の危険度は高まり、海外での武器使用が現実味を帯びる。
 
 周辺事態法も同様に性質が一変する。もともとは朝鮮半島有事など日本周辺の紛争を想定し、戦闘する米軍への後方支援を定めた法律だ。政府の案では「重要影響事態法」に変える。「周辺」の文言をなくすことで地理的な制約を完全に取り払う。
 日本の平和と安全に重要な影響を与える事態だと政府が判断すれば、世界中どこででも後方支援できる。対象は米軍以外の他国軍にも広げる。支援の内容については弾薬の提供や、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油を解禁する方向だ。
 集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」は武力攻撃事態法に書き込む。これも1本にまとめる法改正に含まれる。明文改憲ではなく解釈変更での行使容認は認められない。出発点から疑問があるのに扱いが軽すぎる。
 本来なら、一つ一つ審議すべき法改正だ。ひとまとめなら採決も強行しやすいということか。
 
 
「戦争立法」の11法制提示  自公、一括で強行狙う
しんぶん赤旗 2015年4月25日
 政府は24日、国会内で開かれた「戦争立法」に関する自民・公明両党の与党協議会に、新設される海外派兵恒久法(国際平和支援法)と、現行の派兵関連法の改定案10本の条文案を提示しました(表)。協議で異論は出ず、事実上、了承されました。
 27日には条文に反映されない課題についての「政府統一見解」が示され、昨年5月から続いてきた与党協議は終局に向かいます。
 
 安倍政権は自公が5月11日に行う法案の最終審査を経て、15日にも法案を国会に提出するかまえです。24日の協議では、過去、1本だけで複数国会にまたがって審議し、審議時間も100時間を超えたような派兵法の改定案を「一括法」として処理する考えも示されました。
 しかも、これ以外にも「技術的な改正を行う法律が多数ある」(政府資料)見通しです。国会軽視の自公両党の暴走に、いっせい地方選で厳しい審判が求められます。
 派兵恒久法では、イラク戦争や湾岸戦争などのような事態を想定した「国際平和共同対処事態」で、米軍や他国軍の後方支援を地球規模で行う内容を盛り込んでいます。
 PKO(平和維持活動)法改定では、敵対勢力との交戦も想定される治安維持活動や他国軍の戦闘に加担する「駆け付け警護」を規定し、任務遂行のための武器使用も盛り込みました。国連統括以外の「国際連携平和安全活動」も追加されました。アフガニスタンでの治安維持活動のような活動も可能になります。
 また、「日本周辺」に限っていた周辺事態法を、地球規模で米軍などの後方支援を行う「重要影響事態法」に衣替え。関連して船舶検査法も改定し、地球規模で臨検(強制乗船)を行います。
 武力攻撃事態法には憲法違反の集団的自衛権を行使する「存立危機事態」への対処を明記し、名称も変更。関連法制を同事態で発動できるようにします。
 自衛隊法には、米軍など他国軍の「武器等防護」を地球規模で行うための条文や「邦人救出」のための武器使用、米軍などへの物品・役務の拡大などが盛り込まれます。

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