2020年5月16日土曜日

感染拡大防止と経済活動再開の最大のカギは検査の抜本的強化

 緊急事態宣言の一部解除に関連して共産党の志位委員長は14感染拡大防止と段階的な経済活動再開を両立させる最大のカギは、検査の抜本的強化あることを指摘しました。
 同時に、必要とされる重症患者、中等症患者、軽症患者用の各病床数を確保し、医療機関に対する財政的補償もしっかり行うと共に、家賃支援、雇用調整助成金の拡充、学生支援などの緊急措置をとるため速やかに第2次補正予算を編成することが必要であると強調しました。

 緊急事態宣言の一部解除に合せて補償措置が曖昧にされたり、医療体制を充実させる喫緊の課題から逃げることは絶対にあってはならないことです。

 PCR検査対象者がいまも中々検査を受けられず、病院にも入院できない現状を報じた記事を併せて紹介します。
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感染拡大防止と経済活動再開を両立させる最大のカギは検査の抜本的強化
志位委員長が会見
しんぶん赤旗 2020年5月15日
 日本共産党の志位和夫委員長は14日、国会内で記者会見し、政府が同日決めた新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言の一部解除について、次のように述べました。

、(緊急事態宣言の一部解除の)一番の問題点は、PCR検査の数が伸びていないことにあります。
 1日あたりのPCR検査の数は、厚生労働省の発表を見ると、直近の数字で、人数では3000~4000人で、件数では7000~8000件です。伸びていないだけでなく、減少傾向にあります。
 検査数が足らないもとでの一部解除という判断は、率直に言って懸念をもたざるをえません。引き続き、感染拡大防止のための警戒を決して緩めてはならないと思います。

一、今後の対応としては、三つの点を強く求めます。
 第一は、PCR検査をはじめ検査を抜本的に増やし、感染の全体像をつかむことです。検査を抜本的に増やしてこそ、仮に感染拡大の次の波が起こった際に、迅速で的確な対応ができるようになります。段階的に経済活動を再開していくうえでも、検査の抜本的な強化は不可欠です。
 第二は、医療提供体制の抜本的強化を図り、逼迫(ひっぱく)を打開することです。重症患者のためのベッドをしっかり確保するとともに、中等症患者のためのベッド、軽症者のための療養施設をしっかり確保し、医療機関に対する財政的補償もしっかりやることが必要です。
 第三は、暮らしと営業に対する補償措置をしっかり行うことです。補正予算では質量ともに不足しており、家賃支援、雇用調整助成金の拡充、学生支援などでの緊急の措置をとるとともに、速やかに第2次補正予算を編成し、医療・補償の両面で抜本的措置をとることを求めます。緊急事態宣言の一部解除にあわせて補償措置があいまいにされることは、絶対にあってはなりません

一、(衆参の議運委での質疑について問われ)参院議運委の質疑で、わが党の山添拓議員が「宣言が解除される39県で、必要なPCR検査が迅速にできる体制が確保されているか」とただしたのに対し、西村(康稔経済再生担当)大臣は「確保されている」と答弁できなかった。これも懸念すべき状況です。
 感染拡大防止と段階的な経済活動再開を両立させる最大のカギは、検査の抜本的強化にあることを強調したい。


相談たらい回し 電話つながらず 結局断られた PCR対象なのに 
20代女性「めげそう」
しんぶん赤旗 2020年5月15日
 新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、把握できていない多くの感染者の存在が指摘されながら、PCR検査体制拡充の遅れが続く日本。保健所に検査対象であるとされたにもかかわらず、「優先的に検査をするのは難しい」と断られた人もいます。当事者に取材しました。(岡素晴)

 東京都内在住の20代女性=会社員=は在宅勤務中の4月中旬、発熱に襲われました。
 「37度前半から38度半ばぐらいを行ったり来たりするような発熱が10日間ぐらい続きました。今は全快し家で仕事をしています」
 女性はまず厚生労働省の相談窓口に電話。簡単に症状を説明したところ、帰国者・接触者相談センターに電話するように言われたといいます。

30回かけて
 センターには約30回かけ続けました。ようやくつながると、今度は保健所への連絡を指示されました。
 「保健所にも30回ぐらい電話をかけました。言われたのは『症状自体は検査対象である』と。ただし、周囲に感染者が出て濃厚接触している事実が今のところ見られず、海外からの帰国者でもない。優先的に検査をするのは難しいとして、病院に行ってくれと言われました
 ところが、近所の病院を受診しようとしたものの一度は断られます。「保健所からの指示」をたてに再び申し込まなければならず、受診できたのは症状が出てから5日目でした。
 診療の結果、解熱剤や、せき、関節痛に効く薬などを服用しながら、自宅療養することに。
 「マンション住まいで1人暮らしだから、ゴミ出しや買い物でどうしても外出しなければならない時、気をつかいました。友人に買い物を頼んで玄関先に置いてもらったり、ウーバーイーツ(飲食宅配代行サービス)を注文したりしてしのぎました」
 解熱剤などを服用後、5日前後で熱は下がり、それからしばらくしてせきも治まりました。

重症なら…
 比較的軽症だったと話す女性ですが、熱に伴うだるさや頭痛もある中、数十回も電話をかけ続けた上に、窓口をたらい回しにされ、大変な思いをしたと語ります。
 「私の場合、会社から絶対に連絡するよう言われたのもあって粘りましたが、そうではなく、まして重症だったら心がめげたでしょうね。保健所の人手不足などで仕方がない部分もあるのでしょうが、次にもっと大きな感染の波が来たら対応しきれないと思います」