2015年4月28日火曜日

戦争立法 9条無視の野放図さ

 安倍内閣の目指す戦争立法が、如何に無制限で、いつなんどき・何処ででもアメリカに追随して海外での戦争が出来るように意図されたものであるのかが、日々明らかになってきています。
 
 一方で国の財政破綻が目に見えて来つつある中で、まさに「戦争国家・テロ国家アメリカ」至上主義を振りかざし、莫大な費用を負担しつつすべてアメリカに捧げるというものです。
 あの中国のAIIB(アジアインフラ投資銀行)の設立参加で、日本以外の国々が殆どアメリカの完全覇権に「ノー」を示したことを、一体どう見たのでしょうか。
4月25日 もう引き返せない-アベノミクスの行き着く惨状 (金子勝氏)
  東京新聞は、27日の安保法制に関する与党協議への説明で、政府が、日本に対する武力攻撃が予測されず国内が平穏でも、存立危機事態を認定することで、集団的自衛権に基づく武力行使に踏み切る能性を否定しなかったことを報じました。
 要するに日本に対して攻撃する意図がなくても、政府が「存立危機事態を認定しさえすれば」相手に対して防衛出動して、武力行使ができるというもので、これほど憲法9条に反し、日米安保条約にも反する法制もありません。
 
 しんぶん赤旗も、「戦争立法の11法制 特徴と問題点」と題して、その問題点を下記のように列挙しています。
 
 すべてが自衛隊が海外で米国の戦争に参加し、軍事支援する法制で、9条のもとで容認される余地の全くないもの
 米国の先制攻撃に相手国が反撃した場合に攻撃参加する
 武器防護のための武器使用を米軍等の防護に転用する
 米軍の戦争支援のために、いつでも地球上のどこにでも自衛隊を派兵する
 弾薬の輸送・提供、発進中の戦闘機への給油など直接的な支援に踏み込
 PKO活動の武器使用基準拡大射撃を可能にする
 駆けつけ警護を可能とし紛争地で他国部隊の要請に応え、外敵に反撃する
 事前承認の対象はわずかに「派兵先と活動の種類」など7日以内に議決する
 集団的自衛権や治安維持活動への参加などではいずれも事後承認」でよい
 
 まことにこれ以上はない9条からの逸脱です。
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国内平時 武力行使も 集団的自衛権、余地残す
 東京新聞 2015年4月27日
 政府は二十七日午後の安全保障法制に関する与党協議で、他国を武力で守る集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」に関する見解を示した。日本に対する武力攻撃が予測されておらず、国内が平穏なのに、存立危機事態を認定し、集団的自衛権に基づいて武力行使に踏み切る余地を残した。
 
 安倍晋三首相は、中東危機の際にホルムズ海峡が機雷で封鎖され、日本への原油供給が長期間滞れば、存立危機事態に該当する可能性があるとして、停戦前の機雷掃海を集団的自衛権行使の事例に挙げている。国際法上、停戦前の機雷掃海は武力行使と解釈される。
 
 政府見解は、こうした安保法制の解釈が可能であることを認めたといえる。日本に対する直接の武力攻撃が予測されていないのに、存立危機事態を認定して海外で武力行使する事例が、ほかにも拡大する可能性を否定しなかった。
 政府見解は「基本的な考え方」と題し、現行武力攻撃事態法が定める切迫事態と予測事態について「わが国に向けられた武力攻撃であることに着目した概念」と説明。一つの状況が二つの事態に同時に該当することは「ない」としている。
 
 集団的自衛権の行使を可能にするために同法を改正して新設する存立危機事態については「異なる観点から状況を評価する」として、集団的自衛権の行使は個別的自衛権とは別の基準で判断すると強調した。その上で、存立危機事態に該当する状況は、同時に切迫事態あるいは予測事態にも該当することが「多い」と指摘。少数ケースながらも存立危機事態を単独で認定する可能性を残した。
 自民、公明両党は与党協議で、政府見解も踏まえ、安保法制の主要条文を実質了承する見通し。与党協議は大型連休明けの五月十一日に条文全体に合意。政府は十四日にも関連法案を国会に提出する方針だ。
 
<武力攻撃事態法> 日本が武力攻撃された際の対応を定めた有事法制の中核を占める法律。日本への武力攻撃に関し、脅威の高い順に「発生事態」「切迫事態」「予測事態」を規定。それぞれの事態での政府の対応や手続きを定めた。現在は個別的自衛権の発動しか想定していない。政府は今回の安保法制で、集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」を同法に新設する改正を行う方針だ。
 
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「戦争立法」の11法制 特徴と問題点
しんぶん赤旗 2015年4月27日
 政府が24日の自公与党協議に「安全保障法制」の名で示した11本の法制は、大別すると3分野。(1)集団的自衛権の行使の根拠を創設する武力攻撃事態法の改定(2)他国の武力行使を支援する恒久法(新設)と周辺事態法改定(3)「平時」を建前に紛争地域に人道支援や、治安維持で自衛隊を派兵するPKO法(国際平和協力法)改定です。その特徴と問題点を見ます。
 
 すべてが自衛隊が海外で米国の戦争に参加し、軍事支援する法制です。まさに世界中で米国の戦争に参加・支援する法制です。
 憲法9条のもとで長年禁じられてきた「海外での武力行使」に公然と踏み出すもので9条のもとで容認される余地の全くないものです。
 
武力攻撃事態法 政府裁量でいくらでも
 武力攻撃事態法の中に集団的自衛権の行使の根拠を創設しますが、発動要件は漠然と不明確で時の政府の裁量でいくらでも広がる危険があります。安倍首相自身が、遠くペルシャ湾ホルムズ海峡での機雷敷設による「エネルギー危機」で武力行使できるとしています。また米国の先制攻撃に相手国が反撃した場合に攻撃参加することを否定せず、「集団的侵略」となる重大な危険があります。
 自衛隊の自分の武器防護のための武器使用(自衛隊法95条)を米軍等の防護に転用するとされています。日米の共同パトロール中などでの不意な攻撃に即座に反撃するもので、事実上の集団的自衛権です。閣議決定や首相の指示すらなしに戦争に発展する危険があります。
 
恒久法・周辺事態法 派兵 いつでもどこでも
 派兵恒久法(国際平和支援法)は、米軍の戦争支援のために、いつでも地球上のどこにでも自衛隊を派兵するもの。
 周辺事態法改定による「重要影響事態安全確保法」も「日本の安全確保」が名目なのに、「周辺」という事実上の地理的制限を取り払い、地球の裏側まで米軍支援に出ます。
 いずれも米軍の武力行使を従来の「戦闘地域」まで行って支援し、自衛隊が敵軍との戦闘に巻き込まれる危険が飛躍的に高まります。さらに「戦闘の現場」で負傷兵などの捜索・救助を行うとしますが最も危険な任務です。
 支援の内容も、弾薬の輸送・提供、発進中の戦闘機への給油など、これまで否定されていた直接的な支援に踏み込み、米軍との一体化を深めます。
 重要影響事態安全確保法との関連では、強制性を持つ船舶検査も行い、「シーレーン防衛」を広げます。
 
国連PKO法 武器の使用 大きく拡大
 国際平和協力法(国連PKO法)の「改定」では、PKO活動のほかに人道支援や治安維持(安全確保)活動を新たに盛り込み、武器使用基準が大きく拡大され「任務遂行」のための射撃が可能となります。
 住民等の「警護」任務が規定され「その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、警護」までおこないます。「駆けつけ警護」も規定され、紛争地で他国部隊の要請に応え、外敵からの攻撃に反撃します。まさに戦闘任務です。アフガニスタンやイラクなど紛争地での対テロ、ゲリラ戦が想定されます。
 アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)では、ドイツ軍など多くの国が戦死者を出しています。こうした活動に本格的に乗り出すことは、極めて危険です。
 
事前の承認 対象わずか
 恒久法での海外派兵は「例外なき事前承認」が盛り込まれたと公明党は宣伝しますが、承認の対象はわずかに「派兵先と活動の種類」など。詳細な実施計画は「秘密」を盾に、国会には報告さえされません。
 そのうえ、「7日以内に」議決することが国会に義務付けられ、米国の要請に応え素早く戦争参加する仕組みです。
 その他、集団的自衛権や治安維持活動への参加などではいずれも「事後承認」が認められています。人道支援には危険があっても「承認」がそもそも不要です。