2015年10月23日金曜日

年金運用7~9期で10兆円の損失、更に闇の世界へと

 安倍政権は株高を演出して富裕層を大儲けさせようと、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、年金積立金を潤沢に株式に投資できるように規制を緩和しました。
 しかし大いに懸念されていたことが起こりました。この7~9月期についに10兆円もの運用損を出しました。10兆円が消えてしまいました。
 
 ところが厚労省は、今度は利回りの高い海外の『低格付け債』(ジャンク債=クズ債)へのバクチ的投資を始めると言い出しました。そんなハイリスク・ハイリターン(儲けも大きいがその分大損をする危険がある)な投資は、これまでは事実上禁じられていました。それを「今後はその制限を外して柔軟に運用する」というものです。
 国民の老後の資金をそんなバクチに使って、もしもスッてしまったなら一体誰がその責任を取るというのでしょうか。謝って済むような問題ではありません。
 
 しかもそのジャンク債の運用を任せる機関にはゴールドマンサックスが含まれているということです。
 かつてギリシアがEUに加盟するときに多額の借金があるので出来ないと諦めていたのを、言葉巧みにいい方法があるからと持ちかけて、結局借金の額を飛躍的に増大させてギリシアを破綻同然にさせた金融機関がゴールドマンサックスです。破綻状態のギリシアはいまゴールドマンサックスへの返済に追われています。
 
 安倍政権は国民のなけなしの年金預金を、こうして「闇」の世界に投じようとしています。ここでも留まるところを知らない暴走です。気ちがい沙汰です。 
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「アメリカ強欲資本」に吸い取られる日本国民の老後
田中龍作ジャーナル 2015年10月21日
 「もう老後はない。30年間掛けてきた年金は 米金融資本に捧げたんだろうか?」。厚労省の答弁を聞くと、誰しもが思うだろう。
 きょう、国会内で民主党が厚労省と日本年金機構から「消えた年金」についてヒアリングした。
 老後を支える公的年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が、大きな運用損を出しているのではないか、と巷間言われてきた。
 きょうのヒアリングで厚労省年金局の担当者は、10兆円の運用損(7~9月期)を出したことを認めた。
 
 ところが厚労省(塩崎恭也厚労相)は、これを奇貨として国民の老後を米金融資本に捧げる道に踏み出した。
 利回りの高い海外の『低格付け債』への投資を始めるというのだ。
 『海外の低格付け債』は「ジャンク(がらくた)債」と呼ばれ、将来、デフォルト(債務不履行)となる危険性がある。
 虎の子の年金が掛け捨てとなる恐れがあるのだ。このため投資不適格とされてきた。
 
 山井和則議員が「これまで年金積立金はジャンク債に投資してこなかったが…」と質した。
 厚労官僚からはア然とした答弁が返ってきた。「これまで投資不適格なものには制限をかけてきたが、制限を外したうえで柔軟に運用してもらう」と言うのだ。ものは言いようというが限度がある。
 ハイリスク、ハイリターンを狙おうというのだろうが、投資(年金)が返って来なくなったら、どうするつもりなのだろうか?
 
 海外の低格付け債権の運用を任せる受託機関の一覧表を見て納得がいった。ゴールドマン・サックスがあるのだ。
 ゴールドマン・サックスは、99%の人々の資産を搾り取る米強欲資本の総本山とも言える。
 2011年にはウォール街の公園を占拠(オキュパイ)していた人々がゴールドマン・サックス本社にデモをかけた。玄関前に座り込んだデモ参加者は、ほぼ全員がNY市警に逮捕された。
 ゴールドマン・サックスに代表される米金融資本がTPPで本当に狙うのは、日本国民の個人資産(簡保と年金)だ。農産物ではない。
 
 簡保は医療の自由化によりいずれ彼らの手におちる。年金もセッティングされた。
~終わり~