日本のPCR検査数は世界の中で特異的に低く、そのため実際の新型コロナ感染者の実態は全く不明です。こんな状態では、集会の自粛等を解除しさらには経済活動の再開させるための見極めは出来ません。
これでは中国や韓国がコロナの収束に成功(韓国は日毎の新感染者が一桁台)し経済活動を再開させたというのに、日本はいつになっても収束に向かわずに、延々と集会の自粛、休業を続けるしかありません。それこそは最悪の事態で、休業等で収入の途を奪われる弱者はとても生き延びらません。政府は必要な支援を行うのは勿論、一刻も早くPCR検査を拡大して正道につき、コロナを収束させる必要があります。
実際の感染者がどれほどいるのかを推定する手段として、新型コロナに感染するとできる抗体を検査する方法があります。
感染症に詳しい久住英二医師が、新宿区と立川市のクリニックで21~28日に、希望者、20~80歳の男性123人、女性79人を検査したところ、202人中12人((男女各6人)が感染していたことが分かりました。
感染率は5・9%で、これは別に慶大附属病院で調べた感染率6・0%と一致しています。
この数字を東京都の総人口1395万人に換算すると、予想される感染者数は実に84万人弱という莫大な数値になります。いまはいわゆる」市中感染」の状態になっていると見られ、もはや感染のクラスターの追跡に多くの労力を費やしている場合ではないことが分かります。
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<新型コロナ>
抗体検査5.9%陽性 市中感染の可能性 都内の希望者200人調査
東京新聞 2020年4月30日
新型コロナウイルスの感染実態を調べるため、感染症に詳しい久住英二医師が東京都内でウイルス抗体検査をしたところ、一般市民の4・8%、医療従事者の9・1%が陽性(抗体あり)で、過去に感染していたことが分かった。久住医師は「現行のPCR検査で判明する感染者よりはるかに多く感染している可能性が高く、確実にまん延していると言える」と指摘している。 (市川千晴)
検査は久住医師が理事長を務める新宿区と立川市のクリニックで二十一~二十八日に実施。ホームページで希望者を募り、二十~八十歳の男性百二十三人、女性七十九人を検査した。このうち一カ月以内に発熱のあった人は五十二人、同居者でコロナウイルス感染者がいる人は二人、PCR検査を受診したことがある人は九人。PCR検査で陽性反応だった一人も含む。
検査結果では、一般市民の百四十七人の4・8%にあたる七人が陽性、医療従事者五十五人のうち9・1%の五人が陽性だった。市民・医療従事者を合計した二百二人全体では5・9%の十二人(男女とも六人)が陽性だった。以前のPCR検査で陰性とされたが、抗体検査で陽性だった人もいた。
検査に使用したのは、大手繊維メーカーのクラボウが輸入した試薬キット。国内の抗体検査で一般的に使われており、採血後に十五分で判定できる。
久住氏は「原因不明の死者が増えていることからも、PCR検査を拡大して速やかに診断し、早期に治療を開始すべきだ」と話している。
◆実態把握へ検査拡大を
<解説> 抗体検査の正確性はまだ確立していないものの、今回の調査は多くの無症状や軽症者を含め、国内で感染が確認された人数を何十倍も上回る人がすでに感染した可能性を示している。
日本では感染の有無を調べるPCR検査数が諸外国と比べて圧倒的に少なく、国内外から「実態が分からず、市中感染が広まっている」と言われ続けてきた。医療崩壊を防ぐためにも実態把握は不可欠だが、政府や専門家会議の当初方針でPCR検査を絞ったこともあり、感染の拡大に検査が追いつかない状況が続く。
慶応大病院が実施した新型ウイルス以外の入院患者六十七人に対するPCR検査でも四人(5・97%)が陽性だった。同大は「地域の感染状況を反映している可能性がある」と分析しており、今回の検査結果もこの数字に近い。
感染者が最も多い東京都の人口は千三百九十万人。PCR検査で実際に確認された四千百人余りは氷山の一角とも言うべき数字で、比べものにならない。感染者は無症状や軽症が八割とされる半面、残り二割は入院が必要な中等症以上だ。都が想定する四千床程度のベッドでは対応できない恐れも出てくる。
これまで検査数を絞ってきた世界でも珍しい日本式のやり方は見直しを迫られている。いったん決めた政策に固執せず、転換を図るべきだ。 (井上靖史)