4月21日に国境なき記者団による今年の報道自由度のランキングが発表されました。
日本は66位と昨年の67位と横並びで、G7では米国の45位に続いて最下位でした。
アジアでは韓国が42位、台湾が43位でした。
孫作 享氏の記事:「ウオッチ・ドッグ機能果たせないと断言された日本メディア」を紹介します。末尾に100位までのランキングを示します、
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日本外交と政治の正体 孫作享
ウオッチ・ドッグ機能果たせないと断言された日本メディア
孫作 享 日刊ゲンダイ 2020/05/01
国境なき記者団が毎年行う報道自由度の世界ランキングが今年も発表された。
日経新聞などの大手メディアは共同通信を引用し、「報道自由度、日本66位 国境なき記者団、1つ上昇」と報じた。
見出しで、印象はすっかり変わる。仮に見出しが「報道の自由度、日本66位。G7中最下位。韓国・台湾の下」と報じられていたら印象はどう変わっていただろう。
ランキングのトップは北欧諸国が占め、G7では、ドイツが11位、カナダが16位、フランスが34位、英国が35位、イタリアが41位、米国が45位、日本は66位だった。
アジアでは韓国が42位、台湾が43位である。
日本に近い国はポーランド(62位)、アルゼンチン(64位)など、かつてメディア弾圧があった国々である。国境なき記者団は各国について、短めのコメントを付している。日本についてはこうだ。
「ジャーナリストたちは伝統、及びビジネス利益から、民主主義のウオッチ・ドッグとしての役割を演じるのが困難とみなしている。ジャーナリストは安倍首相が首相になってから、彼らに対する不信の雰囲気に不満を持ってきている。記者クラブはフリーランス記者と外国人記者を差別し続けている。ソーシャル・ネットワークにおいて、東京電力福島第1原発といった『反愛国的』テーマを扱ったり、政権を批判したりする記者がSNS上で攻撃を受けている」
ところが、日本の主要各紙でこのコメントの記述は見られない。さすがに自らを「ウオッチ・ドッグの機能を果たしていない」とは書けなかったのだろう。
報道機関には2種類ある。
権力に迎合し、権力の代弁をし、そして権力の一部を担っていると位置付ける。旧ソ連共産党の機関紙プラウダ紙がその代表であり、社会のさまざまな特典を享受できる。
これに対し、権力の暴走を厳しく批判する「ウオッチ・ドッグ」としての機能を果たす西側諸国のメディアがある。権力の圧力と戦う姿勢を持ち、「アメ」を避け、「ムチ」に耐え、初めて「ウオッチ・ドッグ」機能が確立する。「ウオッチ・ドッグ」機能を果たしていることに誇りを持っている。
日本のメディアは販売部数こそ多いが、質的に世界の一流紙の仲間ではない。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
報道自由度、日本66位 世界で情報規制強まる―国際団体
時事通信 2020年04月22日
【パリ時事】国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団(RSF)」は21日、世界180カ国・地域を対象とした報道の自由度に関する調査結果を発表した。日本は昨年の67位から66位とほぼ横ばい。RSFは一方、新型コロナウイルスの感染が深刻な地域を中心に、当局による情報規制が強まっていると指摘した。
RSFは日本の状況について、「記者クラブ制度はフリーランスや外国人記者に対する明白な差別だ」と批判。また、インターネット交流サイト(SNS)上で政権を批判する投稿が攻撃の標的になっていると懸念を示した。
世界で最初に新型ウイルスの感染が広がった中国は「危機を利用して政府がメディア規制を強めている」として、昨年と変わらず177位。同じく被害が深刻なイランも、感染拡大の状況を報じた記者が当局に身柄を拘束されるなどしており、昨年の170位から173位に落ちた。上位4カ国を北欧諸国が占め、最下位は北朝鮮だった。
報道自由度 ランキング(100位まで)
1
|
ノルウェー
|
26
|
オーストラリア
|
51
|
チリ
|
76
|
パナマ
|
2
|
フィンランド
|
27
|
キプロス
|
52
|
フィジー
|
77
|
北キプロス
|
3
|
デンマーク
|
28
|
リトアニア
|
53
|
ベリーズ
|
78
|
東ティモール
|
4
|
スウェーデン
|
29
|
スペイン
|
54
|
マダガスカル
|
79
|
モルディブ
|
5
|
オランダ
|
30
|
ガーナ
|
55
|
ドミニカ共和国
|
80
|
香 港
|
6
|
ジャマイカ
|
31
|
南アフリカ
|
56
|
モーリシャス
|
81
|
マルタ
|
7
|
コスタリカ
|
32
|
スロベニア
|
57
|
ニジェール
|
82
|
キルギス
|
8
|
スイス
|
33
|
スロバキア
|
58
|
ボスニア・ヘルツェゴビナ
|
83
|
ハイチ
|
9
|
ニュージーランド
|
34
|
フランス
|
59
|
クロアチア
|
84
|
アルバニア
|
10
|
ポルトガル
|
35
|
イギリス
|
60
|
ジョージア
|
85
|
シエラレオネ
|
11
|
ドイツ
|
36
|
トリニダード・トバゴ
|
61
|
アルメニア
|
86
|
レソト
|
12
|
ベルギー
|
37
|
アンドラ
|
62
|
ポーランド
|
87
|
ガンビア
|
13
|
アイルランド
|
38
|
ブルキナファソ
|
63
|
セーシェル
|
88
|
イスラエル
|
14
|
エストニア
|
39
|
ボツワナ
|
64
|
アルゼンチン
|
89
|
ハンガリー
|
15
|
アイスランド
|
40
|
チェコ
|
65
|
ギリシャ
|
90
|
ペルー
|
16
|
カナダ
|
41
|
イタリア
|
66
|
日 本
|
91
|
モルドバ
|
17
|
ルクセンブルク
|
42
|
韓 国
|
67
|
ブータン
|
92
|
マケドニア
|
18
|
オーストリア
|
43
|
台 湾
|
68
|
コートジボワール
|
93
|
セルビア
|
19
|
ウルグアイ
|
44
|
東カリブ諸国機構
|
69
|
マラウイ
|
94
|
ギニアビサウ
|
20
|
スリナム
|
45
|
アメリカ
|
70
|
コソボ
|
95
|
リベリア
|
21
|
サモア
|
46
|
パプアニューギニア
|
71
|
トーゴ
|
96
|
ウクライナ
|
22
|
ラトビア
|
47
|
セネガル
|
72
|
チュニジア
|
97
|
モーリタニア
|
23
|
ナミビア
|
48
|
ルーマニア
|
73
|
モンゴル
|
98
|
エクアドル
|
24
|
リヒテンシュタイン
|
49
|
ガイアナ
|
74
|
エルサルバドル
|
99
|
エチオピア
|
25
|
カーボヴェルデ
|
50
|
トンガ
|
75
|
コモロ
|
100
|
パラグアイ
|