ユネスコの世界記憶遺産に、中国が申請した「南京大虐殺の記録」が登録されたことをめぐり、菅義偉官房長官はBSフジの番組でユネスコへの日本の拠出金について、「政府として停止、削減を含めて検討している」と述べました。
またインターネット界では、「南京大虐殺」そのものが捏造であるかのような主張も見られます。
南京大虐殺があったことは動かすことの出来ない事実で、それは外務省のホームページでも認めています。中国側と見解が違っているのは犠牲者の数で、中国側は30万人と主張しているのに対して日本側は20万人上限説、15万人以上とする説、4万人が上限だとする説などがあっていまだに結論が出ていません(東京裁判では20万人以上)。
また中国兵は便衣をまとっていて市民との区別がつかなかったので、誤って市民が殺されたとする説もありますが、犠牲者の大半は南京が陥落して捕虜になった人たちなので、その言い訳は通用しません。
いずれにしても日本が犠牲者の数を了承していないのに記憶遺産に登録したということだけで、ユネスコへの拠出金を拒否するというのは大人げのないことです。何よりも大金を払っているのだから言うことを聞けという根性がさもしい。またこれまでアメリカ以外には拠出金を拒否した例はないので、その猿真似だともいわれかねず、そんなことをしても日本の存在感が希薄化するだけの話です。
(追記)
南京大虐殺については、直近では日本テレビNNNが10月4日に「南京事件 兵士たちの遺言」を放映したばかりです。それは現場に立ち会った元兵士の証言、現地で綴った兵士たちの日記(第一級史料)、スタッフによる現地調査などで構成された極めて信憑性の高い記録報道です。
⇒ 「南京事件 兵士たちの遺言」 (45分 動画)
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菅官房長官、ユネスコ拠出金の停止検討
世界記憶遺産に「南京大虐殺の記録」登録受け
The Huffington Post 2015年10月13日
菅義偉官房長官は10月12日のBSフジ番組で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に、中国が申請した「南京大虐殺の記録」が登録されたことをめぐり、ユネスコに拠出している拠出金について「政府として停止、削減を含めて検討している」と表明した。朝日新聞デジタルなどが報じた。
菅氏はユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界記憶遺産に、中国が申請した「南京大虐殺の記録」が登録されたことについて、「一方的に中国の言い分だけで指定した」と指摘した。そのうえで、記者団が「ユネスコへの拠出金の停止や削減を検討するのか」と聞いたのに対し、「そういうことだ」と述べ、拠出金の停止や削減を検討する考えを示した。
(菅官房長官、ユネスコ拠出金見直しも検討 世界記憶遺産:朝日新聞デジタル 2015/10/12 23:35)
菅氏は南京事件の犠牲者数に関し「事実をめぐり意見が分かれているのに、一方的に中国側の意向に基づいてユネスコが指定するのはおかしい」と疑問を呈した。
この問題については、自民党の二階俊博総務会長が11日、「ユネスコが『(南京事件で)日本は悪い』というなら、ユネスコの資金はもう日本は協力しないと言えないとしょうがない」と述べ、拠出金の在り方を見直すべきだという考えを示していた。
「南京事件」記憶遺産決定で自民が決議文
NHK NEWS WEB 2015年10月14日
自民党の外交関係の合同会議は、ユネスコ=国連教育科学文化機関が「南京事件」を巡る資料の「記憶遺産」への登録を決定したのは中立・公平ではないとして、政府に対し制度の改善を働きかけることなどを求める決議文を取りまとめました。
ユネスコが中国の申請した旧日本軍が多くの中国人を殺害したなどとされる「南京事件」を巡る資料を「記憶遺産」に登録すると決定したことを受けて、自民党の外交部会などの合同会議は14日午前、会合を開き意見を交わしました。
この中で出席者からは「今回の決定によって、中国が今後も政治的な利用を繰り返すことが懸念される。なぜ阻止できなかったのか」といった批判や「国際社会への情報発信をもっと戦略的に行うべきだ」といった指摘が出されました。
このあと合同会議は、ユネスコが日本の意見を聞くことなく登録を決定したのは中立・公平ではないとして、政府に対しユネスコに登録の撤回を提案することや記憶遺産制度の改善を働きかけること、さらにユネスコへの分担金や拠出金の停止など、関係の見直しを早急に行うことを求める決議文を取りまとめました。合同会議はこの決議文を近く政府に提出することにしています。
首相と中国・楊国務委員 連絡メカニズム運用で一致
NHK NEWS WEB 2015年10月14日
(前 略)
一方、安倍総理大臣は、ユネスコ=国連教育科学文化機関が「南京事件」を巡る資料の「記憶遺産」への登録を決定したことについて、「遺憾だ」と述べたのに対し、楊国務委員は、「第2次世界大戦に関することはすでに国際的な定論がある。歴史をしっかりと認めて、未来に向かって進んでいくことが重要ではないか」と応じました。
(後 略)