2020年5月9日土曜日

支援策 とにかく遅い 子ども食堂支援早く 授業料一律半額へ

 新型コロナ禍に対する政府の支援は兎に角決定が遅い、給付が遅い、支援額が足りない、手続きが煩雑で事実上受けられない、子ども食堂や学生への支援が抜け落ちている等々、問題が山積です。
 単に美辞麗句を並べ立てた演説だけでは誰も救われません。政府は国民の窮状が本当に分かっているのでしょうか
 しんぶん赤旗、中國新聞、琉球新報の記事を紹介します。
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“支援策 とにかく遅い”「宣言」1カ月 新宿の休業店は困惑
しんぶん赤旗 2020年5月8日
 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の発出から7日で1カ月たちました。宣言は今月末まで延長に。日本有数の繁華街、東京・新宿では、困惑の声が聞かれました。(和田育美、松沼環)

 新宿西口商店街(思い出横丁)では、商店街の振興組合が通りやトイレなど共用部分を一斉消毒していました。
「営業再開を希望する店舗もあるから、安心して入ってもらえるように」と焼き鳥店を営む男性(79)は言います。自身は休業中で、バイトで働く人に半分ほど給与を支払っています。
 思い出横丁で71年続くうなぎ屋を経営する女性(58)は、宣言の延長を受け、4月7日からしていた休業を続けることにしました。5人のパートへの給与もあり、3月に融資の申請をしましたが、返事もまだだと嘆きます。政府の示す事業者などへの支援策については「とにかく決めるのも、出すのも時間がかかりすぎ。もう1、2カ月続くとうちもまずい。おばあちゃんが始めた店を途絶えさせたくはない」と訴えます。
 新宿3丁目では、イタリアンダイニングの店が4月6~20日まで休業していました。営業再開後も売り上げは9割減。店員の男性(26)は「社員の給料も6割になっている。休業延長は国が補償してくれるならいいですけど、今は開けないと厳しい。いつも通りに早く戻ってほしい」と不安な面持ちです。7日から営業を再開したうなぎ店の店員(24)は「緊急事態宣言は延長されたけど、店は再開せざるを得ない」と話します。
 歌舞伎町では、人通りがいつもより少ないものの、3、4人の若い女性が道行く人に声をかけています。
 近くの薬局には1カ月前にも取材した店員(24)がいました。当時、客が最も求めるマスクが入荷しないと嘆いていました。その後、マスクが入荷し始めましたが、当初は客が店内に密集し「怖かった」と話します。需要が一巡すると客足はぱったり途絶えました。マスク以外はほとんど売れず、4月の売り上げは約8割減。ゴールデンウイーク中は、人通りが無くなりガラガラだったと言います。


子ども食堂支援早く 大阪市対連などが市に要請
しんぶん赤旗 2020年5月8日
 新型コロナウイルスの感染拡大で学校休校がさらに長引く中、大阪市対策連絡会議(井上賢二代表)と、子どもの貧困問題大阪ネットワーク(中田進理事長)は7日、連名で「子どもの栄養、健康の深刻な状況を改善するため、子ども食堂の支援、学校給食の活用を求める緊急要請書」を大阪市の松井一郎市長、山本晋次教育長宛てに提出しました。

 要請書は、大阪市内の子ども食堂の約7割が休止しているが、3割は空腹を抱えた子どもたちを放置できずに開いているとし、「本来は行政がやるべき仕事を引き受けている。早急な支援が求められている」と指摘。
▽子ども食堂など、子どもの居場所への特別な配慮、財政的支援を行う
▽学校給食用食材を大阪市が買い上げ、子ども食堂に提供する
学校給食施設・設備を活用し、安心・安全・おいしい食事を子どもたちに提供する
―の3点を要望しています。
 子どもの貧困問題大阪ネットワークの藤永のぶよ副理事長、大阪市対連の庄司修事務局長、同・宮城登事務局次長が大阪市役所を訪れて提出。藤永氏は、西成区のある子ども食堂では8割がシングルマザーで日曜以外の昼、夜に食事を提供している実態や、ボランティアが活動を支えている実態などを述べ、「学校が再開したら子どもがやせていたとならないよう、市が財政支援などの下支えを」と要請しました。


授業料一律半額ぜひ 新型コロナ 野党・学生が意見交換 ネットを活用
しんぶん赤旗 2020年5月8日
 日本共産党など5野党・会派の国会議員が6日、国会内でウェブを活用した野党合同ヒアリングを開き、新型コロナウイルスの感染拡大で学生生活に大きな影響を受けている学生らと具体的な支援策について意見を交わしました。
 野党は、大学等が閉鎖した状態が続き、アルバイトの減収も学生生活に大きな影響を与えていることから、授業料の一律半額などを盛り込んだ支援法案を策定し、国会に提出することを目指しています。
 ヒアリングでは、学生から「アルバイトで何とか食いつないできたが、バイト先がなくなり、生活が苦しい」「学費が払えるのか不安」「奨学金が返せない」「休学費が払えず、退学を検討している学生がいる」などの声が寄せられました。

 日本共産党からは、田村智子政策委員長、畑野君枝衆院議員、宮本徹衆院議員が参加。「学生の運動が国会を動かしている。学業をあきらめることのないよう緊急に国が授業料を一律半額にすることがどうしても必要だ」(田村氏)、「自前で学費を払っている学生もいるので、親の収入だけでなく、学生個人のアルバイト収入の減少を基準に給付金の支給を決め、直接、当事者に届ける制度をつくっていく必要がある」(畑野氏)、「『あまりにも日本の学費が高すぎる』との声が寄せられたが、まったくその通り。学費の無償化へと向かう政治をつくっていかなければいけない」(宮本氏)などの意見が述べられました。


社説 ≪新型コロナ≫家賃負担 事業継続へ軽減策急げ
中國新聞 2020/5/8
 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、休業を余儀なくされている飲食店などの事業者から、家賃の負担軽減を求める悲痛な声が相次いでいる
 収入が激減する中、固定費の家賃が経営を圧迫。きのうからの緊急事態宣言の延長で、状況はさらに悪化する恐れがあり、死活問題と言える。
 当面の支払い猶予や減額に応じる不動産オーナーがいるものの、コロナ禍が長期化すれば共倒れしかねない。
 国は補正予算に「家賃対策」として収入が半減した中小企業に最大200万円の「持続化給付金」を盛り込んだ。しかし条件が厳しく、給付は1度だけで「少なすぎる」との批判が絶えない。それでも申請開始の1日には専用ホームページにアクセスが殺到した。事業者が置かれた状況の切実さの表れだろう。
 放置すれば、事業継続の道が断たれる経営者が多く出かねない。救済へ、国は負担軽減策を早急にまとめる必要がある。
 広島市中心部の飲食店などは営業時間の短縮や休業で売り上げが大幅に減少。先行きもなかなか見通せない中、家賃の支払いが重くのしかかっている
 「テナントを廃業させるわけにはいかない」。そんな思いで家賃を減額する動きが広島県内の店舗オーナーの中から出てきた。店が残ってさえいれば「再出発」も可能だとの思いが強いからだろう。歓迎したい。
 ビルのオーナーとテナントはビジネスパートナーである。両者を救う手だてが急がれる。店がつぶれると、オーナーにも地域経済にも大きな打撃となる。街の魅力も失われてしまう。
 先月下旬には、全国展開するカフェや居酒屋チェーンなどの経営者が、家賃の支払い猶予や減免できる法整備を国に要望した。国レベルの対応が必要だ。

 コロナ禍の影響で既に全国で企業倒産が相次いでいる。東京商工リサーチの調べによると、1日までに35都道府県の114社に上ったという。宿泊業や飲食業が目立ち、外出自粛や訪日外国人客の激減が、体力の弱い中小・零細業者を直撃したことが浮き彫りになった。資金繰りが逼迫(ひっぱく)しているだけに国や自治体が支えなければ、倒産の急増には歯止めがかかるまい。
 全国知事会も5日、緊急事態宣言の延長決定を受け、家賃負担の軽減などを含めた強力な2次補正予算編成を国に求めた。機動的な財政出動が欠かせないとの指摘だろう。
 国会もようやく本格的に動きだした。野党5党が国会に提出した家賃支援法案は、前年比20%以上の減収になった中小事業者に家賃を1年程度、政府系金融機関が肩代わりする仕組みだ。事業者の経営が苦しければ支払いを免除するという。
 肝心の与党はきのう、支援策について大筋合意した。一定の割合の収入減を条件に家賃の3分の2を半年間給付する案だ。自民党と公明党との間で食い違いがあり、解消に向けて調整を続けていた。
 遅れの目立つ国の支援策を待ち切れず、独自策を打ち出す自治体もある。山口市は売り上げが減った飲食店に家賃を補助する。最大30万円だ。国は自治体任せにせず、あらゆる手を尽くすべきだ。まずは家賃負担の軽減に向け、2次補正予算の編成を急がなければならない。 


所得「半分以下」33% 本紙県民調査 「食料買えない」26%
   新型コロナ 「心理的苦痛」44%
琉球新報 2020年5月8日
 新型コロナウイルス感染症の流行後の生活の変化を聞くため琉球新報社が実施したアンケートで、感染症流行前と比べて1カ月の給与や手当などの手取り額(所得)が「半分以下になった」と答えた人が33・7%で3人に1人に上った。「お金がなくて食料や生活物資を買えない」と答えた人も26・9%いた。暮らしへの不安などから気分障害や不安障害に相当する心理的苦痛を感じている人も44・9%に達し、危機的な状況にある県民が多数いることが明らかになった。調査は沖縄大学地域研究所の協力で実施し、2456件の回答が寄せられた。

 感染症流行前と比べた給与や手当などの手取り額については「半分くらいになった」が10・7%、「2~3割くらいになった」が8・5%、「1割以下」が14・5%で、合わせて33・7%に上った。「その他」を選んだ人の中には「解雇された」「ゼロ」などの記入もあり、実際はさらに厳しいとみられる。
 生活上の困りごとを聞く項目では「食料や必要な生活物資を買えない」とした人が26・9%いたほか、「家賃や住宅ローンを払えない」も25・4%に上り、食・住という生活の基盤が脅かされている人が3人に1人に上った。「倒産したり解雇されたりした」とした人も13・0%いた。
 心の状態を表す指標では、気分障害や不安障害に相当する心理的苦痛を感じている人(10点以上)が44・9%に達した。国の健康施策「健康日本21(第2次)」はこの目標値を9・4%と設定しており、県内では2010年の国民生活基礎調査を元にした分析では8・1%だった。この激増ぶりに沖縄大学の山野良一教授は「大災害時に匹敵する精神状態と言える」と分析した。

 自由記述には仕事や収入の減少に加えて先行きの見えなさ、感染への恐怖、子育てや孤立への不安を訴える声が並んだ。 (黒田華)