2020年5月15日金曜日

今度は「#検察庁法改正案に抗議します」 30万ツイート

「#検察庁法改正案に抗議します」のツイートは15日付のLITERAによれば1000万件近くに達しました。
 新たに「#安倍晋三に抗議します」のタグを付けたツイートは13日の時点で30万件を突破し、「#検察に安倍首相に対する捜査を求めます」も12万件を超えたということです。
 憲法の根本的理念に反し、行政が検察のトップ人事に公然と介入出来るようにすることは絶対に許せないという国民の怒りに他なりません。
 安倍政権はその声を無視してひたすら強行裁決を目指しているようですが狂気の沙汰です。
 犯罪容疑者がトップに居ることの悲劇です。
 日刊ゲンダイの2つの記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今度は#安倍晋三に抗議します 国民怒り心頭で30万ツイート
 日刊ゲンダイ 2020/05/14
 国民の怒りは沸点に達している。「#検察庁法改正案に抗議します」――と、ドサクサ紛れの検察庁法改正案に抗議する声が700万件を超えたツイッターデモに続き、今度は「#安倍晋三に抗議します」とのハッシュタグが登場。安倍首相に対する猛烈な抗議が相次いでいるのだ。
 そもそも、「#検察庁法改正案に抗議します」とのハッシュタグを付けたツイッターデモは、安倍政権が法解釈をねじ曲げ、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を閣議決定したことが発端。検察トップに“官邸の守護神”たる黒川氏を据えようという、あけすけな狙いに国民は怒り心頭なのだ。
 肝心の法案審議もグダグダだ。13日の衆院内閣委員会に、本来、検察庁法の担当である森法相を出席させなかった。担当ではない武田行革担当相が答弁に立ち、野党の追及に対して「本来は法務省がお答えすべき」との発言を連発。終始シドロモドロのまま、具体的な運用基準すら答えられずに審議は中断。そのまま散会となった。

パク・クネ政権が倒れた時とソックリ
「#安倍晋三に抗議します」とのタグを付けたツイートは、13日の時点で30万件を突破。「#検察に安倍首相に対する捜査を求めます」も12万件を超え、トレンド2位に食い込んだ。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)がこう言う。
「韓国のパク・クネ政権が倒れた時の市民運動と似た現象が起きつつあります。当時、SNSを中心に、大規模デモのキッカケとなった事件の中心人物であるチェ・スンシルへの批判が、日常生活の投稿と一緒にカジュアルな形で広がりました。その後、批判の矛先はパク・クネ本人へと向けられました。日本で今起きている現象とソックリです」
 後手後手のコロナ対策も国民の怒りの火に油を注いでいるという。
「安倍政権は国民に不要不急の外出を控えるよう自粛を促しているにもかかわらず、生活の補償などはそっちのけで検察庁法改正という、まさに不要不急のことをやっている。外出規制がなければ、官邸前に何万人もの人が押し寄せるほどの抗議の熱量だと思います」(五野井郁夫氏)
 国民の怒りの声は、簡単に消せそうにない。国民を軽んじてきた官邸も戦々恐々ではないか。


なぜ急いで法改正? 逮捕に怯える首相周辺の疑惑の数々
 日刊ゲンダイ 2020/05/13
 不要不急の「検察庁法改正案」について、与党は13日の衆院内閣委員会での採決を提案。野党の抵抗でこれがずれ込んだとしても、今週中の衆院通過を強行する構えだ。
 今は安倍首相自身も国難と呼ぶ「新型コロナ対策」にこそ総力を挙げて取り組むべき時なのに、なぜそれほど法案成立を急ぐのか。抗議のツイッターデモは700万件を超える巨大なうねりになったが、安倍政権はそんな世論にもお構いなしである。
 改正案は、検察官の定年を現在の63歳から65歳に段階的に引き上げるもので、問題なのは検察幹部の「役職定年」に関する特例の規定。内閣や法相が認めた場合は、最大3年間、留任させることができるとしているのだ。
 検察庁は行政組織の一部だが、逮捕・起訴権を有する「準司法機関」でもある。だからこそ、政治的中立性が求められ、国家公務員法とは別に検察庁法という「特別法」で規律することになっている。しかし今度の法改正によって、検察人事への内閣の恣意的な介入が合法化されてしまうのである。
 慶大名誉教授(憲法学)で弁護士の小林節氏が言う。
検察官は『公訴権』を独占する権力機関であるとともに、三権分立の司法の入り口に位置して高い公平性が求められる特別な官職です。検察官を政治的に支配することは憲法違反であり、権力の私物化以外の何物でもありません」
 野党は「役職定年延長」部分を削除する修正案を提出した。だが与党は、数で押し切るつもりだ。マトモに審議する気がないのは、政府与党がこの改正案を国家公務員の定年延長法案と一括にして提出し、当事者の森法相に答弁させないようにしたことでも明確である。

河井夫婦立件を巡る攻防
 安倍政権は、なぜそこまでして検察庁法改正に血道を上げるのか。“官邸の守護神”と呼ばれる黒川弘務東京高検検事長(63)の定年延長を後付けで正当化する目的があるのは明らかだが、それでも黒川検事長の定年延長は今年1月、解釈変更という脱法行為の閣議決定で既に実施済み。現行法のままでも、今の稲田伸夫検事総長(63)が慣例通り、就任2年の今夏に勇退すれば、黒川検事長は検事総長になれる。
 今国会での法改正を頑として譲らないのはどうしてなのか。元参院議員の平野貞夫氏はこう言う。
「背景にあるのは官邸VS検察、安倍首相VS稲田検事総長の攻防だと私はみています。河井克行・案里夫妻を巡る公選法違反事件は、かなり緊張してきている。あす、緊急事態宣言が一部解除された後、克行氏の逮捕許諾請求もあり得るという話が囁かれています。安倍政権が検察庁法改正を急ぐのは、そうした検察の動きに対する牽制でしょう。野党は強行採決を命がけで阻止すべきです。そもそも閣議決定による黒川氏の定年延長は立法権の破壊。後から立法するなどという真逆の手法を許してはいけません」

行政府と立法府の長が司法府の長にもなる狂気
 河井案里議員の昨夏の参院選を巡る公選法違反事件は、既に起訴された秘書が買収の罪で公判中。ただ、案里の連座制適用だけでなく、夫の克行前法相が陣営の仕切り役だったとみて、広島地検はGWの大型連休中に夫妻を任意で事情聴取している。
 地元県議や市議らへの現金提供も判明。東京地検特捜部などから多数の応援が入り、立件に向け大詰めとされる。
 問題は事件の影響が河井夫妻だけにとどまらないことだ。案里と克行がそれぞれ代表を務める政党支部には、昨年4~6月の3カ月間で合計1億5000万円もの破格の資金が自民党本部から振り込まれている。この資金が買収行為に使われた可能性があるのだ。
「公選法221条(買収及び利害誘導罪)が自民党からの政治資金にも適用されれば、自民党本部も捜査対象になる。実際、案里議員は、同じ広島選挙区で戦った溝手顕正元参院議員への刺客として擁立され、資金はそのために使われた。党の捜査対象は選対委員長なのか、幹事長なのか。総裁である安倍氏の訴追だってあり得ない話じゃない」(平野貞夫氏=前出)
 コロナ禍で事実上止まっているカジノを含む統合型リゾート(IR)事業を巡っても、政権幹部がからむ利権の噂はくすぶったまま。汚職事件で起訴された衆院議員の秋元司被告は「『IR三羽ガラス』の議員がいる」とも言っていた。怪しい話はごまんとあるから、安倍は“守護神”を検察にとどめておきたいのだろう。

朕は国家なり
 もっとも、検察がマトモだったら、政権の悪行はもっと早くに白日の下にさらされ、安倍が逮捕されていてもおかしくなかった。
 森友学園問題では、安倍夫妻の存在によって国有地が8億円値引きという不当な安値で売られた。背任や公文書改ざんを巡る容疑で告発された佐川宣寿元国税庁長官ら財務官僚は不起訴となったが、検察審査会は起訴を見送りながらも、<背任罪について、本件のような社会的に注目を集めた被疑事件については、公開の法廷という場で事実関係を明らかにすべく公訴を提起する意義は大きい>と踏み込んだ。不起訴の裏に、当時法務事務次官だった黒川氏の暗躍が囁かれている。財務官僚が起訴されていれば、安倍夫妻に捜査の手が及ぶ。検察は安倍に忖度して手心を加えたのではないのか。
 加計学園問題にしても、安倍が“腹心の友”に国家戦略特区の認定を与えて便宜を図り、行政を歪めた疑いが持たれた。
 そして「桜を見る会」を巡る一連の疑惑。安倍後援会が主催した前夜祭の5000円という安すぎる会費は、公選法違反の有権者買収の疑いが晴れていないし、前夜祭の収支が政治資金収支報告書に記載されていない問題は、規正法違反の疑いが消えていない。
 いずれも政権私物化が行き着いた先の悪事。前出の平野貞夫氏らが安倍を内乱罪と内乱予備罪の疑いで告発、不起訴となったが、起訴状にあった<日本の権力を私物化するために、国の統治機構を破壊し、憲法の定める統治の基本秩序を壊乱>という“犯罪行為”は現在進行形なのである。
 人事権を盾に官僚の反旗を力で押さえつけているが、当事者たちが口を割れば、万事休すの疑惑は山ほどある。森友問題では、公文書改ざんを強制され、自殺した元近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻が今年3月、国と佐川氏を提訴した。裁判はこれからだ。良心の呵責に耐えられない官僚が出てきてもおかしくない。
「『モリカケ』も『桜』も明らかに安倍首相の犯罪じゃないですか。検察庁法改正によって検察を政治的に支配しようとするのは、安倍首相が時効を意識しているのだと思います。黒川氏にできるだけ長く検事総長でいてもらい、自分が権力の座を降りた後も、自分に捜査の手が及ばないようにしたいのでしょう。どこまでも安倍一族が守られるなら、もはや『法治国家』ではありません。『朕は国家なり』です」(小林節氏=前出)
 だから法改正に死に物狂いなのだ。
 安倍は国会で何度も「私は立法府の長」と発言してきた。行政府の長が立法府を手中に収め、そして今度は「司法府の長」のごとき振る舞い。この国は名実ともに「安倍独裁国家」になろうとしている。