26日のNHK日曜討論に、生活の党や元気にする会を排除しながら、まだ存在しない おおさか維新の会の代表を出席させたことに対して、LITERAがNHKを厳しく批判しました。
この「日曜討論」は、かねてから出演者の選択に偏りがあるとの批判が絶えず、NHKはその都度苦しい言い訳を重ねて来ましたが、それでいかがわしさが消えることはありませんでした。特に今度のことは、存在しない政党の代表を出演させたというもので、言い訳のしようもないものです。
これは近く新党を結成する橋下徹氏(現大阪市長)が安倍政権に近いということから、NHKが、彼らが正規の手続きを踏む前に党として認知するという「大サービス」を行ったものです。
LITERAは、このようにルールを無視してまで特定の人間を支援するNHKは、もはや公共放送とは言えないと断じています。
LITERAの記事は、25日、26日の植草一秀氏の主張(※)とほぼ重なっていますが、両者はお互いに補強し合う関係にあるものです。
※ 10月27日 もはや正気の沙汰と言えないNHKの暴走脱線(植草一秀氏)
特に安倍政権が登場し、籾井氏が会長に就任してからのNHKの政権擁護の報道姿勢は目に余ります。こうした公共放送にあるまじき偏向報道は大いに糾弾されるべきです。
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NHK日曜討論に「おおさか維新の会」が…生活の党を出さず存在しない政党を出演させるNHKの偏向に批判殺到!
LITERA 2015年10月27日
いくらなんでもこれはやりすぎだろう。NHKの『日曜討論』だ。「与野党に問うTPP・普天間移設」と題した10月26日の放送で、なんと存在しない政党の議員を何の説明もなく出演させていたのである。番組冒頭、司会の島田敏男解説委員が出演者を紹介した。
「今朝は与野党の政策責任者が集結しました。自民党・小野寺五典さん、民主党・細野豪志さん、公明党・石田祝稔さん、維新の党・井坂信彦さん、共産党・小池晃さん、結成予定のおおさか維新の会・片山虎之助さん、社会民主党・吉川元さん、次世代の党・和田政宗さん。それでは与野党にうかがいます……」
一見して違和感があるのは「結成予定のおおさか維新・片山虎之助さん」がいきなり出てきたことだ。周知のとおり、維新の党は分裂騒動まっただ中で、24日には大阪系議員が「臨時党大会」と称する会合を開き、維新の党の“解党”を決議した。その大阪系議員が橋下徹大阪市長の旗の下に結集し、新たに立ち上げようというのが「おおさか維新の会」だ。結党大会は31日に予定され、26日の段階では届け出もされていない存在なのだ。
この『日曜討論』は、かねてより出演者の選択に偏りがあるのではないかとの批判が絶えなかった。「与野党の政策責任者」といいながら、安倍政権に批判的な生活の党と山本太郎となかまたちや日本を元気にする会などが排除される傾向にあった。NHKは説明を求められるたびに、衆院に議席を有し、国会議員が5名以上在籍していること、直近の選挙で2%以上の票数を獲得していることなどの条件を提示するが、生活の党も元気会もこうした要件を満たしていても呼ばれていない。すると「今回は主要7党を選んだ」といった苦しい言い訳を繰り返すばかりだった。
こうしたなか、結成前の政党に参加予定の単なる一議員を出演させたというのだから、これはどう説明するのだろう。司会の島田解説委員は冒頭でやはり「与野党の政策責任者」と言っているが、まだできてもいない政党に“政党の政策”などあるはずがない。元気会代表兼幹事長の松田公太議員も、ブログでこう怒っている。
〈おおさか維新の会が結成されるとしたら、それは「新党」であり、選挙を一度も戦ったことがない政党になるからです(つまり得票率は0%です)。まあ、要件も何もあったものではないですね。存在しない政党を出演させるというトンデモナイことをしでかしてしまったのです。今後、国会議員や自称政治家がやってきて「来月に新党を作ろうと思っている。今週の日曜討論に出演させろ」と主張したら、どういう理屈で断るのでしょうか〉
そもそも、維新の党とおおさか維新の会が同席していること自体が矛盾だ。片山虎之助氏を含むおおさか維新の会に入党する予定の議員は26日に開いた“臨時党大会”で維新の党の解党を決議したのではないか。解党させたはずの政党の幹事長とニコニコ同席するというのもヘンな話だ。常識的に考えれば、NHKはこうした政党の正当性に関するゴタゴタが落ち着くまでは両党ともに出演を遠慮してもらうべきではなかったか。
あるいはもし、NHKが26日の臨時党大会を有効だと判断しているとしたら、解党した維新の党の幹事長を出演させているのはどう説明するのか。全国紙政治部記者はこう話す。
「以前は政党要件を満たしていることが出演の条件でしたが、みんなの党や日本維新の会分裂で小政党が乱立したため、所属議員数などを加えてNHKが独自に判断するという姿勢だったようです。ところが、今回のケースはまったく説明がつきません。まぁ、分かりやすく言えば安倍政権に近い橋下(徹)さんにサービスしたということでしょう。基準も要件もまったく関係ないということを自ら暴露してしまったわけですね」
橋下徹大阪市長と安倍晋三首相が改憲で連携する密約があることは本サイトでもたびたび指摘してきた。そんな政治家を、ルールを無視して支援するNHKは、もはや公共放送とは言えないだろう。ましてや、受信料の義務化など絶対にゆるされるべきではないのである。 (野尻民夫)