2015年10月24日土曜日

24- 統一こそ、明日への希望

五十嵐仁の転成仁語 2015年10月21日
 先日の10月18日に八王子駅頭で街頭演説をしたことは、前回のブログにも書きました。その時、私は野党の共同と連携を求め、「統一こそ、明日への希望」だと訴えました。
 この思いは、以前から一貫しています。共産党が提唱した国民連合政府の構想は、このような「統一」の一つのあり方であり、その実現を強く望んでいます。
 
 この共産党の提唱以来、マスコミもかつてなく大きな注目を寄せてきました。『東京新聞』だけでなく『朝日新聞』や『毎日新聞』もこの提唱に注目し、志位委員長のインタビューなどをたびたび掲載しています。
 たとえば、『朝日新聞』は10月12日の社説で「共産党が提唱する『国民連合政府』構想」にも言及し、「自民、公明の与党体制に代わりうる政権の選択肢づくりを掲げ、大きな目的に向け結集を図るべきだ」「批判をおそれるあまりにまとまることができなければ政権を利するだけだ」と主張しています。
 これは、「統一」への呼びかけにほかなりません。野党、とりわけ第1党の民主党はこの呼びかけに応えて「大きな目的に向け結集を図る」かどうか、「批判をおそれるあまりにまとまることができ」ず、「政権を利する」ような過ちを犯すかどうかが問われています。
 
 このような「国民連合政府」を実現するためには、野党間での選挙協力が不可欠です。とりわけ、来年夏の参院選の1人区での野党協力が決定的なカギを握ることになるでしょう。
 このような選挙協力について世論調査が行われていますが、このようなテーマでの調査自体が異例でかつてないことです。JNNの調査では「期待する」が37%、『毎日新聞』の調査では「選挙協力すべき」が38%、『朝日新聞』10月20日付の報道では「協力すべきだ」が48%となりました。
 調査のたびに増えていること、直近の朝日の調査では半数近くになっていることが注目されます。この時の自民党の支持率は35%ですから、野党協力への期待はこれを上回る「第1党」になりました。
 
 驚いたのは、『毎日新聞』10月14日付の5面です。ここには「共産 政権批判結集狙う」という記事と志位共産党委員長の写真が出ていてインタビューが掲載されていただけでなく、末尾に「詳報は15日の夕刊に掲載する予定です」と書かれていました。
 これは翌日の夕刊に掲載されるインタビューの「予告記事」になっていたのです。「予告」通り、翌日の『毎日新聞』10月15日付夕刊の「特集ワイド」には、「『連合政府』は国民が主人公の一大壮挙」というインタビュー記事が報じられていました。
 こんなことが今までにあったでしょうか。『朝日新聞』10月16日付朝刊も、一面に「共産、日米安保容認も」という記事が出ているだけでなく、3面にも「共産、野党結集へ動く」という記事が出ています。同じ新聞の朝刊の1面と3面に登場したわけで、これもかつてないことでした。
 
 共産党の「国民連合政府」構想が、それだけ大きな注目を集めているということの証左です。野党結集への国民の期待が高まっていることの反映であり、マスコミにとってもニュースバリューが高いと判断されていることになります。
 新聞だけではありません。今発売中の『サンデー毎日』にも志位共産党委員長のインタビューが掲載されており、「安倍政権打倒の『本気度』」「『国民連合政府』は野合ではない!」「『各野党』覚悟はあるか」「共産党史上初『政策凍結』も辞せず」という見出しが躍っています。
 長い間、「共産党を除く」という政党状況が続いていたことを知っている私とすれば、信じられないほどの様変わりです。昔は新聞記事のどこを覗いてみても、除かれた共産党の記事は見つからなかったのですから……。
 
 このような形で統一戦線の形成が日本で具体化するようになるとは、誠に感慨無量です。というのは、私の法政大学大学院での修士論文の表題は「コミンテルン初期における統一選政策の形成」というもので、「統一戦線の形成」は研究生活をスタートさせた初めから追い続けてきたテーマだからです。
 その後も、拙著『概説 現代政治』(法律文化社)の「あとがき」で「『反共』でも『反党分子』の排除でもなく、『大左翼』の結集によって『左翼的空間』を拡大し、保守政治に対抗し得る新しい政治勢力を作り出すこと」が必要だと書き、「日本共産党の力と政策をその構成部分とする『大左翼』の結集」を求めてきました。また、今年の6月6~7日に石和温泉で開かれた三多摩革新懇の合宿での講演「安倍暴走内閣と政治革新の展望」でも、政治革新の核となるのは「民共合作」で民主党と共産党との連携と協力、社民党や新社会党、生活の党などの参加が必要であること、「コンクリート」としての民主党だけでなく「鉄筋」としての共産党が加わる「鉄筋コンクリート」制の民主的政府の樹立を展望して民主党の解党的な出直しと共産党の柔軟な対応が求められることを強調しました。
 このように、統一戦線の形成は、いわば私の生涯をかけた目標であったわけです。しかし、もう法政大学を退職していますから、それは結局「見果てぬ夢」に終わるのではないかと思い始めた矢先での新たな展開でした。
 
 もちろん、いま提唱されているのは保守政治に対抗しうる「大左翼」の結集ではなく、「アベ政治を許さない」保守勢力をも結集した幅広い「国民連合」を目指すものです。それは戦争法廃止という「一点」での統一で、「戦線」というほどの広がりを持っていません。
 しかし、「アベ政治」の害悪は日本の政治と国民生活の奥深くまで及んでいます。原発再稼働、TPP参加、消費税再引き上げ、辺野古での新基地建設、社会保障の切り下げなど、個々の政治的争点での「共同」も拡大してきています。
 将来的には、これらの「共同」を糾合して幅広い戦線へと拡大していく可能性も十分にあります。そのスタートがいま切られようとしているのです。
 
 生涯をかけて追い求めてきた統一戦線の結成を、「見果てぬ夢」に終わらせたくはありません。残されたこれからの人生を、その実現に捧げたいと思います。
 「統一こそ、明日への希望」なのですから……。