2020年5月12日火曜日

12- ツイート数620万超 「#検察庁法改正案に抗議します」 ツイートに圧力も

「#検察庁法改正案に抗議します」のツイートは驚くべき伸びを見せ、瞬く間に470万件に達しました。しかしその後はツイート数として反映される数字がめっきり減るなど不可解な展開を見せることりました。同ハッシュタグ投稿した人々からは、投稿数が数十万単位で削除されているとの声が上がっているということです(海外サイトの集計では11日午前8時までに620万ツイートをこえましたー長州新聞)。
 ツイート総数の動きは、政権側から圧力がかかったのかTwitter Japanが政権の意向を忖度したのかは分かりませんが、極めて不審なことです。

 そもそも今回の検察庁法改正は、先に異例な閣議決定を経て黒川検事長の定年延長を特例として認め、それによっていずれ検事総長にするという形で検察人事に内閣が介入するという、三権分立という憲法の根本的な精神を踏みにじったことを、後付けの改正で合理化しようとするものです。しかし改正したところで正当化されるわけはなく、憲法を踏みにじることが恒久化するだけのことです。

 検察庁法改正問題とツイッターへの干渉を取り上げた長州新聞と田中龍作ジャーナルの記事を紹介します。
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#検察庁法改正案に抗議します
 コラム狙撃兵 長周新聞 2020年5月11日
 9日の晩から、にわかにTwitter(SNS)のトレンド(話題になっている上位の言葉やハッシュタグ)で「#検察庁法改正案に抗議します」がバズり(短期間で爆発的に話題が広がり、巷を席巻すること)始め、10日の朝には100万件のツイート数を突破。その後もあれよあれよと伸び続けて午後3時過ぎには380万件近くに達するなど、驚異的な広がりを見せた。日本のトレンドどころか世界のトレンドとして躍り出る有り様で、余りのお祭り状態にTwitter Japanが慌てたのか、その後はツイート数として反映される数字がめっきり減るなど不可解な展開を見せることとなった。コロナ禍のどさくさに紛れて、安倍政府が「官邸の用心棒」などといわれてきた検察ナンバー2・黒川弘務検事長の定年延長を目論んでいることへの我慢ならない思いがSNSを通じて爆炎し、俳優など著名人も含めてトレンドを見て共感した人々が、みずからもこのツイッターデモに参加しようと共通のハッシュタグ(#)をつけて見解を発信し、燎原の火の如く燃え広がるという現象が起こっていたのである。海外サイトの集計では11日午前8時までに620万ツイートをこえた

 日頃からトレンドに上がるものといえば数十万から数万件のツイート数がほとんどなのに対して、いかにすさまじい広がり方だったかがわかる。コロナでみんなが四苦八苦して自粛している折りに、例の如く政権中枢はここぞとばかりにみずからに近しい人物を検察トップに配置しようと蠢き、私物化人事については自粛するどころか、むしろ火事場泥棒のようにして強行していく。それに対して、“ほんとうにいい加減にしろよ!”の鬱積した怒りが可視化されることとなった。「日頃はSNS上にて政治的発言は控えていますが、さすがに今回ばかりは…」という発信が多いのも特徴だった。

 安倍政府になってからの7年、三権分立で本来なら独立しているとされている検察は自民党政治家にまつわる疑惑を何一つまともに捜査した試しなどなかった。最近でこそ広島選出の河井夫妻の公職選挙法違反(県議や首長たちに配り回した現金の原資が官房機密費ならば、捜査は内閣官房にまで及ばなければ筋が通らない)を追及しているようなポーズをしているものの、小渕優子の政治資金規正法違反では、証拠になるパソコンのハードディスクをドリルで破壊するなど悪質な証拠隠しをしていたにもかかわらず、秘書2人を起訴したのみ。松島みどり元法務大臣の選挙区での団扇バラマキも不起訴、甘利明元経済再生担当大臣のURへの口利き疑惑と大臣室での現金授受(100万円)も不起訴、下村博文元文科相の加計学園からのパーティー券200万円不記載も不起訴、森友学園への国有地払い下げ問題とかかわって国会で虚偽答弁、公文書改ざんをくり返した佐川元国税庁長官をはじめとした財務省官僚たちの、国有地を首相のオトモダチにタダ同然で優遇するという背任行為も不起訴、桜を見る会など誰がどう見ても選挙区の有権者買収疑惑だろうに捜査すらしない。こうしてなにもかも不起訴及び捜査すらしない事の連続だった。

 その「用心棒」などと目された人物が定年退職を迎えるにあたって、あえて閣議決定で法解釈を変え、恣意的に次期検事総長にするため、今回の検察庁法改正案が国会に出てきたのだった。すなわち安倍政権の腕力によって人事で検察トップを優遇し、捜査機関を「御恩と奉公」の関係で手なずけ、政権の汚職なりを抑え込んでいく意図であると誰もが見なしたのだ。こうなるとあからさますぎて、今更「三権分立」とか「民主国家」などと建前だけ言われても説得力などなく、封建領主の時代と何ら変わりないのである。

 今回の法律が国会を通過するか否かも確かに重要だが、それ以前から既に三権分立など形骸化しているというみなが薄々感じている現実も考えなければならないと思う。検察は公正公平に権力者の腐敗を捜査し、起訴してきただろうか? とりわけ親米売国派の清和会となると及び腰であるというのは、これまでの歴史を見ても歴然としている。それを身も蓋もないのだが、安倍政権の都合によって名実ともに変えてしまおうと、「法律違反になるなら解釈や法律そのものを変えてしまえ」が目の前でやられている安保法制の時と同じである

 なによりみんなが怒っているのは、コロナで誰しもが苦しんでいる折に、この国に暮らす人々の私権は制限しようとするくせに、為政者は「私」の五輪開催願望のためにPCR検査を抑制して初期対応を誤ったり、はたまた検察人事まで私物化したり、「私権」を思いっきり拡大させることに腐心し、その願望や都合ばかりを優先させていることだろう。マスク2枚すら届かず、辛抱も限界に来ているタイミングで、疫病対策には後手後手な者が自分のことだけは先手必勝を仕掛けていることも許しがたいのである。吉田充春


#検察庁法改正案に抗議します 削除されても再投稿で闘う国民
田中龍作ジャーナル 2020年5月10日 14:48 
 けさ、検察庁前に立った。小雨模様の空はどんよりと暗く、強めの風が肌寒い。この国の近未来を暗示するような天気だった。
 政権(行政)が検察(司法)の人事を支配できるシステムを法的に確立する検察庁法改正案が8日、衆院内閣委員会で審議入りした。
 アベノ独裁はいよいよ仕上げの段階に入ってきたようだ。
 改正案に反対する声が怒涛となっている。「#検察庁法改正案に抗議します」のツイッターデモは300万を超えた(10日午後1時29分現在)。同ハッシュタグを投稿した人々からは、投稿数が数十万単位で削除されているとの声が上がっている
 削除されても再び投稿し続ける国民と、忖度メディアとの目に見えない闘いが繰り広げられているのだ。
     【写真説明】韓国民衆は昼夜の区別なく青瓦台(大統領府)に向けてデモをかけた。=2016年、ソウル 撮影:田中龍作=
 政治を私物化した韓国の朴クネ大統領は、民衆の巨大デモにより政権の座を追われ、逮捕された。人々は政権が倒れるまで街頭に出たのである。2016年、ついこの間のことだ。
 地元メディアがデモ会場周辺の地下鉄の出札記録を調べた結果、参加者は1日で100万人を超えていた。
 朴大統領による政治の私物化は安倍首相に比べれば はるかに スケールが小さい。
 だが日本の民衆は森友、加計、桜で安倍首相を追い詰めることができなかった。安倍首相を政権の座に留まらせた結果、お粗末なコロナ対応で国民が苦しめられるハメとなっている。
 朴大統領を追い落とした韓国民衆の力は、文在寅大統領を生んだ。文大統領の徹底した情報公開と指導力は、コロナ感染の封じ込めを成功に導いた
 韓国の真逆が日本だった。「コロナになってもならなくても死ぬ」とまで言われるありさまだ。
 この国は亡びるのか、それとも生き残れるのか。いま分水嶺にある。
    ~終わり~


500万人デモに永田町界隈 「ツイッター社に圧力を掛けてでも止めさせろ」 
田中龍作ジャーナル 2020年5月11日
 アベ首相とその周辺は極悪非道な罪を犯しても捜査さえされず、アベ政権に不都合な人物は無実でも逮捕される・・・独裁の仕上げともいえる検察庁法改正案が13日にも衆院内閣委員会で強行採決されそうだ。
 特捜検事出身の郷原信郎弁護士と国民民主党の原口国対委員長ら4人の野党議員が、きょう、ネット上で対談した。
 対談のなかで原口国対委員長が10日のツイッターデモ「 #検察庁法改正案に抗議します 」に対して、次のような事があったことを明らかにした(内容が重大なため書き起こしをそのまま掲載する)-
 「昨日の500万人ツイッターデモは国対間で話してると、どうも自民党さんの認識は、一部の左翼が扇動していろんな人達に呼びかけて見せかけの500万人だと思ってるフシがあるんです。
 一時ハッシュタグも消えかけましたね。『ツイッター社とかSNSの会社に圧力を掛けてでも、こんなこと止めさせろ』。国会に居ますからこういう つぶやきみたいなものが入って来たんです」。(以上、原口委員長発言)
 歌手「きゃりーぱみゅぱみゅ」さんのツイートは大反響を呼んだが、削除に追い込まれた。
 それでも昨日は日頃、政治と距離を置く芸能人、作家、スポーツ選手が立ち上がり、ツイッターデモを盛り上げた。

 検察庁法改正に真っ向から反対する郷原弁護士は芸能人や文化人のツイッターデモ参加を次のように見る―
 「権力の恐ろしさが自分たちにまで及んでくるのではないか。恐れを皆が感じていた。芸能関係者や作家は自由に表現できることが命
 「政治権力が司法と完全に一体化してくると、表現すら自由にできなくなってしまう。重大な問題だと受け止めている」。
 郷原弁護士は渦中の黒川弘務氏と同期で「彼を良く知っている」としたうえで「彼(黒川氏)の特殊技能は政権との近さ。政権との間でいろいろやる能力」と明かした。
 検察は公訴提起(起訴)を独占し、起訴すれば被告は99.9%有罪となる。
 絶大な権限を持つ検察トップを時の政権が操る。
 首相の意向に沿わない人物が投獄されても何の不思議もない世の中になるのだ。「きゃりー」さんならずともツイートを削除したくなるだろう。
~終わり~