4日夕、安倍首相は行動の自粛・休業等を要請する緊急事態宣言を5月末まで延期することを明らかにしました。しかし延期に対する休業保障等は何もなく、殊勝そうな態度で「人と人との絆の力があれば」などと美辞麗句を重ねただけの会見(演説)でした。
追加の保障については「事態の推移等の状況を十分に見極めながら判断をしたい」と述べました。いまだに国民の困窮度が分からないというのでは全く話になりません。
いわゆる非正規労働者たちがいまどんなに困窮し、飲食店等が長期間の休業によって高額な家賃が払えないために次々に倒産・閉店・廃業に追い込まれている実態が分からないのでしょうか。
そもそも1人当たり10万円で2ヶ月も3ヶ月も生きられる筈がありません。まずは早急に1人当たり10万円の「2回目」の給付を行うべきです。
雇用調整助成金も当然少なくとも倍増させる必要があります。
そもそも「雇用調整助成金」は手続きが煩雑で、申請をおこなっている事業者からも「本当に受理されるのかわからない」「支給がいつになるのかわからない」というだけでなく、社労士が「申請するだけ無駄」と述べるほどに申請が通らない制度になっているということです。まさか資格制度と勘違いしているのではないでしょうが、政府には助成金を払って企業と労働者を守ろうという気持ちがあるのでしょうか。
それにしても別掲の記事に書かれているカナダでの休業補償や国民への長期間にわたる給付のシステム、そしてその手続きの簡便さと給付の迅速さは、日本のそれとはあまりにも違っていてつくづく情けなくなります。
安倍政権の外面だけを取り繕う酷薄な施策とは余りにも違う、カナダ政権の「微に入り細にわたる 手厚さ」にはただただ驚くほかはありません。敢えていうならばそうした違いの最大の理由は、安倍首相とトルドー首相の人間性の違いなのでしょう。それに片方には頭脳の緻密さが大いに欠落しているのでしょう。
こうした非常時にこそ人間の真価が顕れるものです。安倍首相はあらゆる点で失格です。
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安倍首相の緊急事態宣言延長会見に愕然! 持続化給付金を「早くて8月」と間違え、
追加補償も提示せず「絆があれば」のポエム
LITERA 2020.05.04
「人と人との絆の力があれば、目に見えないウイルスへの恐怖や不安な気持ちに必ずや打ち勝つことができる。私はそう信じています」「みんなで前を向いて頑張れば、きっと現在の困難も乗り越えることができる」──。本日、緊急事態宣言を5月31日まで延長すると決定したことを受けておこなった記者会見で、安倍首相はこの期に及んでもまるで実感が感じられない空疎なポエムを読み上げた。一方、どのような基準・判断で緊急事態宣言を解除するのか、納得のいく根拠はまったく示されなかった。
そもそも今回の延長期限自体、「キリがいい」という理由で今月末までに決まったと報じられているが、いまだPCR検査数が増えていない状況で、一体どうやって判断するというのか。率先しておこなうべき検査・医療提供体制の強化という自分たちの仕事もやらないまま、国民にだけ痛みを押し付けようというのである。
しかも、きょうの会見では、安倍首相が苦境に立たされている国民の存在を気にもかけていないということを証明する、信じがたい“事件”が起こった。
安倍首相は期間延長によって休業を続けなくてはならない事業者の存在について、「苦しみは痛いほどわかっています」などと言いながら、手薄すぎる現行の給付金や融資制度を並べて説明しただけ。挙げ句、中小・個人事業主向けの「持続化給付金」の支給について、こんなことを言い出したのだ。
「5月1日から最大200万円の持続化給付金の受付を始めましたが、もっとも早い方で8月から入金を開始します」
あれだけ急ぐと言ってきた給付金が、「早い方で8月」……!? この発言にTwitter上ではツッコミが相次いだが、その後、記者の質疑応答中に安倍首相は「5月8日」の言い間違えだったとして訂正した。
プロンプターを読み上げるだけの簡単な仕事さえできないのかと呆れもするが、これはたんなる間違いだと看過できない。休業要請によって収入がゼロになり、家賃などの固定費の支払いのみならず、きょう食べるものにも困窮し明日の生活さえ見通しがたたない人びとにとって、この給付金は命綱だ。だからこそ一刻も早く給付されなければならないのに、その切迫感がないから安倍首相は「8月」と間違った数字を読み上げたことに気づかず、すぐに訂正することができなかったのではないか。ようするに、休業要請によって国民が強いられている現状を、まったくわかっていない、わかろうとしていない証拠だ
。
そして、さらなる期限延長にともなって最大の問題は追加の補償策についてだが、痛みを押し付けてばかりで国民の生活を何も理解しようとしない安倍首相は、何一つ打ち出すことはなかった。
期限を延長する以上、現在の一律10万円給付や事業者への最大200万円の給付金では足りないことは言うまでもない。しかし、安倍首相は「事態の推移等状況等を十分に見極めながら判断をしたい」と言うだけ。先週成立した補正予算は収束後の「Go To キャンペーン」に約1兆7000億円も計上する有様で、新型コロナ対策としてあまりに不十分だと批判があがっており、普通ならゴールデンウィークを返上して第二次補正予算について詰めるべき局面だが、それもせず、こう述べたのだ。
「飲食店などのみなさんの家賃負担の軽減、雇用調整助成金のさらなる拡充、厳しい状況にあるアルバイト学生への支援についても、与党における検討を踏まえ、速やかに追加的な対策を講じていきます」
安倍政権は家賃補償にも学生支援にも後ろ向き、雇用調整助成金も抜本的改善なし
「与党での検討を踏まえ」と言うが、それでは遅すぎるし、野党はもうすでに対案を出している。たとえば、家賃補償の問題は、野党はすでに4月28日に法案を提出済み。この法案では、中小企業の家賃を政府系金融機関が肩代わりし支払いを猶予し、経営状況によっては公庫への家賃返済を免除し補助とすることや、貸主が家賃を減額した場合にその一部を国が補助することなどが盛り込まれている。
一方、自民党が中小企業への家賃支援を協議するプロジェクトチームの初会合を開催したのは、4月30日になってのこと。党の案のとりまとめも7日になる予定と後手後手だが、その上、〈官邸幹部は補正予算に盛り込んだ中小企業向けの最大200万円の給付金をあげて「家賃支援も含んだ制度だ」と、追加支援には消極的な姿勢を示す〉(朝日新聞1日付)という。対応策を主導しているのは官邸の今井尚哉首相補佐官だが、安倍官邸が期間延長を決めてもいまだに出し渋っているとなれば、家賃支援策も期待できそうにない。
また、「雇用調整助成金」も、西村康稔コロナ担当相がようやく日額上限8330円の引き上げの方針を示したが、これもどれほどの引き上げになるのかは未定のまま。また、本サイトでは何度も指摘してきたように「雇用調整助成金」は手続きが煩雑で、申請をおこなっている事業者からも「本当に受理されるのかわからない」「支給がいつになるのかわからない」という不安の声が続出。「もう諦めた」「社労士から『申請するだけ無駄』と言われた」という事業者も出ており、実際、相談件数は全国で20万件を超えているというのに、申請件数は5119件、支給が決定したのはいまだにわずか522件だ(FNN PRIME online4日付)。しかも、そもそも事業者が申請をせず「休業手当を払ってもらえない」という労働者の悲鳴があがっており、直接補償・支援する仕組みが必要なのは言うまでもない。
さらに、安倍首相が言及したアルバイト学生の問題は、28日の衆院予算委員会でも立憲民主党の枝野幸男代表が「雇用調整助成金」を受けられず解雇されている学生も数多いことを指摘し、バイトがなくなった学生が生活と学業を持続できるよう例外的に「持続化給付金」を使えないかと提案したが、安倍首相はそのとき「雇用調整助成金には学生アルバイトを含む不正規雇用もその対象としている。ぜひ雇用者にはこれを活用していただきたい」などと答弁。具体的な提案がなされたのに、それを蹴ってみせたのだ。
安倍首相は「絆があればウイルスの不安に打ち勝てる」「みんなで前を向いて頑張れば困難を乗り越えられる」だのと語ったが、この出来の悪いポエムに包まれたオブラートを剥がせば「あと1カ月耐えろ。ただし補償はしない」と言っているだけだ。安倍首相の会見中から〈#俺たち自粛お前は辞職〉というワードがトレンド入りしているが、あまりにも当然の要求だと言わざるを得ないだろう。 (編集部)