ノーベル賞は5日発表の医学賞を皮切りに、物理学賞、化学賞、平和賞(9日)の順で受賞者が発表されます。
中日新聞が「9条・被爆者への注目高まる ノーベル平和賞」と題した記事を載せました。
記事が対象としているものは英ブラッドフォード大教授(平和学)とオスロ国際平和研究所長の見解で、3日付の当ブログの記事(=NHK)と重なるのですが、2日のNHKのニュースとはややニュアンスが異なっていますので紹介します。
(関係記事)
10月3日 ノーベル平和賞予想 独メルケル首相や日本の「九条の会」
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9条・被爆者への注目高まる ノーベル平和賞、9日発表
中日新聞 2015年10月4日
【ロンドン=小嶋麻友美】今年のノーベル賞の発表が五日の医学生理学賞から始まるのを前に、九日発表のノーベル平和賞の選考をめぐり、賞の地元のノルウェーやスウェーデンの研究者らから、ノーベルの遺志を尊重するよう求める声が強まっている。平和賞の「原点」ともいえる「軍縮」や「非核」の具体的な活動に焦点を当てるべきだとの主張で、第二次大戦終結と原爆投下から七十年の節目だけに、受賞予想では日本の被爆者や平和憲法への注目も高まっている。
スウェーデンの化学者だったノーベルが遺言で言及したのは(1)国家間の友好関係(2)軍備の削減・廃止(3)平和会議の開催・促進-の三点。しかし、二度の大戦を経て「平和」の概念が変わり、選考に当たるノルウェー・ノーベル賞委員会の解釈は、人権や民主化運動、環境問題などさまざまな領域に広がった。
近年、核政策で実績をあげたとは言い難い就任一年目のオバマ米大統領(二〇〇九年)や、ユーロ危機最中の欧州連合(一二年)が受賞したことに疑問が噴出。今年、ノルウェー平和評議会元会長でノーベル賞の歴史を研究するフレデリック・ヘファメル氏らが「ノーベルの遺志の尊重」を委員会に求める運動を始めた。
〇一年のノーベル賞百年に当たって賞の歴史を検証したピーター・バン・デン・デュンゲン英ブラッドフォード大教授(平和学)は今年の候補に日本原水爆被害者団体協議会(被団協)や護憲派市民団体「九条の会」を推薦。「冷戦が終わった今も世界は核兵器に脅かされている。日本の被ばく者はただ生存者であるだけではなく、現在の核軍縮のために価値ある活動を続けてきた」と評価する。
デュンゲン氏は、戦後三十年の一九七五年以降、十年ごとの授賞の「慣習」も指摘する。旧ソ連で核兵器に反対した科学者アンドレイ・サハロフ氏から〇五年の国際原子力機関まで、節目の年に選ばれたのはいずれも核廃絶に関わる活動。「今年は広島、長崎から七十年。被爆者の平均年齢は八十歳を超え、今が受賞の時だ」という。
一方、毎年受賞予想をすることで有名なオスロ国際平和研究所のクリスチャン・ハルプバイキン所長は一日、最終予想の四番目に日本の「九条の会」を挙げ、「憲法九条は一九四五年の記憶をとどめるとともに、現在の日本の改憲の議論にも大きく貢献している」と理由を説明。予想のトップは「難民問題でリーダーシップを発揮」したドイツのメルケル首相とした。
ノーベル賞委員会は、今年の平和賞にふさわしいとして有識者から推薦された候補者が六十八団体、二百五人に上るとしているが、具体的なリストは公表していない。
オスロ国際平和研究所が推薦人などから入手した情報によると、長崎原爆被災者協議会会長の谷口稜曄(すみてる)さん(86)、市民団体「憲法九条にノーベル平和賞を」実行委員会の鷹巣直美さん(38)らも候補に含まれているという。