2015年4月15日水曜日

被害与えた周辺国との関係、朝日新聞が日独で意識調査

 朝日新聞社が、敗戦国である日本とドイツで同じ世論調査を実施し、戦争や戦後の歩みをめぐる意識の違いを探りました。
 
 戦争などで被害を与えた周辺国との関係が「うまくいっている」という人は、日本は46%でドイツは94%でした。
 被害を与えた国や人々に謝罪や償いを十分にしてきたと思うかについては、日本は「十分にしてきた」が57%で「まだ不十分だ」の24%を上回り、ドイツでは「十分」が73%で「不十分」の21%を引き離しまし
 政治家は被害を与えた国にこれからも謝罪のメッセージを伝え続けるべきだと思うかについては、日本は「伝え続けるべきだ」が46%、「伝え続ける必要はない」が42%とほぼ拮抗し、ドイツは55%対42%で「伝え続けるべきだ」が上回りました
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被害与えた周辺国との関係、日独で意識差 朝日新聞調査
朝日新聞 2015年4月14日
 朝日新聞社は戦後70年にあたり、敗戦国である日本とドイツで世論調査を実施し、戦争や戦後の歩みをめぐる意識を探った。戦争などで被害を与えた周辺国との関係が「うまくいっている」という人は、日本は46%で、ドイツは94%。謝罪を伝え続けることについては両国とも意見が割れているが、ドイツのほうが伝え続けることにより積極的だった。
 日本での調査は3~4月に郵送、ドイツでは3月に電話で実施した。調査方法は異なるが、日本での調査項目の一部に相当する内容をドイツでも聞いた。
 
 戦争などで被害を与えた周辺国と今、どの程度うまくいっていると思うかを聞いた。日本は「大いにうまくいっている」は1%に過ぎず、「ある程度うまくいっている」は45%。ドイツは「大いに」が39%、「ある程度」が55%。
 
 被害を与えた国や人々に謝罪や償いを十分にしてきたと思うかを尋ねると、日本は「十分にしてきた」が57%で「まだ不十分だ」の24%を上回った。ドイツでは「十分」が73%で「不十分」の21%を引き離した。質問文の一部が異なるが、日本では2006年4月の面接調査でも同趣旨の質問をしている。この時は「十分」が36%で、「不十分」の51%のほうが多かった。
 
 政治家は被害を与えた国にこれからも謝罪のメッセージを伝え続けるべきだと思うかを聞くと、日本は「伝え続けるべきだ」が46%、「伝え続ける必要はない」が42%と拮抗(きっこう)。ドイツは55%対42%で「伝え続けるべきだ」が多かった。
 この戦争について、学校で「しっかりと教わった」は、日本では13%にとどまった。ドイツでナチスの時代について「しっかりと教わった」は48%だった。
 
 米国などの連合国が日本の戦争指導者をA級戦犯として裁いた「極東国際軍事裁判」、いわゆる「東京裁判」をどの程度知っているか日本で聞くと、「内容をよく知っている」は3%にとどまり、「内容をある程度知っている」は30%。ドイツの指導者を戦犯として裁いた「ニュルンベルク裁判」についてドイツで聞くと、「よく」が21%、「ある程度」が47%だった。
 「よく」と「ある程度」をあわせて「知っている」と答えた人に裁判の印象を聞くと、日本で48%、ドイツで54%が「問題はあったがけじめをつけるために必要だった裁判」と答えた。日本では「戦勝国が敗戦国を一方的に裁いた不当な裁判」の32%がこれに次ぎ、「戦争の責任者を裁いた正当な裁判」は16%だった。ドイツでは「正当な裁判」31%、「不当な裁判」8%の順。日本の結果は、06年4月と傾向は変わっていない。(松井夕梨花、松下秀雄)
 〈調査方法〉 日本では、3月11日から4月10日にかけて、全国の20歳以上の男女3千人を対象に郵送方式で調査し、2016人から有効回答を得た。ドイツでは調査会社に委託し、3月11日から24日にかけて18歳以上の男女を対象に電話で聞いた。有効回答は千人。
  
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