2015年10月13日火曜日

13- TPPの経済効果が10年で3兆円なのに、対策に3兆円を税金から出す

 TPP 交渉差止・違憲訴訟の会の弁護団共同代表の山田正彦氏がアトランタのTPP閣僚会合で見たものは、日本はアメリカの手先となってアジアの各国に対してひたすら妥結に向かうようにと恫喝するだけで、その一方で肝心のアメリカに対しては日本の国益を守る姿勢は見られずに譲歩するだけであったということです。
 それはこれまでの経過から見て大いにうなずけるものです。
 
 政府やメディアはTPPのマイナス面には一切触れることなく、TPPが発効すれば、農産品や牛・豚肉、その他の酪農品が安く手に入るようになりバラ色の状況になるかのような宣伝を始めました。しかしそうした経済面に限定して見た場合でも実態はどうなのでしょうか。
 
 ブログEveryone says I love you! がその概要を語っています。
 まずTPPの経済的メリットが安倍内閣になってから突然野田内閣時代の見積りの10倍になったそうですが、その根拠は全く不明だということです。
 そしてTPPはGDPで3.2兆円を押し上げるということなのですが、同時に農業・酪農従事者などTPPに伴う国内産業保護のために3兆円規模の補正予算を組まなくてはいけないということです。勿論国民の税金を使ってです。
 とてもメリットなどと呼べるものではありません。補正予算は参院選が終わればいずれなくなります。そうなれば国内の農業・酪農は悲惨なことになります。かつては絶対条件とされていた「食糧安保」も即喪失します。
 結局何もかもが「マイナス」というのがTPPの真実です。
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TPPの経済効果が10年で3兆円なのに、TPP対策に3兆円税金から出すって、なんじゃそれ?!
Everyone says I love you ! 2015年10月11日
 
 
「TPP参加」効果の政府試算
 
G  D  P
3.2兆円(0.66%) 増加
 
消費
3.0兆円 増加
(安価な輸入品流入↓)        
 
投資
0.5兆円 増加
2.9兆円 減少
 
輸出
2.6兆円 増加
 
 
農 業 生 産 額
3.0兆円 減少
 
 損するんだか得するんだかもわかんない。
 日本テレビ系列 ウェークアップ!プぷらす」より。
 
 安倍政権は、2014年度で約490兆円のGDP(国内総生産)を2020年に600兆円にすると言っているのですが(言うのは勝手ですから)、TPP=環太平洋戦略的経済連携協定参加を「成長戦略」の大きな柱として位置づけています。
 でも、TPP交渉参加を検討していた野田民主党政権のときに、内閣府が2011年10月に試算したところでは、TPPによるGDP押し上げ効果は、10年間かかって2・7兆円程度です。
 年平均でいえば、2700億円程度で、1年間のGDPの2000分の1ですから、ほとんど何の役にも立たないレベルと言っていいでしょう。
 ちなみに、安倍政権になると、その一年半後の2013年3月、TPPへの参加に伴う経済効果について、実質GDPを0・66%(2000億円程度)押し上げるとの試算を公表したのですが、なぜ、効果が10倍以上になったのか全然わかりません
 しかも、いつそのような状態になれるかについては、中長期かかるというだけで、はっきり言わないのです。
 
 それにしても、GDPの押し上げ効果は年500兆円の1%未満にすぎないというわけです。
 
 
 
 
TPPの農業への影響(農林水産省試算)
 
 
   
4.1兆円
 
 
    
40%⇒14%
低下
 
 
農業の多面的機能
3.7兆円
喪失
 
 
    
7.9兆円
 
 
雇     用
340万人
 
 
 
(即時関税撤廃を前提)
 
 農林水産省は実質GDPが兆円減るという試算を出している。
 
 このようにTPPを積極的に推進しようとした野田政権や安倍政権が出した数字ですから本当にそうなるかは怪しいのに、それでもTPPの経済効果はさほどではないと自白しているわけです。
 他方で、安倍政権は、TPPに伴う国内産業保護のために3兆円規模の補正予算を組むなどと言いだしました。
 さらには、自民党内部では、農家という票田を失わないために、1993年のウルグアイ・ラウンド合意で、コメ市場の部分開放に備えて6兆円を投じたのに匹敵する税金を投入するなどと言っています。
 10年で3兆円の「売り上げ」のために、3兆円とか6兆円とか税金を使うだなんておかしくないですか?
 それでなくても輸入品に対する関税を下げるので税収は少なくなるんですよ。
 
 輸入品が安くなって消費者として得したようでも、関税のマイナス分と国内産業に投じる税金分を納税者として余計にとられたら、なにをしていることかわけがわかりません。
 
 
TPP参加交渉からの即時撤退を求める大学
 
教員の会による試算と政府統一私案との比較
 
 
政府統一見解
大学教員の会の試算
 
農林水産物生産減少額
約3.0兆円 減
約3.5兆円 減
 
関連産業への波及効果
試算示さず
約 7 兆円 減
 
 
雇用全体は関税
農林水産全体で約146
 
雇     用
撤廃前と不変
万人減、関連産業と合わ
 
 
 
せると190万人減
 
GDPの増減
3.2兆円
4.8兆円
 
 
(0.66%)増
(1.0%)減
 
 
大学教員の会の試算を基に作成
 
GDPはむしろ1%減るという試算。恐ろしい。
 
 
 
 ちなみに税金から支出するとそれもGDPは押し上げるんですよね。計算上はね。
 それが狙いなのかもしれません。
 でも、財政赤字はどうするの?そんなことのために消費税を再増税するの?