2020年5月6日水曜日

営業自粛「もう限界」 緊急事態宣言延長に悲鳴

 緊急事態宣言が5月末まで延長になりました。しかし新たな給付金などについては何の言及もありませんでした。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で倒産した企業数、3月末時点では25でしたが5月1日までにさらに89社が倒産し、114社に達しました
 外出等の自粛や休業の要請に直撃された中小・零細企業資金繰りは日増しに悪化していて、倒産は今後増加すると見られます
 更に1ヶ月も続く自粛・休業に、各地から悲鳴が上がっています。
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コロナ倒産、114社に急増 目立つ宿泊・飲食業、中小直撃
東京新聞 2020年5月5日
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で倒産した企業数が、35都道府県の114社に急増したことが5日、東京商工リサーチの調べで分かった。3月末時点では25社だったが、5月1日までにさらに89社が倒産。負債額3億円未満と小型の倒産が少なくとも半数を占め、宿泊業や飲食業が目立つ。外出自粛や訪日外国人客の激減が体力の弱い中小・零細企業を直撃した。企業の資金繰りは日増しに悪化しており、倒産の増加傾向は続く恐れがある。
 業種別では、宿泊業が26社と突出し、続いて飲食業の16社、アパレル関連の10社だった。地域別では関東が38社と全体の3割超を占めた。(共同)


営業自粛「もう限界」 緊急事態宣言延長に福岡の飲食店悲鳴
西日本新聞 2020/5/5
 いつまで自粛生活は続くのか-。緊急事態宣言が今月末まで延長されたことを受け、「特定警戒都道府県」に指定されている福岡県内では引き続き、百貨店やナイトクラブ、パチンコ店などの特定業種が休業を余儀なくされる。営業再開を心待ちにしていた居酒屋やスナックからはこれ以上は耐えられない」との悲鳴が相次ぐ。
 「店を始めないと、もうやっていけない」
 緊急事態宣言の延長を聞き、福岡市の歓楽街・中洲でスナックを営む女性(52)は肩を落とした。休業して1カ月。無収入の中、家賃などの固定費が数十万円かかる。「(資金が枯渇するまで)残された時間は少ない。何もしなくてもお金が入る政治家には、底辺の人たちの生活が分からんのやろうね」
 同じく中洲でスナックを経営する70代女性は、国民年金に加入していないため収入が途絶え、貯金も底を突いた。入居するビルのオーナーが家賃1カ月分を免除してくれたが自宅マンションの家賃を支払う当てがない。「これから先、どうやって生きていけばいいのか分からない」と嘆いた。

 北九州市小倉北区の旦過市場でも、半分以上がシャッターを下ろしたまま。鮮魚店「魚修」は4月の売り上げが前年比で3割程度にまで落ち込んだ。店主の川上修治さん(45)は「引き続き飲食店が営業できなければ、うちは大打撃だ」とため息をつく。
 持ち帰りや出前の営業スタイルを勧め、食事中のおしゃべりは控えて対面ではなく横並びに座り、お酌は避けて…。4日、政府の専門家会議が示した「新しい生活様式」の実践例には、酒類を提供する店にとっては死活問題となる項目が並ぶ。
 「おしゃべりもできないなら、家で飲むでしょ」。中洲で小料理屋を営む70代男性はあきれる。店内はカウンターのみで計8席。間隔を空ければ3~4人しか入れない。「テークアウトは利益が出ないし、現実的ではない。コロナが収まるまで店を閉めるしかない
 4月末に営業再開した福岡市中央区今泉のそば居酒屋「コチソバ」。座席数を減らし、カウンターと厨房(ちゅうぼう)をビニールで仕切った。この日はさらに、座席の間にもクリア板を設け、店内での感染リスク削減に工夫を凝らす。テークアウトや出前も始めており、高田華世代表は「食事を楽しみたいお客さんの声に応えられるよう、出前にも力を入れたい」と話した。 (野間あり葉、井崎圭、西村百合恵、宮崎拓朗)


「店を閉めても開けても結局赤字」飲食店経営者、緊急事態宣言延長に唇かむ
 神戸新聞NEXT 2020/5/5 05:30
 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が5月末まで延長され、兵庫県内の外出自粛や休業要請も続くことが決まった。「やむを得ない」「もう、もたない」。既に大きな打撃を受ける店主らからはため息と嘆きが漏れ、売り上げが見込めない地場産業や興行の現場でも正念場が続くことになる。(伊田雄馬、中務庸子、金井恒幸)

■売り上げ2割に
 神戸・三宮の和食店「智(さと)や」。普段なら大勢の客でにぎわう午後6時ごろでも、カウンターに常連客が1人座っているだけ。一方、店内では経営者の男性(51)ら3人が働いている。
 「店を閉めても開けても結局、赤字」と経営者の男性。午前0時だった閉店時間を午後8時に前倒しした上、予約のキャンセルが相次ぎ、4月の売り上げは昨年の8割減まで落ち込んだ。「毎日のように感染者が出ている状況では仕方ない。今は辛抱」と唇をかむ。
 立ち飲みもできる山下酒店(神戸市中央区)では、常連客も顔を見せなくなったという。店主(79)は「みんな外出を自粛している証拠。今は経済よりも命が大切」と語った。

■秋冬商戦見えず
 地場産業も苦境に立つ。神戸のケミカルシューズ業界は、取引先の百貨店などが臨時休業となり、売り上げが激減した。
 「試練やね。さらに1カ月はきついわ」。婦人靴メーカーのサンナイト(神戸市長田区)では、4月の売上高が前年の半分以下に。日本ケミカルシューズ工業組合理事長も務める新井康夫社長(65)は嘆く。現在はサンダルなどを製造するが、納品先の多くが休業しているため多くは店頭に並ばない。同社の工場も追加受注がなく、5月中旬から休業する予定だ。初夏に開かれる秋冬用の展示商談会も中止が決まり、「来季に向けた準備もできず、もどかしい」と話す。

■落語家も裏方も
 上方落語の定席「神戸新開地・喜楽館」(同市兵庫区)は県内で感染者が確認された直後の3月3日から昼公演を中止。緊急事態宣言を受け、5月31日までは夜公演を含め全館休館を決めている。3月以降の収入はほぼゼロ。職員の給与支払いなどのため助成金制度の利用も検討している。
 収入を絶たれた若手落語家も多い。運営するNPO法人「新開地まちづくりNPO」理事長で同館館長の高四代(たかよんだい)さん(72)は「若手を育てる場にしようと取り組んできたが、その機会が失われ毎日、胸が痛む」と肩を落とす。


支援金「説明が不十分」 支給見通せず 緊急事態宣言延長
北海道新聞 2020/05/05
 政府が31日までの期間延長を決定した新型コロナウイルスを巡る緊急事態宣言。休業要請の期間も延びることになり、営業短縮に協力してきた飲食店などからは経営体力の限界を訴える声が上がった。道の支援金を受け取るには当初期限の6日から、さらに15日まで休業する必要があり、店主からは支援金の上乗せを求める声も相次いだ。
 釧路市内で、ラウンジと居酒屋を経営する50代の男性は「7日に営業を再開するつもりだった。延長は本当に困る」と戸惑う。ラウンジは休業し、居酒屋の売り上げはテークアウトの注文だけ。借り入れの返済などで毎月数百万円の支出がある。
 男性は、収入が前年比で半減した個人事業者に100万円を支給する国の「持続化給付金」の申請準備を進めるが「必要な書類が多く手続きは煩雑。国は結局お金を出したくないのでは」とこぼす。「お金が入るのも遅いようでは店をたたむ人も出てくる」と危惧を抱く。
 渡島管内の自営業の男性は「道の給付条件の説明は不十分だ」と不信感を募らせる。休業要請を受け、4月21日に道の「休業要請相談専用ダイヤル」に問い合わせたところ、担当者は「延長があった場合も、当初の5月6日まで休業してもらえれば支援金を支給します」と明言したという。
 実際に道は、21日にホームページ(HP)で「延長される場合もあるが、その場合も休業等の延長に協力をお願いします」とだけ記載。男性が23日から休業した後にHPで見た支援金の申請書には休業が延長された場合も休業に協力することが支給の要件となると明記されており、男性はこの時に初めて当初の道側の説明が不十分だったと認識した。
 道の担当者は「聞かれれば説明したが、事業者側の関心も異なるため、すべて説明していなかった」とした。だが、男性は「こうした分かりにくい説明で理解を得られるのか」と憤る。
(以下は有料記事のため非公開 残り:464文字/全文:1230文字

<コロナ緊急事態>不安、我慢 いつまで
東京新聞 2020年5月5日
 外出自粛要請が続く大型連休後半の四日、緊急事態宣言の延長が決まった。人影もまばらな街では、「延長も仕方ない」とあきらめの声が上がり、客足の遠のいた商店街からは「地獄だ」という嘆きも。多くの子どもたちは学校に通えるめどはたたないままだ。
◆街の声 「怖いから延長仕方ない」
  (省 略)
◆自営業者 「開けるも閉めるも地獄」
 例年の大型連休は大勢の買い物客でひしめき合う東京・吉祥寺駅北口の商店街。四日の昼すぎ、普段は百メートル近い行列ができる人気メンチカツの店に並んでいたのは四人だけだった。
 創業七十三年の干物店を営む入沢勝さん(78)は、手持ちぶさたな様子で店頭に立っていた。「緊急事態宣言が延長しても、休業補償の対象外だから店を開けるしかない」とあきらめ顔だ。花見の時期から大型連休にかけて「売り上げは例年の三割ほど。開けるも地獄、閉めるも地獄だよ」とこぼす。
 明かりを落としたそば店内では会議が開かれていた。四月八日から休業で、蓄えは底をつきつつある。
 店主の男性(54)は「こんなに早くカネがなくなるとは…」と話す。都の休業補償も「うちじゃ絆創膏(ばんそうこう)ぐらいの効果」という。国の融資を申し込んだが、受け取れるのは六月末。それでも社員には給料を払い続けるつもりだ。「会議で社員にも言ったんだ。愚痴っても始まらない。生き残るためにがんばるしかない」 (中沢誠)
◆子どもを持つ親 「学校再開の方法考えて」
  (省 略)
(小野沢健太、曽田晋太郎、林容史)

「お金回らないと死んでしまう」支援申請に追われる居酒屋 給料支払い間に合わず
毎日新聞 2020年5月5日
 5日午後3時過ぎ、東京・日本橋の海鮮居酒屋「快海(かいかい)」の店主、石居弘司さん(48)は、誰もいない店内で一人パソコンに向かっていた。店を休んでいる連休中に、国の「雇用調整助成金」の申請書類を作ろうと店に出てきた。 
 4月上旬から営業時間をランチタイムだけにして仕事が減ったため、日本橋、銀座、秋葉原の3店舗で約15人いる従業員は交代で休ませている。従業員には休業手当を払うが、雇用調整助成金はその元手となる。だが、申請書類の作成が一向に進まない。近くのハローワークで書類をもらってきたのは4月8日で、もう1カ月近くたつ。 
 新型コロナウイルスに関連した休業は、特例でパートやアルバイトも助成金の対象となり、助成率も引き上げられた。申請には、助成金の金額算定の根拠となる過去の給料の支払いを証明する書類や、労働時間を記した書類が必要だ。 
 だが、石居さんは給料を現金で手渡しており、支払いを証明する台帳がなかった。そのため、書類を一から作り始めた。アルバイトやパート従業員の申請書類は特例で認められたため書式が判然とせず、これも手探りだ。助成率の引き上げは4月以降、矢継ぎ早に行われたが、そのたびに記入事項の確認などが必要になっている。石居さんは「制度の拡充はありがたいが、うちみたいな小さな店は書類をそろえるだけで大変」とこぼす。 
 書類で分からない点は知り合いの社会保険労務士に相談しているが、前例のない措置で社労士も分からず、その都度、労働基準監督署などに問い合わせている。社労士の話では「1日70件も電話の問い合わせを受けて仕事にならない社労士もいる」といい、社労士たちもパンク寸前という。 

 緊急事態宣言は5月末まで延長され、連休明けもランチだけの営業が続く。一方、頼みの日本政策金融公庫の無担保・無利子融資は、公庫から4月30日夕方になって「印鑑証明が足りない」と連絡があり、連休明けに再提出が必要になった。5月10日の従業員の給料の支払いに充てようと思ったが、間に合いそうにない。「店も人間と同じで、血液であるお金が回らないと死んでしまう。もうちょっと我慢が必要というのは分かるが、頑張るための目標が欲しい」。石居さんはいつもより弱々しい調子でそうつぶやいた。【高橋祐貴】