稲田防衛相は日報問題やる気なし
担当者“海外栄転”の姑息
日刊ゲンダイ 2017年5月18日
「やはり単なる時間稼ぎだったということ。稲田大臣は本気で事実関係を明らかにしようとする気などサラサラない」――。防衛省の幹部人事をめぐって省内で怒りの声が広がっている。
防衛省関係者がこう言う。
「今夏の人事で、小川修子・統合幕僚監部参事官付国外運用班長が在外公館に異動するという話が広がっています。小川班長は、歴代防衛大臣の通訳を務めるほど語学堪能で、省内で『エース級』といわれる人物です。しかし、南スーダンPKO日報問題の実務レベルの責任者であり、稲田大臣が『徹底調査』のために設置を指示した特別防衛監察の対象者。監察結果が出ていないどころか、監察結果の妥当性すら国会で審議されていないのに、日報問題の全ての経緯を把握している重要人物を海外に赴任させてよいのでしょうか」
政権にとって都合の悪い情報を握る官僚を「栄転」と称して海外赴任させる。森友問題で安倍首相夫人・昭恵氏付だった谷査恵子氏のケースと同じ姑息なやり方だ。
「稲田大臣は日報問題で、『事実関係を徹底的に調査し、防衛省・自衛隊に隠蔽体質があれば、しっかりと改善したい』と答弁していました。しかし、その全容を知る小川班長を海外赴任させれば、事実解明が困難になるのは明らかです。国民から防衛省全体が『隠蔽体質』と批判を浴びるのです。当初はゴールデンウイーク明けにも公表される予定だった日報問題の中間報告もウヤムヤになり、最終報告は今国会後ともささやかれている。現場は『冗談じゃない』と怒っています」(前出の防衛省関係者)
稲田大臣のアタマにあるのはしょせん、保身と政権維持のことだけ。国民はもちろん、防衛省・自衛隊の現場なんて知ったこっちゃないのだろう。