2015年10月24日土曜日

TPPの本当の問題点についてはメディアも触れない

 政府やメディアによれば大筋合意したことになっているTPPですが、公式文書(英文)にはどこにも大筋合意に当たる言葉はないそうです。
 他の国はまだまだこれからが交渉の本番という気構えなのですが、日本だけは政府が率先してもうTPPは大体決着したのだという空気を振りまいています。新聞も完全にその路線に乗っていて、ひたすら関税がどうなったのかだけで紙面が埋まりそれ以外の問題には触れようともしません。何故なのでしょうか。
 
 土曜日の朝に関西地方だけで放送している『正義のミカタ』というTV番組があるそうですが、17日、そこにアメリカ事情に詳しい堤未果氏が登場して、「TPP合意で日本の医療制度が崩壊する?」と医療面に及ぼす致命的な悪影響を暴きました。政府とメディアが一体となって隠してきたテーマを、ものの見事にさらけ出してくれたわけです。
 そして「関東の方ではこの話はしないようにと言われている」ことも明らかにしました。まさに政府とメディアが一体となった隠蔽を証明するものです。
 20日のブログ:「社労士による時事ネタコラム」が、番組の内容を簡単に解説していますので紹介します。
 
 堤氏の登場部分をピックアップした下記の動画(23分弱)を見ると、TPPが日本の医療制度を崩壊させると警告する趣旨が良く理解できます。
 
   TPP合意で日本の医療制度が崩壊する 
 
 それとは別にLITERAは、「日本の農家は過保護」というのは嘘で、実は欧米のほうがはるかに自国の農業を保護していたとする記事を出しました。そうなれば関税以前の問題です。
 日本政府は当然承知していましたがそのことで議論などはしなかったのでしょう。

 そしていち早く3兆円超の補正予算を捻出して農業団体を懐柔する方針を立てました。勿論、来年の参院選を意識してのことですが、それはまた政府の謳ったTPPの経済効果がいつわりであることの証明です。

 日本政府(とそれに追随するメディア)のTPPに対する対応は徹頭徹尾不正の塊です
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【な・・なんだって!!】 TPPで盲腸の手術が700万円に!? 
社労士による時事ネタコラム 2015年10月20日
 土曜日の朝に関西地方だけで放送している『正義のミカタ』というニュース番組がある。
東野幸治さんがMCをつとめ、その時々の旬なニュースについて、専門家が解説するという番組で、複雑な政治・経済などのニュースをわかりやすく解説してくれるのでよく見ている。
その『正義のミカタ』の先日の放送で、ショッキングな話題があった。
TPP合意で日本の医療制度が崩壊! と題され、なんとTPPの影響で、盲腸の手術ですら700万円かかる時代がやってくるというのだ。
 
弱肉強食型アメリカ医療
ご存知の通り日本は『国民皆保険制度』といって、会社員やその家族なら、協会けんぽか会社の健康保険組合に加入し、それ以外の自営業者などは国民健康保険に加入といった具合に、国民全員が公的な健康保険に加入していることが原則である。
もちろん、月々の保険料負担は必要であるが、この制度によって我々が実際に支払う医療費は3割で済んでいる。
また、日本政府が極端な値上げなどをしないように医療機関や製薬会社に働きかけていることや、高額療養費制度もあり、我々が負担する医療費はとても低く抑えられている。
もちろん、財源確保の難しさなど様々な問題を抱えていることも事実だが、世界的に見てもトップクラスの医療保険制度であることは間違いない。
 
一方、アメリカの医療制度はというと完全に弱肉強食。
公的な保険には、高齢者や米軍勤務者など一部の人間しか加入出来ないため、一般の人々は民間の保険に加入するか、勤務先が提供する団体保険に加入する必要がある。
アメリカの一般的な4人家族の場合、支払っている保険料の平均額は年間およそ100万円といわれる。またそれだけ支払っていても、歯医者は適用外であるとか、年間の医療費の自己負担額が100万円を超えてから初めて保険適用されるなど、様々な条件があるため、年収のおよそ1割が医療費に消えて行くのだという。
これが日本の場合だと、一家族あたりの公的医療保険の保険料額は年間およそ50万円で、自己負担額は年間15万円程度である。
 
MMRも真っ青。アメリカの医産複合体
またアメリカでは、製薬会社と保険会社、そしてウォール街が結託し、医療費や薬の値段をどんどん値上げして、病気を抱える人々から金を搾り取り続けているのだという!
な・・・なんだってー!!、キバヤシそれは本当かー!!
と、MMRも真っ青の、「どうせまた裏でフリーメーソンが暗躍してるんでしょ」的な流れになってきたが、まあ近いことが行われていることは間違いない。
 
さて、アメリカで人々から生き血を吸い付くしたフリーメーソンもとい『医産複合体』が次に狙っているのが、この日本なのだという。
TPPを盾に、薬の値上げを要求し、医療費を高騰させることで、国が現在のように7割も医療費を負担できないようにし、日本の医療保険制度を破綻させ、そこにつけこんでアメリカの民間保険会社が入り込んでくるというシナリオらしい。
「いやいや、日本政府もそこまでアホやないやろww 破綻するってわかってんのに、薬の値上げ要求なんか飲まんしww」
と思うのだが、どうもTPPには『ISD条項』というやっかいな取り決めがあり、
 
相手国に投資した企業が、相手国の政策によって損害を被った場合、相手国を提訴することができることになっている。しかも、この紛争を解決する組織は、アメリカが絶対的な力を持っており、アメリカの勝率は100%だという。
つまり、
「薬の値段をあげろって言ったのに、日本が拒んだからウチの製薬会社は大損こいたで!!訴えてやる!!」
とアメリカに訴えられると、日本はその時点で詰むということだ。
そういう訳で、TPPが導入されると、盲腸の手術だけでアメリカと同じように700万かかる時代がくるかも!?と言う訳だ。
 
TPPが様々なデメリットを含んでいる点にも目を向ける必要がある
また、この解説を行った堤未果さんが最後に、
東京の番組じゃ、この話はしちゃダメって言われて、言わせてもらえないんです。。」
と、「日本政府はわかってるけど敢えて隠している」的な陰謀論をチラつかせたことも、MMRっぽくて個人的には◎であった!!(僕は、都市伝説とか、ムーとかが大好きなのだ!!)
さて、まあ冷静に考えると、アメリカでもこのような弱肉強食型の医療制度はかなり問題視されており、オバマ大統領が『オバマケア』と呼ばれる国民皆保険制度の導入を開始したことは記憶に新しい。
そのような問題だらけの制度を、今さらアメリカ政府が日本に無理強いしてくるとは考えにくく、ここまで極端に日本の保険制度が崩壊する可能性は低いだろう。
ただ、TPP導入が単に関税撤廃といった、わかりやすい面だけではなく、このような様々な危険性を孕んでいるということを再認識するには、とても良い話題ではないだろうか。
 
これでTPPに合意するのか!? 「日本の農家は過保護」は嘘、
欧米の方がはるかに自国の農業を保護していた
LITERA 2015年10月23日
「『これでは農業総自由化と同じではないか』。環太平洋連携協定(TPP)の詳細な合意内容が明らかになるにつれて、生産現場には驚きと衝撃が走っている。あまりに広範囲に及ぶ関税撤廃や大幅な削減に伴い、日本農業がかつて経験したことのない危機的状況に陥りかねない」と憤りをあらわにするのは、日本農業新聞(2015年10月12日付)だ。
 
 批判の矢は、TPPの大筋合意に喜ぶ安倍首相にも向けられている。
「安倍晋三首相のあまりに楽観視した発言に、生産現場で落胆が広がっている実態を重視すべきだ。大筋合意後の会見で重要5品目に関連して『関税撤廃の例外をしっかり確保できた』と強調したが、農業者は全く納得していない。生産現場から国会決議の“約束違反”の批判が出るのは当然ではないか。TPPはまさに『国のかたち』を変えかねない協定である」
 「首相は9日の全閣僚で構成するTPP総合対策本部初会合で『守る農業から攻めの農業に転換し、意欲ある生産者が安心して再生産に取り組める、若い人が夢を持てるものにしていく』と述べた。(略)先行き不安から新規投資ができず、中堅層ほど農業に見切りをつけた離農が増えかねない。首相が語る『夢』は『悪夢』に変わりかねない」
 
 たしかに、この指摘は正しい。とくに深刻なのが、コメだ。コメは、関税は維持するものの、米国と豪州を対象に協定発効当初で計5万6千トン(13年目に計7万8400トン)の無関税枠を新設することとなった。すでに、日本は世界貿易機関(WTO)の協定に基づき、ミニマムアクセス(最低輸入量)として、年間77万トンのコメを無関税で輸入している。このうち、米国からの輸入量は約36万トンであり、今回の協議で、実質的な米国枠を6万トン増やすことにも合意しており、年約50万トンの米国産コメが入ってくることになる。
 これは、日本の2015年産主食用コメ生産数量目標の約1ヶ月分にあたる。農家が危機感を感じるのは無理もない。
 
 しかも、アメリカのコメは国からの圧倒的なバックアップを受けているのだ。
「アメリカをはじめとする輸出国は食の競争力があるから食の輸出国になっているのではなく、国をあげての食料戦略と手厚い農業保護のおかげである。例えば、それが端的にわかるのがコメである。アメリカのコメ生産費は、労賃の安いタイやベトナムよりもかなり高くなっている。だから、競争力からすれば、アメリカはコメの輸入国になるはずである」
 
『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』(鈴木宣弘/文藝春秋)によれば、米国には、輸出販売を促進するために、より安い価格で販売することが必要だと判断し、安い販売価格と農家に必要な価格水準(目標価格)との差額を不足払いする制度安く販売した場合の返済免除の仕組み常に一定額の補助金として上乗せして支払われる固定支払いがあり、「安く売っても増産していけるだけの所得補填があるし、いくら増産しても、海外に向けて安く販売していく『はけ口』が確保されている。まさに、『攻撃的な保護』(略)である。この仕組みは、コメだけでなく、小麦、トウモロコシ、大豆、綿花などにも使われている。これが、アメリカの食料戦略なのである」。
 これは、明らかに実質的な輸出補助金だ。
 
「このような実質的な輸出補助金額は、アメリカでは多い年では、コメ、トウモロコシ、小麦の3品目だけでも合計で約4000億円に達している」。このほかの輸出信用や食料補助の仕組みと合わせれば「約1兆円の実質的輸出補助金を使っている」というのだ。輸出補助についてはWTOルールで撤廃するよう命令しなければならない。2013年には一部は廃止されたが、いまだにその多くは維持されている。今回のTPPの大筋合意にいたる交渉でも、多くが秘密のベールに包まれているが議論された形跡がない。
 
「輸出補助金は、『輸出に特定した』(export contingent)支払いであるから、この場合は、輸出に特定せずに、国内向けにも輸出向けにも支払っているので輸出補助金にならないというのである」(同書より)
 こうした食料戦略はアメリカだけではない。欧州諸国も同様だ
 
「農業経営に関する統計に基づいて、農業所得に占める政府からの直接支払い(財政負担)の割合を比較すると、日本は平均15・6%ほどしかないが、フランス、イギリス、スイスなどの欧州諸国では90%以上に達している。アメリカの穀物農家でも、年によって変動するが、平均的には50%前後で、日本とは大きな開きがある」
 
「日本の農業は過保護だ」という日本の政治家やメディアはこの点についてはまったくふれない。安い商品こそが善という新自由主義的で、デフレを招く発想に毒されているのだ。
 
「欧米諸国の自給率・輸出力の高さは、競争力のおかげではなく、手厚い戦略的支援の証ともいえるのである。換言すれば、わが国の自給率の低さは過保護のせいではなく、保護水準の低さの証なのだ」
 「農産物輸出大国といわれるアメリカやオーストラリアが、実はそこまでして、戦略的に食料生産を位置づけ、国内供給を満たすどころかそれ以上を増産し、世界に貢献、あるいは世界をコントロールするための武器として食料生産を支援しているのかということを我々も学ぶ必要があろう」(同書より)
 
 日本の農家だけは政府のサポートも脆弱なままで、政府の圧倒的な輸出補助を受けた欧米諸国の農産物と戦わなければならないのだ。これでは日本の農家にとっては「悪夢」以外の何モノでもないだろう。  (小石川シンイチ)