2017年5月26日金曜日

前川前事務次官はもはや怖いもの知らず

 官邸による謀略的バッシングに怯むことなくメディアのインタビューに応じたり記者会見を行うことで、前文科省事務次官の前川喜平氏は官邸が演出した「前川前事務次官潰し」を逆にツブシました。こうなるともはや前川前事務次官には怖いものはなにもありません。
 「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」という文書が加計学園問題の文科省の担当部局の高等教育局専門課であることは、天下に周知されました。あとは官邸の悪あがきを見せられるだけのことです。
 
 やめておけばよいのに安倍首相は加計学園問題でも、3月13日の参院の委員会で福島瑞穂議員の質問に逆上して、「証拠があるのか」と長広舌の恫喝の挙句に質問には答えなかったものの、「もしも自分が関与していたのであれば首相を止める」と豪語しました。
 ここまで関与が明らかになっても安倍氏は森友学園問題と同様に発言の責任を取らないのでしょうか。まことに想定の範囲を超えた人間です。
 
 もはや安倍首相にとっては十二分に致命的なのですが、今後もさらに新しい暴露が行われる可能性は大で、首相の公私混同、政治の私物化の実態がますます明らかにされることでしょう。
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総理のご意向」文書を告発 前川前次官は怖いもの知らず
日刊ゲンダイ 2017年5月26日
文書は間違いなく本物。大臣や次官への説明用として担当の高等教育局専門課が作成した」――。メガトン級の内部告発だ。加計学園の獣医学部新設を巡る「総理のご意向」文書について、文科省前事務次官の前川喜平氏が25日発売の週刊文春で「本物」と認定。安倍首相の「威光」をカサに着た内閣府サイドの圧力の実態をブチまけた。前川氏は同日の朝日新聞にも登場、TBSの取材にも応じていている。
 当時の文科省トップが「正式な文書」と認めた記録を、勝手に「怪文書」と決めつけた菅官房長官は国民に詫び、首を差し出すのがスジ。ところが、前川氏の “風俗通い” をネタに今なお開き直った強弁を繰り返す。とんだ恥知らずだ。
 
■官邸はいまだに「怪文書」扱い
 〈官邸の最高レベルが言っている〉 〈「できない」という選択肢はない〉
 居丈高な態度で筋の通らない要求を強引に迫る内閣府・地方創生推進事務局の藤原豊審議官らの発言記録を一つ一つ、前川氏は文春の取材に「事実」と認め、知る限りの経緯を証言している。
 8年間で15回も申請を蹴られた獣医学部新設のスピード内定の出来レース。安倍の「腹心の友」の希望通り、行政が歪められた実態を前川氏は「『赤信号を青信号にしろ』と迫られた」と表現。問題の〈総理のご意向〉という言葉については、こう語る。
ここまで強い言葉はこれまで見たことがなかった。プレッシャーを感じなかったと言えばそれは嘘になります」
 そして「『これは赤です。青に見えません』と言い続けるべきだった。本当に忸怩たる思いです」と反省の言葉を口にしているのだ。
 
 文科省の当時の最高責任者がここまで腹をくくって証言した以上、首相の “腹心の友” への便宜供与を裏付ける文書の内容は、ますます信憑性を帯びてくる。
 ところが、安倍官邸は懲りない。松野博一文科相がお手盛り内部調査で、「文書の存在は確認できなかった」と発表したのをタテに、菅官房長官は「出所不明」の怪文書扱いを続けている。
 
「官邸サイドが裏で繰り返すのは、前川氏が政権に怨恨を抱いているとのレッテル貼り。天下りの組織的あっせん問題の責任を取り、わずか半年の任期で依願退職に追い込まれたことに、前川氏は恨み骨髄。ありもしない文書をデッチ上げ、メディアに持ちかけた『自作自演』のシナリオを吹聴しています」(官邸事情通)
 そこに追い打ちをかけたのが、例の“出会い系バー”常連報道で、官邸サイドは「あんなハレンチ漢の証言を信用したら痛い目に遭うぞ」と、メディアに妙な“恫喝”を加えているという。
「安倍首相が『私が働きかけて決めているなら責任を取る』と大見えを切った手前、菅官房長官らは“怪文書”と言い張るしかないのでしょう。とはいえ、文書の信憑性と次官の風俗通いは無関係。政権が強弁すれば、シロもクロになるような振る舞いは、『恥を知れ』の一言です」(政治評論家・本澤二郎氏)
 
■待ち受けるさらなる暴露
 前川氏は、年商812億円を誇る世界的な産業用冷蔵冷凍機器メーカー「前川製作所」の御曹司で、妹は中曽根弘文元外相に嫁いだ “華麗なる一族” の出だ。
 当然、官邸の横やりで天下り先を失っても困らないため、政権の裏側で何が起きているのか、その腐敗の真相を遠慮なく暴露できる
 すでに「告白の内容はまだおとなしい。昨年12月に新設が合意に至る直前の “ご意向” 圧力は特に凄まじかったようです。まだ表に出ていない文書もあるはず。前川氏は面倒見がよく、人望がありますから、歴代次官OBや “奇兵隊” と称する後輩の現職官僚も味方しています」(文科省関係筋)との声もある。
 民進党も前川氏の疑惑追及チームへの出席や、国会招致も視野に入れている。さらなる決定打が飛び出せば、安倍首相は政権発足以来最大の窮地に立たされる。
 
 
文部科学省前次官が会見「文書なかったことにできない」
NHK NEWS WEB 2017年5月25日
学校法人「加計学園」が愛媛県今治市に設置する計画の獣医学部をめぐり文部科学省の前川前事務次官が記者会見を開き、「総理の意向だ」などと記された一連の文書について、「確実に存在していた。あったものをなかったことにできない」と述べたうえで、「極めて薄弱な根拠で規制緩和が行われた。公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられた」と訴えました。
 
国家戦略特区により、学校法人「加計学園」が愛媛県今治市に来年4月に設置する計画の獣医学部をめぐり、先週、国会でその選考の途中に内閣府が文部科学省に対して「総理の意向だ」などと発言したとする複数の文書の存在が指摘されました。文部科学省は調査した結果、「該当する文書は確認できなかった」と説明しています。
これについて、当時の文部科学省の事務次官だった前川喜平氏が記者会見を開きました。
この中で、前川前次官は一連の文書について「私が在職中に専門教育課で作成されて受け取り、共有していた文書であり、確実に存在していたものだ」と述べて、文部科学省で作成された文書だと主張しました。そして、「私が発言をすることで文部科学省に混乱が生じることは大変申し訳ないが、あったものをなかったことにはできない」と述べました。
 
そのうえで、「官邸、内閣官房、内閣府という政権中枢からの要請に逆らえない状況があると思う。実際にあった文書をなかったことにする、黒を白にしろと言われるようなことがずっと続いていて、職員は本当に気の毒だ」と話しました。
また、特区制度のもと、今治市と加計学園が選考されたいきさつについては、「結局押し切られ、事務次官だった私自身が負わねばならない責任は大きい」と発言したうえで、「極めて薄弱な根拠で規制緩和が行われた。公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられたと思っている」と述べました。
さらに、「証人喚問があれば参ります」と述べ、国会でも一連の経緯について証言する意向を示しました。
(中 略)
官房長官 怪文書の認識変わりない   (略)
松野文科相「会見の様子知らない」    (略)
公明 大口国対委員長「何らかの意図感じる」  (略)
民進の調査チームに文科省「文書は確認できず」 (略)
 
民進 山井国対委員長「政府の隠蔽明らかに」
民進党の山井国会対策委員長は記者団に対し、「当時の文部科学省の事務方のトップが、文書を本物と認め、『行政がゆがめられた』と発言したことは、極めて重大だ。政府が一体となって真実を隠蔽していることが明確になり、言語道断だ。前川前次官は、『証人喚問に応じる』と言ったので、与党は、拒む理由は無く、早急に前川氏の証人喚問を実施すべきだ。また、安倍総理大臣の今までの発言が正しかったのかも問われるので、早急に予算委員会の集中審議を開くべきだ。安倍総理大臣が、身の潔白を証明したいのであれば、正々堂々と、国会の場で説明してほしい」と述べました。
 
共産 穀田国対委員長「文書の信ぴょう性高まった」
共産党の穀田国会対策委員長は、記者会見で、「『総理のご意向』と記された文書の信ぴょう性が、いよいよ高まってきた。真相究明が国会の責務であり、前川前事務次官は『証人喚問には応じる』と述べているので、国会として証人喚問を行うべきだ。森友学園の疑惑の際には、自民党が、わざわざ証人喚問を要求したのだから、今回も当然、応じるべきだ。また、『総理のご意向』という問題が取り沙汰されているわけで、安倍総理大臣に対して真相究明を求めるため、予算委員会の集中審議も当然必要だ」と述べました。
 
維新 遠藤国対委員長「証人喚問か参考人招致必要」
(中 略)
問題となった文書とは
会見で指摘された文書は獣医学部の選考が続いていた去年9月から10月にかけて、文部科学省と内閣府の担当者などとのやり取りを記したとされる複数の記録です。
「内閣府の回答~総理のご意向」
このうち、「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」と書かれた文書は、今治市に獣医学部を設置する時期について、「最短距離で規制改革を前提としたプロセスを踏んでいる状況で、これは総理のご意向だと聞いている」と書かれています。
「内閣府からの伝達事項」
別の文書では、内閣府側が、平成30年4月にこの学部を開学するのを前提に文部科学省側に最短のスケジュールを作成するよう求めたと記されています。さらに、内閣府側が「これは官邸の最高レベルが言っていること。山本大臣も『きちんとやりたい』と言っている」などと述べたと書かれています。
「内閣幹部メモ」
さらに、内閣官房の幹部からの指示をまとめたとする10月7日の日付のメモには、「四国には獣医学部がないので、その点では必要性に説明がつく」という発言のほか、「加計(かけ)学園が誰も文句が言えないようなよい提案をできるかどうかだ」という発言が記されていました。
「9/26メモ」
去年9月下旬の日付が書かれた文書には、内閣府と文部科学省との打ち合わせとされる内容が記されていて、このなかで内閣府の幹部は「平成30年4月にこの学部を開学するのを大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」と文部科学省側に要請しています。これに対し、文部科学省側が、「今治市の構想を実現するのは簡単ではない」と答えると、内閣府側は「できない選択肢はない。やることを早くやらないと責任をとることになる」と述べたと記されています。
「11/8のメール」
メールの画面を印刷したと見られる文書には、文部科学省の担当者が加計学園について省内の関係する部署に一斉にメールを送信したとされる内容が書かれています。この中では、獣医学部の設置場所が決まる前に、担当課の職員が大臣や局長から、「加計学園に対して、文科省としては現時点の構想では不十分だと考えている旨、早急に厳しく伝えるべき」と、特定の学校法人の申請内容について指示を受けたと記されています。
 
これらの文書やメールについて、松野文部科学大臣はいずれも「調査の結果、確認できなかった」としています。