中谷元・防衛相は8日、カーター米国防長官と防衛省で会談し、米軍普天間飛行場の移設に関し、名護市辺野古への新基地建設が唯一の解決策との考えで一致したと共同記者会見で述べました。
中谷氏はこれまでも米軍関係者に対して、沖縄の意向を完全に無視して普天間基地の辺野古移設に「変更はない」と繰り返してきましたが、5日の翁長・菅会談があった後も、「普天間の継続使用を回避する唯一の解決策だ」と強調し、カーター氏は「日本政府の努力に感謝する」と述べました。
そういう考え方は成り立たないことを、先の会談で翁長知事が力説したばかりなのに、何をノー天気な話しをしているのでしょうか。中谷氏の人間性が疑われます。
翁長氏は会談で、「今や普天間が世界一危険になったから、その危険性の除去のために「沖縄が負担しろ」、「代替案を出せ」、「日本の安全保障はどう考えているのか」というような話がされること自体が『日本の国の政治の堕落ではないかと思う』」と述べています。
そして、「官房長官も多くの識者も世界一危険な基地だと言っているのに、『辺野古ができなかったら固定化ができるのかどうか』、これをぜひお聞かせ願いたい」、「そういう形で問答無用(=粛々)で進めるのであったら、絶対に建設することはできない・不可能になる、建設途中で頓挫することによって起こり得る事態は全て政府の責任だ」とも述べました。
また安倍晋三首相は8日の参院予算委員会で、普天間飛行場の移設工事について、松田公太氏の質問に対して「粛々と進めている」と述べました。
中谷防衛相と安倍政権は、十年一日の陳腐な言葉を並べる前に、まず翁長知事のその指摘に対してキチンと答えなくてはなりません。
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「辺野古移設 唯一の解決策」 日米防衛相 指針再改定へ加速
東京新聞 2015年4月8日
中谷元・防衛相は八日午前、カーター米国防長官と防衛省で会談し、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設に関し、名護市辺野古(へのこ)への新基地建設が唯一の解決策との考えで一致した。翁長雄志(おながたけし)知事が反対する中で、日米の防衛相が新基地建設に言及したのは、既成事実化する狙いがある。
中谷氏は会談後の共同記者会見で、新基地建設について「普天間の継続使用を回避する唯一の解決策だ」と強調したのに対し、カーター氏は「日本政府の努力に感謝する」と述べた。
また、両氏は今月下旬に予定する自衛隊と米軍の役割分担を定めた日米防衛協力指針(ガイドライン)再改定に向けて、日米両政府が協議を加速させることで一致した。
共同記者会見で、中谷氏は「精力的に作業を進めることで一致した」と表明した。カーター氏は「米軍と自衛隊が切れ目なく協力する機会が増える。世界で、新しい領域の対応が規定される」と日米の軍事協力が拡大する意義を指摘。沖縄県・尖閣諸島への日米安全保障条約の適用を再確認したと強調した。
ガイドライン改定は一九九七年以来十八年ぶり。昨年十月の中間報告では、日本の集団的自衛権行使を容認した閣議決定の内容を反映させることを確認。さらに自衛隊の米軍支援の範囲を拡大し、地理的制限なしに世界各地に自衛隊を派遣することが盛り込まれた。両政府は今月下旬、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を米ワシントンで開催し、最終合意を目指す。
日米防衛相会談は二〇一四年七月以来。カーター氏の訪日は今年二月の就任以来初めてで、アジア地域で最初の訪問国となった。
共同会見を終え、カーター米国防長官(右)と握手を交わ
す中谷防衛相=8日午後、東京都新宿区の防衛省で
安倍首相、普天間移設は「粛々と」 参院予算委で答弁
朝日新聞 2015年4月8日
安倍晋三首相は8日の参院予算委員会で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設工事について、「粛々と進めている」と述べた。日本を元気にする会の松田公太氏の質問に答えた。
沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事が5日、菅義偉官房長官が使った「粛々」という言葉に対し「上から目線」と批判。菅氏は6日の会見で「不快な思いを与えたということであれば、使うべきではない」と述べ、今後は使わない考えを示していた。
松田氏が、同県名護市辺野古に基地を設置するための法整備の必要性を問いただしたのに対し、首相は「すでにある法令にのっとって、これは粛々と進めているので、上乗せして法律を作る必要はない」と答弁した。