2020年5月8日金曜日

08- 米国製治療薬レムデシビルを異例の超特急で「承認」とは

 5月4日に新型コロナウイルス感染症治療薬として承認申請されたレムデシビル(点滴式:米社ファイザー製)は7日夜に承認されました。
 通常は1年ほども掛かるのにこんなに超短期間で承認される背景には、トランプからの強い要求があることしか考えられません。そうであれば見事なまでにトランプ追随です。

 肝心の効果については、「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」によれば、「158人に投与したが回復が早くなるという結果は得られず、発症して10日までに投与した患者では、統計的に有意ではないが、50%程度、回復が早まる傾向はみられたので、より大規模な臨床試験が必要である」とされていて、「過度の期待は禁物」というコメントがつけられています。
 因みに米国以外ではまだどこも承認しておらず、日本が正規の手続きを曲げてまで早急に承認すべきかは大きな疑問です。
 レムデシビルは元々エボラ出血熱治療のために開発されたものですが、コンゴのエボラ出血熱臨床研究の結果では改善効果は見られず、副作用として肝機能障害、腎機能障害などの頻度が高く、多臓器不全、敗血症性ショック、急性腎障害等が報告されています。

 それに対して国産のアビガン(錠剤:富士フイルム富山化学)は新型コロナの3000例近くに試験投与され、早期に用いれば重篤化を防げることが確認されています。新型コロナウイルスを変性させたり耐性を持たせる副作用もありません。ただし催奇性があるため出産可能な女性には使えません。
 なお、レムデシビルの承認に伴って、アビガンは突然5月中に承認されることに早まりました。承認されることで早期に服用して重篤化を防ぐ効果が期待されます。

「くろねこの短語」、「天木直人のブログ」、「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」を紹介します。
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新型コロナウイルス治療薬として「レムデシビル」「アビガン」承認の動き
・・・その効果に比べて激烈な副作用はどうする!!
くろねこの短語 2020年5月7日
 世界中で新型コロナウイルスのワクチンの開発競争が始まった。「アメリカの製薬大手『ファイザー』は、ドイツのベンチャー企業と共同で開発中のワクチンの、アメリカ国内での臨床試験を開始」したそうだ。日本ではノーベル賞受賞者の北里大学・大村智特別栄誉教授が40年前に開発した薬「イベルメクチン」が新型コロナウイルスに有効という報告も出てきている。
 そんな中、かなり効果が期待されているとして話題になっている抗ウイルス薬「レムデシビル」が日本でも特例承認されるとか。さらに、官九郎や珠ちゃんの回復に寄与したとされる「アビガン」も今月中に承認されそうなんだとさ。
 でも、どちらもその強い副作用が指摘されてるんだけど、そこらへんはどうなってるんだろうね。アビガンの強い催奇性は当初から噂になっていたし、レムデシビルもかなりの高確率で肝障害が起き、最悪は多臓器不全の危険性もあるとされている。つまりは劇薬ってことだ。
 アビガンについては、製造元の会長が初老の小学生・ペテン総理のお仲間ということもあって、そもそもが胡散臭い気がしないでもない。まさか、国民の命と引き換えに・・・なんてことはないだろうね。

 かつて、アフリカ取材をした時に、飛行機の中での発症に備えて、一発で発作がおさまるというマラリアの特効薬を持参したことがあるんだが、重い肝機能障害の副作用があるってんで、かなりビビったことがある。幸いにもマラリアに罹ることはなかったけれど、薬ってのは時として「毒」にもなるわけで、レムデシビルもアビガンも油断は大敵だと思う連休明けの朝である。


トランプ大統領の本音を暴露した米国駐日臨時代理大使
天木直人のブログ 2020年5月3日
 日本を軽視し、昨年7月にはやばやと日本を離れたハガティ駐日大使の後に、いつまでたっても新大使を送らず、ヤング氏に臨時代理大使を任せっぱなしのトランプ大統領が悪いのだ。
 その怒りをぶつける先がヤング臨時代理大使なのだだから八つ当たりだ。
 そのヤング大使がNHKの国際報道記者から質問され、こう答えていた。

 コロナ危機に下における日米同盟はどうなるかと。
 ヤング臨時代理大使の口から真っ先に出た言葉はレムデシビルだった。
 日本と米国が協力してレムデシビルの早期実用化を進めることだと言ったのだ

 そして、その後に、NHK記者の質問は米国の日本に対する在日米軍経費負担増の要求に移った。
 難航する米韓交渉を引き合いに出し、米国の対日要求も同様に日本にとって厳しいものになるのか、という問いに対し、ヤング臨時代理大使は、すこし間をおいて次のように語った。
 日米同盟の重要性に日本が気づく交渉になるだろうと。
 何のことはない。在日米軍の経費負担増を日本は飲むしかないと言っているのだ。

 レムデシビルといい、在日米軍経費負担といい、これがトランプ大統領の本音だ。
 トランプ大統領の頭にはこれしかない。だから大使としてはそう代弁するしかない。
 ましてや臨時代理大使という下っ端外交官だ。自分の言葉で語る事は何もない。
 こうして日米関係は、戦後から時が経つにつれ、自立どころかますます従属していくのだ。
 ついに臨時代理大使にまで命令されるようになってしまった。

 きのうのNHKが流したヤング臨時代理大使とのインタビューは、はからずもそのこと証明してくれたのである(了)


山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信
中国、湖北省からの報告。酸素吸入が必要な中等症の患者が対象。158人にレムデシビルを、79人に偽薬を投与。臨床症状を6段階(1は退院、6は死亡)で評価し、2段階以上の改善、もしくは退院までの期間を評価した。その結果、レムデシビルによっても、回復が早くなるという結果は得られなかった。ただ、発症して10日までにレムデシビルを投与した患者では、統計的に有意ではないが、50%程度、回復が早まる傾向はみられたので、より大規模な臨床試験が必要である。(中 略)
(コメント)
高い期待を集めているレムデシビルだが、過度の期待は禁物であることを思い知らされる結果。しかし、早期に投与すれば効果ある可能性は残された。
米国・国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長はホワイトハウス(White House)で記者らに対し、「アメリカが主導している臨床試験で、レムデシビルには、回復までの期間を短縮させる効果があることが示された」と表明。新型コロナウイルス治療薬として初の承認薬になることを示唆している。