政府が以前にまとめた雇用調整助成金についてはあまりにも手続きが煩雑で、会計士でもも持て余すほどです。まして会計士に頼む余力がなく自らも多忙な企業主には申請そのものができないシロモノです。当然受け入れられる余地も小さく、ある社労士は申請するだけ無駄だ述べたほどです。それが実態なのでしょう。
その余りの不評に、政府は今頃になってチョビチョビと簡素化を図ったり、助成金の引き上げを検討したしたりしていますが、そんな緩慢で浮世離れした対応ではとても中小零細企業は生き延びられません。
ドイツやカナダなどでオンラインや電話で申請が出来(給付も殆ど即座に行われる)ているのに、なぜ日本はそれとは全く正反対な、いわば実行することができない申請手続きしか決めることが出来ないのでしょうか。
他国に比べて数ヶ月遅れの家賃支援の自民党案が7日にようやくまとまりました。
しかしその内容については、支援額の不十分さもさることながら、具体的なやり方が、まず日本政策金融公庫から融資を受けてそれを後日政府が補填する形なので、それではとても間拍子に合いません。ある事業者が別件で(4月25日以前に)同公庫に申請しようとしたところ、係員と面談できるのが早くて6月20日だと言い渡されたということです。
そんなことでは家賃補助の給付が何時になるのか分かりません。政府与党はなぜ企業がとても生き延びられない施策しか打ち出せないのでしょうか。
LITERAが取り上げました、
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安倍自民党の遅すぎる家賃支援案がひどい!
“家賃払えず廃業”の声続出なのに「まず金融機関を活用しろ」と現実無視
LITERA 2020.05.07
緊急事態宣言の期間延長を決定しながら、4日の会見では具体的な補償策を打ち出すこともしなかった安倍首相。そんななか、遅れに遅れて自民党がようやく本日、中小・個人事業主への家賃支援案について取りまとめた。
まず、あまりに遅すぎる、と言うほかない。立憲民主党や国民民主党などの野党統一会派と、共産党、日本維新の会の野党は共同で、4月28日に「家賃支援法案」を衆院に提出済み。一方、同じ日の衆院予算委員会では、自民党の岸田文雄政調会長が家賃助成について取り上げ、安倍首相も「躊躇なくやるべきことをやっていきたい」「党の検討の結果は政府としてもしっかりと受け止めなければならない」などと答弁していたが、自民党が家賃支援を協議するプロジェクトチームの初会合を開催したのは、なんと4月30日になってのことだった。
しかも、きょう取りまとめた案を公明党と協議し、与党案として〈近く政府に提言する予定〉(テレ朝ニュース7日付)という。こんな悠長な姿勢でどこに「スピード感」があるというのか……。
まあ、時間がかかった分、きっと手厚い策が出てくるのだろう……そう期待していたのだが、現在報道されている内容を見てみると、肩透かしもいいところだったのだ。
今回決定された自民党案は、新型コロナの影響で減収した中小・小規模事業者と個人事業主を対象に、年内を目処に家賃の3分の2相当を国が半年間助成する、というもの。これだけ見ると「なかなかの支援案かも」と感じた人も多いかもしれないが、それは大間違いだ。
「国が家賃の3分の2を助成」というが、これは国が事業者に助成金を出すものではない。まず、事業者が金融機関に無利子・無担保融資の申請をおこない、事業者がその融資を受けた金のなかから家賃の支払いに充て、あとから国がその分を助成する、という仕組みなのだ。
「まずは金融機関からの無利子・無担保融資で家賃を払え」って、自民党は現実をわかっているのだろうか。というのも、融資をおこなっている日本政策金融公庫には問い合わせが殺到している状態で、4月25日放送の『NHKスペシャル』では、申請しようとした事業者が、面談でさえいちばん早くて6月20日だと言い渡されていた。今月1日からは民間金融機関でも受付が開始されたが、融資を受けられるのがいつになるのかわからないのに「家賃は融資を利用して支払え」というのは、現実をあまりに無視しすぎている。
しかも、この自民党案では、この家賃支援が受けられるのは、前年同月比で収入半減か、3カ月間で平均30%以上減収した事業者だけ。さらに賃料の3分の2の助成には上限が設けられており、その金額は、中小・小規模事業者が月50万円、個人事業主は25万円。この上限金額は東京の事業者の平均賃料を参考にしたというが、立地が良いために賃料が高いミニシアターやライブハウスなどの場合、月の家賃の半分にもならない場合もあるだろう。
ちなみに、野党が共同提出した「家賃支援法案」は、家賃の支払いを1年間猶予し、その間の家賃は日本政策金融公庫が代わりに払う、というもの。要件は、2月以降の売り上げが前年同月比20%以上減った事業者、あるいは開業前に家賃負担が発生したテナントで、〈事業者の経営状況によっては公庫への家賃返済を免除して、実質的な補助とする〉(毎日新聞4月28日付)という。
この期に及んで自民党幹部「これでもたない会社は潰すから」精神なのか
いま、「家賃が払えず廃業を決めた」「休業要請の延長に従えば今月の家賃が支払えない」という事業者は後を絶たず、一刻も早く家賃を支払えるようにすることが重要になっている。その点、野党案は日本政策金融公庫が肩代わりするため、「いまは支払いがない」という安心感があることは言うまでもない。それを自民党案は、このスピードが求められる局面で「当面は融資でどうにかしろ」というのである。この一点をとっても、安倍自民党に事業者を救おうという意識があるのかと疑うほかない。
実際、自民党で休業補償などを求めている若手議員のひとりである安藤裕衆院議員は、自民党のある幹部から「これでもたない会社は潰すから」と言われたことをぶちまけていたが、この期に及んでも、安倍自民党は「家賃が支払えないような事業者は廃業やむなし」とでも考えているのではないか。
いや、それどころか、家賃支援について「躊躇なくやるべきことをやっていきたい」と国会で述べた安倍首相だが、これも“口からでまかせ”ではないのか。現に、〈官邸幹部は補正予算に盛り込んだ中小企業向けの最大200万円の給付金をあげて「家賃支援も含んだ制度だ」と、追加支援には消極的な姿勢を示す〉(朝日新聞1日付)というからだ。
韓国は徹底したPCR検査の実施と感染者の隔離によって、5日に外出自粛の要請を解除したが、日本が緊急事態宣言の期間延長にいたったのは安倍首相の後手対応の結果であることは言うまでもない。にもかかわらず、その後手対応によって被害を被っている事業者に対し、安心を与える支援策も打ち出さず、安倍官邸はいまだに出し渋るとは……。
安倍首相は自民党案をそのまま通す気なのだろうが、これでは困っている事業者を救うことはできない。野党案を取り入れ、すぐにでも対応すべきだ。(編集部)