2020年5月2日土曜日

韓国は軍事費を支援金に/学業・医療・零歳企業への抜本補償をすぐに

 韓国は現在の新規感染者数は 0~1桁/日で新型コロナウイルス感染症の抑え込みに成功しました。それは中国と共にいち早く新型コロナ感染者の隔離施設を増設し、コンテナ―型のPCR検査施設を全国に500カ所近く設置したほか、ドライブスルー式PCR検査方式や検査キットを開発するなどした結果で、その先進性は世界中から高く評価され、コロナ封じ込めのノウハウについての問合わせやキットの購入申込が集中しているようです。
 韓国の優れた点はそれだけでなく、2月中旬に日本の感染者が60人になった時点で韓国はまだ30人以下であったのですが、既にPCR検査1日3,000人体制を整え、感染者隔離世帯への経済的支援体制などを確立していました。当時の日本のPCR検査体制は300人/日でした。
 日本の政府のコロナ対策本部が3月10日に見掛け倒しの対策費4300億円を決めた時には、韓国は既に1兆円規模(日本の人口に換算すると約2兆5千億円)の対策費を決定していました。

 その韓国が今度は、軍事費9897億ウォン(約850億円)削減し、総額12兆2千億ウォンを国民の支援支給充てることを決めました。韓国は既に通常の経済活動を再開しているのですが、これまでに国民が疲弊したことへの手当というわけです。

 一方日本はコロナを鎮静させるために更にもう1カ月間、行動を自粛し商店の休業などを要請する方針であるにもかかわらず、休業補償や生活支援金の給付に関しては何の言及もありません。
 コロナ対策劣等国の日本は韓国の姿勢をこそ大いに見習うべきです。
 
 しんぶん赤旗の記事「学業・医療・営業と暮らし 継続できる抜本補償すぐに ~ 」を併せて紹介します。
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韓国、軍事費削り支援金 F35など850億円 全世帯に支給
しんぶん赤旗 2020年5月1日
 韓国国会は30日未明、新型コロナウイルス対策として全世帯に支給する「緊急災害支援金」の財源確保に向けた第2次補正予算を可決しました。軍事費9897億ウォン(約850億円)の削減などが行われ、総額12兆2千億ウォンが支援金支給に投入されます
 削減された軍事費は、F35ステルス戦闘機(3000億ウォン)、海上作戦ヘリコプター(2000億ウォン)やイージス艦(1000億ウォン)などの事業で、今年の支払いの一部を先延ばしするなどしました。
 韓国政府は、今月中旬までに全2171万世帯に支給するとしており、単身世帯で40万ウォン(約3万5000円)、4人以上世帯の場合は100万ウォン(約9万円)となります。急を要する生活保護世帯などには4日から支給される予定です。
 政府は当初、所得下位7割の世帯に支援金を支給するとしていました。しかし総選挙(4月15日投開票)で与野党それぞれ全国民への支援金給付を公約に掲げたことから、さらなる予算の組み替えが行われました。それにともない軍事費の削減額も政府の補正予算案より約850億ウォン増となりました。


学業・医療・営業と暮らし 継続できる抜本補償すぐに 
危機克服へ党派超え知恵を 参院予算委 小池書記局長が主張
しんぶん赤旗 2020年5月1日
 日本共産党の小池晃書記局長は30日の参院予算委員会で、新型コロナウイルス感染症の危機の中で打撃を受けている学生、病院、中小自営業者やフリーランスの実態を示し、学業や経営、暮らしを継続できる補償へと抜本的に切り替えるよう迫りました。安倍晋三首相は、従来の対応策を繰り返すばかり。小池氏は「目の前の危機を乗り越えるために党派を超えて知恵を出すべきだ」と述べ、緊急対応を重ねて求めました。

 コロナ危機の中で、退学を検討している学生が5人に1人、2割に上るとの「高等教育無償化プロジェクトFREE」の調査結果が発表されています。
 小池氏は、授業料減額などを求める学生の声に大学も応えようと努力している一方で、補正予算案ではコロナの影響で家計が急変した学生への授業料減免はわずか7億円しかないと指摘。文科省は対象が全国で2300人と認めました。小池氏は、「学生1600人あたり1人しか減免されない。日本の未来を担う学生に勉学をあきらめさせるようでは、いったい何のために政治はあるのか」とただしました。
 萩生田光一文科相は「今回の補正予算案が必ずしも十分だとは考えていない」と答弁。小池氏は「不十分だと認めるなら、ただちに財政措置をとるべきだ」と指摘しました。

 コロナ感染拡大防止に全力をあげている病院にも、大きな負担がのしかかっています。小池氏は、政府が今の10倍、20倍の感染入院患者の増加を想定しながら、わずか1490億円の緊急包括支援交付金で対応しようとしているとして、「日本の医療機関がコロナの治療に安心して取り組めると思うか」と批判。全日本病院協会など四病院団体協議会と日本医師会が、医療機関が経営破たんしないよう、災害時と同様に前年度の診療報酬支払額に基づく概算請求を認めるよう求める要望書を提出していることをあげ、「日本の医療機関を守るため、最低限の要望をしっかり受け止めるべきだ」と主張しました。
 これに対し、加藤勝信厚労相は「難しいと思う」などと答弁。安倍首相も「災害時の対応とは違う」などと難色を示したため、小池氏は「災害時以上の困難が生まれている。病院の倒産を防ぐための党派を超えた医療関係者が上げた声に耳を貸すべきだ」と重ねて検討を求めました。

 さらに、小池氏は、中小事業者やフリーランスへの持続化給付金の支給条件に、政府が「売り上げ半減」との“線引き”をしている点について「売り上げが3割減、4割減でも深刻だ。困っている人の中に、国が『線引き』して、分断を持ち込むことは絶対にやってはならない」と批判。一方で、補正予算案では、大企業に返済不要の資金援助を行うファンドの創設を盛り込んでいるとして、「優先順位がめちゃくちゃだ。こんなやり方が理解されると思うか」とただしました。

 梶山弘志経産相は、持続化給付金に5割の線引きをした根拠についてまともに答えられず、安倍首相は「予算規模との見合いだ」「どこかで線を引かなければいけない」などと答弁。小池氏は「内部留保がある大企業支援ではなく、苦境にあえぐ学生、医療、中小企業、フリーランス、文化芸術の支援に使うのが政治の責任だ」と強調しました。