安倍政権は18年4月、ドサクサに紛れて戦後から続いてきた「種子法(コメ、麦、大豆が対象)を廃止しました。
それはグローバル種子企業(米国に本社)を日本に参入させるためのものでしたが、ことの重大性に気付いた都道府県の地方議員たちがそれぞれの地域で種子条例を制定し直すことで、これまでのところその弊害を防止することが出来ています。
安倍政権は今度は「種苗法改正案」を提出して来ました。どうしてコロナ禍のドサクサに紛れて、グローバル種子企業にだけ有利な不要有害な法案を出してくるのでしょうか。
種苗法が改定されると、これまでは農家が自家増殖をしていたものが原則禁止となり、22年からは種や苗を企業などから買わなければならなくなり、農家は経済的に大打撃を受けます。その対象は八千品種余の国の登録品種で、当然農産品価格に転化されます。
川田龍平参院議員(立民)は13日、インターネットを使ったオンラインの記者会見で「国民に不要不急の外出は控えなさいとか言ってる時に、なぜ政府が不要不急の種苗法を通そうとするのか」と訴えました。
東京新聞が伝えました。
ほかのテーマに取り紛れて紹介するのが遅くなりました。
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+ 東京新聞記事への読者の発言が「阿修羅」に載りましたので紹介します。
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「種苗法改正案」農家に打撃懸念 地域農業守る「在来種保全法案」を
東京新聞 2020年5月14日
新型コロナウイルス感染拡大の裏で、国会に「種苗法改正案」が提出されている。この法案が成立すると農家に大ダメージを与える恐れがある。作物の一部を採って繰り返し育てる「自家増殖」を原則禁じ、農家に企業などから種や苗を買うよう強いるからだ。「こんな法案より地域農業を守る法律が必要」。そんな動きがコロナ禍の国会で出てきた。(佐藤直子)
■なぜ不要不急の法案通そうとする
「国民に不要不急の外出は控えなさいとか言ってる時に、なぜ政府が不要不急の種苗法を通そうとするのか」。川田龍平参院議員(立民)は十三日、インターネットを使ったオンラインの記者会見でこう訴えた。
その種苗法改正案では、二〇二二年から育成権者の許諾なしに、農家が自家増殖することを禁じている。対象は八千品種余の国の登録品種。有名どころでは、米の「ゆめぴりか」「つや姫」、イチゴの「あまおう」などがある。
時間と費用をかけて開発した育成権者を守り、海外流出を防ぐ。自家増殖の禁止は国の知的財産戦略の一環だ。例えば、日本で登録されたブドウ「シャインマスカット」。苗木が中国や韓国に流出してしまった。自家増殖を禁じていれば国内で苗の流れを管理でき、流出を防ぐことができる。農林水産省は法案についてこんな説明をしている。
■「企業の利益保護に偏りすぎて」
一方、川田氏は「企業の利益保護に偏りすぎて地域農業を守るという視点がない」と反論する。実は種苗法以外にも、企業の権利を強める法の制定や廃止が相次いでいる。そんな状況を川田氏は問題視している。
もともと種苗の開発は国や自治体の仕事で、「種苗は公共財産」という考えが農家には強かった。ところが、一七年に制定された「農業競争力強化支援法」は、都道府県が持つ種苗の知見を多国籍企業も含めた民間に提供するよう求めている。都道府県に優良な米や麦の生産や普及を義務付けた「主要農作物種子法」は一八年、廃止された。
ここに自家増殖を禁止する種苗法改正が加わったらどうなるか。東京大の鈴木宣弘教授(農業経済学)は「国内品種の海外流出を防ぐという大義は理解できる。しかし、日本でも世界的流れと同様に、多国籍企業が種苗を独占していく手段として悪用される危険がある」と指摘する。
■訴訟リスク、日本の農業衰退する
たとえ改正されても、登録されていない品種は自家増殖できる。それでも川田氏は「登録されているのと似ている品種もある。『これは登録品種だ』と疑いをかけられ訴訟を起こされるリスクがある。これでは規模が小さい日本の農業は衰退する」と心配する。
そんなことにならないよう、川田氏は今国会で「在来種保全法案」を緊急提案しようと急いでいる。登録されていない在来品種を目録にし、農家が自家増殖する「権利」を守る内容にするという。
鈴木氏も在来種の保護は急務と考えている。農家の高齢化が進み、この百年で在来種の七割が消滅したからだ。今も野菜を中心に在来種は減り続け、登録品種がとってかわっている。
■常に種を買わないといけなくなる
鈴木氏は「種苗法が改正されると、農家は常に種を買わないといけなくなる。種のコストが高まる。『種を持つものが世界を制す』とはいう。これでは日本の食は守れない。南米やインドでは在来種を守ろうという抵抗が農家や市民から起きている。国民が知らぬ間の法改正はあってはならない。日本の市民はもっと関心を向け、引き戻しの議論をしてほしい」と訴えた。
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農家守るため法整備を(東京新聞・発言)
投稿者 蒲田の富士山 2020 年 5 月 26 日
東京新聞の読者の投稿欄(25日朝刊)より。
---以下引用
野菜作りを始めて二十年近くになる。最近は買った種で育てた野菜から種を採り、翌年に蒔いてもあまり実がならないようになっている。F1といわれる種で、ちゃんとした収穫は一年限り、だから毎年購入しなくてはならない。
隣の畑のおばあさんや知人に分けてもらった在来種は何年でも使える今や貴重なもので、絶やさぬよう毎年大切に育てている。十四日の特報面には、「在来種保全法案」を今国会緊急提案する動きを伝えていた。賛成だ。
現行の種苗法では、企業などが開発・品種登録したものでも農家には自家増殖が認められている。改正法が成立すれば、これが禁止され、農家がその種を採って使うには許諾料を払わなくてはならなくなる。家庭菜園用なら、毎年買ってもそれほどの負担にはならないが、大量に購入しなくてはならない農家には痛い出費で、営農がさらに厳しくなっていく。
作物から種を採って翌年それを蒔くというのは人類がずっと行ってきた農業の基本的な営みだ。人々の食糧となる作物の種を、著作権などの知的財産と同列に扱うことはできないと思う。現行の種苗法が食料供給を担う農家に特別の権利を認めているのは、それを踏まえてのことだろう。
新型コロナではマスク入手すら容易でないわが国の生活基盤の危うさが露呈した。気候変動や台風・地震などで日本が毎年、大きな災害に遭う恐れ現実味を帯びている。食糧自給は喫緊の課題だ。改正案の今国会成立は見送られそうだが、農業をアグリビジネスへ売り渡すような法案を通すことがあってはならない。
---引用終了
ここに転載される事は想定外でしょうから、お名前は略しました。
無職で70歳の方なので、副業か趣味で野菜作りをされていて、本業を退職されて、年金で生活されている方なのだろうか、とか推測いたしました。