2020年5月2日土曜日

「能力あっても使うわけじゃない」とPCR検査抑制続行宣言

 韓国は既に新規のコロナ感染者数 0~1桁/日を達成し、コロナの封じ込めに成功しました。当然通常の経済活動を開始しています。
 安倍首相は2月29日に、「これから1、2週間が、コロナが急速な拡大に進むか、終息できるかの瀬戸際となる」として、突如 小学校~高等学校の休校を要請しました。それから2週間どころか既に2ヶ月が経過しましたが、際立った改善は見られていません。
 そしてさらにもう1ヶ月、集会・移動・行動の自粛や休業を事実上強制しようとしています。
 日本の国民は大人しくそれに従おうとしています。しかしいつ届くかもわからない、わずか10万円の給付で3ヶ月も耐え忍べというのはあり得ない話しで、外国なら暴動が起きると言われています。

 諸悪の根源は日本のPCR検査の数が桁外れに少ないことにあります。
 そのため感染が確認されないままの隠れた感染者によって市中に感染が広がっているのであり、それを放置したまま、実行できない8割の接触回避( ⇒ 行動自粛・休業等)を訴えたところでそれは無理です。実現させるためには、当然のこととして実行できるための条件「休業補償や収入減少分の補填」が必要です。

 既に押谷氏らが「PCR検査の拡大は医療崩壊を招く」と述べて来たことの誤りは明瞭になり、彼らもいまやそんなことは口に出来なくなりました。
 しかし驚くべきことに政府、特に肝心の担当相である加藤勝信氏が一向にそのことを認識しないで、こともあろうに国会で「PCR検査は必要な量しかしなくても良い」と公言しているということです。
 一体その「必要な量」はどうすれば分かるというのでしょうか。押谷氏を含めてそれを説明できる人がいるとは思えません。「必要な量」はおろかその数十分の1しか検査していないから、手遅れのために死を遂げた人たちが続出しているのです。コロナによると認められないままに亡くなった人たちは更に沢山いる筈です。

 平然とそうした没論理的な発言をする人こそは、厚労相には最も不適当な人間です。
 LITERAの記事を紹介します。
 併せて植草一秀氏のブログ「振ってない旗を振ってるとうそぶく厚労相」を紹介します。
   註)末尾に植草一秀氏の関連記事のタイトルを表示しました。
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安倍首相が「PCR検査2万件」と現実の乖離を追及され逃亡、
加藤厚労相は「能力あっても使うわけじゃない」と検査抑制続行宣言
LITERA 2020.05.01
 安倍首相が、緊急事態宣言の延長をする方針を打ち出し、きのう国民に「ある程度の持久戦は覚悟しなければならない」と訴えた。だが、安倍首相は「持久戦」を国民に強いるだけで、やるべきことをまったく実行できていない。実際、「PCR検査体制を1日2万件に増やす」と国民に宣言してからもうすぐ1カ月を迎えるが、いまだその半分の1万件にも届かない状態にあり、宣言解除の判断材料となる感染状況がわからない状態にあるからだ。
 しかも、呆れたことに、4月29日におこなわれた参院予算委員会では、国民民主党の森裕子議員に国内の感染者数を訊かれても答えられず、なんと1分以上も狼狽。しかも答弁に立つやいなや「質問通告をされていない」と言い訳しはじめ、この驚きの発言に野党がざわつくと、「それはそうですよ。だって、これに書いて、これに、これに、これに書いてないじゃないですか」などと開き直ったのだ。
 この国の新型コロナ対策の陣頭指揮を執り対策本部の本部長である人物が、感染者数も答えられないって……。百歩譲って、現況の正確な数字ではなくてもせめて大まかな数字でも述べるべき場面だが、それができないなら素直に「いまは正確な数字を把握していない」と言えばいい。だが、それもせずに、「質問通告してない!」と逆ギレして喚き立てたのである。

 この醜態はまたたく間にSNS上で拡散され、〈自国民の感染者数を知らないってヤバくない?〉〈バカか? わたしたちのリーダーはバカか?〉〈この政権下の日本は、コロナで焼け野が原になってしまうのでは?という不安しかない〉などの意見が殺到。元格闘家の高田延彦は〈これじゃあな。言葉もないね〉とつぶやき、作家の平野啓一郎は〈彼が首相で、この危機を乗り越えられるとはとても思えない〉、松尾貴史は〈事前通告がないと、立場上把握していなければならない感染者数について関心がないことがバレてしまうわけです〉とツイートしたが、まさにそのとおりだろう。
 しかし、安倍首相が国内の感染者数を答えられないことよりももっと酷い事実が、昨日の国会では明かされた。
 4月30日の参院予算委員会では前日につづいて森議員が質疑をおこない、PCR検査数が一向に増えないにもかかわらず、安倍首相が「2万件まで能力を上げていきたい」などとずっと同じ説明を繰り返していると指摘。解決するためにどうするのかと追及したが、安倍首相は答弁席に立たず、代わりに加藤厚労相がキレ気味にこんなことを言い出したのだ。
「これ、前から申し上げておりますように、能力があるから使うってものではなくて、本当に必要な量をしっかり検査する。もしそれが能力が足りなければ能力の……能力の拡大を図っていくということが当然のことであります」
「能力があるから使うのではなく、本当に必要な量を検査する」──。ようするに、加藤厚労相は、PCR検査の「能力」が2万件あろうが4万件あろうが「必要な量」しか検査しない、と述べたのだ。
 これ、はっきり言って詐欺ではないか。国民は安倍首相の言うようにようやく「1日2万件」の検査がおこなわれるようになるのだと多くの人は思ってきたし、そう報道されてきた。だが、安倍首相が述べてきたのは「能力」の話にすぎず、実際には「必要な量」しか検査されないというのである。
 たしかに、安倍首相がこれまで国民に言ってきた「検査能力」は、実際の検査数とかけ離れた数字ばかりだった。たとえば、安倍首相は3月14日の会見で「1日あたり6000件を超える確かな検査をおこなうことが可能となっている」「今月中に1日あたり8000件まで検査能力を増強できる」と述べていたが、その週の検査数は多くて2026件、少ない日は568件となっており、とてもじゃないが6000件にははるかに届かない件数だった。
 だが、それが4月7日には「6日時点で全国で1日あたり約1万1000件の検査能力を確保している」と答弁(衆院議院運営委員会)、その検査能力の数はさらに増え、同月28日には「1日あたり1万5000件」まで増加。しかし、4月30日時点の厚労省データでは、検査実施数が1日1万件を超えた日はない

PCR検査体制の遅れを指摘された加藤勝信厚労相は逆ギレ、開き直り答弁連発
 そして、こうした数字の乖離は、加藤厚労相の話によれば“検査能力はあったが必要じゃないから検査はしなかった”ということになるのである。
 いまさら言うまでもなく、日本はずっと「必要な量」の検査がおこなわれているような状況ではけっしてない。この数カ月間のあいだ、受診の目安とされてきた「風邪の症状や発熱が4日以上続く」というそもそも厳しすぎる要件に当てはまってもPCR検査を受けらないという声は溢れつづけ、検査されないまま重症化して緊急搬送されるという深刻な事態が起きてきた
 だが、「検査が受けられない状態を早く解決して!」という国民の切実な訴えがあがっているというのに、加藤厚労相は「必要な量」の検査しかしない、と言い張ったあと、さらにこう逆ギレして見せたのだ。
「相談支援センターになかなか電話がつながらないという問題と、保健所の方々が非常にさまざまな機能を担っていただいて非常に厳しい状況にあるということ、あるいはPCR検査そのものの能力の問題、さらには陽性者の受け入れ先の問題、これを全体として解決しなければ、これ進まないんですよ」
「それぞれの地域のなかで、ご努力いただいているんですよ! それぞれみなさん方が! だから、そのなかでそれをどう拡大していくのか。そして国民のみなさんの不安を解消していくのか、これは地域と一緒に進めていかなければ、国だけ振ったからといってどうにかなるものではない
「地域と一緒に進めなくては国だけでは解決できない」などと言っているが、これはたんに国の責任を放棄しているだけだ。感染が拡大すれば医療機関や保健所が逼迫するということは当初から指摘されていたことであり、その体制強化を野党議員や専門家はずっと訴えてきた。その声を無視して怠ってきたのは、政府ではないか。

 そうした国の責任が問われているのに、加藤厚労相は「地域のみなさんは努力しているんだ!」などとあたかも地域の医療体制を責めているかのように話をすり替えて逆ギレし、いまだに自分の責任を認めようとしないのだ。
 しかも、だ。安倍政権はいまだに検査体制強化に本腰を入れようとはしていない。
 実際、安倍政権が昨日成立させた補正予算では、厚労省予算で「検査体制の確保」に49億円を計上。新型コロナ収束後の消費喚起策「Go To キャンペーン」に約1兆7000億円も充てておきながら、PCR検査体制の確保のための予算がそのわずか数百分の一とは、あまりに少なすぎる。
 だが、この49億円は、検査体制強化のための予算ですらない。PCR検査の自己負担分の免除のためと、新型コロナの発生動向調査の経費支援に割り当てられるものにすぎないのだ。
 さらに、国がまったく動かないために日本医師会や自治体が痺れを切らし、ようやく自治体で検査センターの設置がはじまったが、この予算について、各自治体は補正予算などから捻出している一方、安倍政権はそのための整備費用を補正予算に計上していない。29日の衆院予算委員会でこの問題を取り上げた日本共産党の志位和夫委員長によると、この検査センターの整備には「全国で数百カ所つくるとなれば200億円程度が新たに必要になる」と言うが、「Go To キャンペーン」に約1兆7000億円も計上する前に、こっちに回すのは当たり前の話だ。
 しかし、その「当たり前」を、安倍政権はやろうとしない。威勢のいい数字だけを国民に示す一方で実際には検査を抑制しつづけ、挙げ句、感染者数すら答えられず「質問通告を受けていない!」と逆ギレする姿勢からもはっきりしていることだが、この政権には、国民の生命を守る責任があるという意識が根本的に欠落しているのだ。
 そして、この調子だと、政府による休業補償もないまま緊急事態宣言が1カ月延長され、多くの国民がさらなる苦難を強いられることになる。この現状を変えるために、PCR検査の拡充も休業補償も、大きな声をあげて方針を変えさせるほかない。 (編集部)


振ってない旗を振ってるとうそぶく厚労相
植草一秀の「知られざる真実」 2020年5月 1日
「PCR検査は、なぜ少ないんでしょうか」国民民主党の森ゆう子参議院議員が糺す。
加藤勝信厚労相はこう述べた。「それぞれの地域のなかでご努力いただいているんです。国だけ旗を振ったからといって、どうにかなるもんではない。」
こんな答弁をする者に厚労相を務める資格はない。
政府がPCR検査を拡大する方針を決めてPCR検査を拡大すればよいだけのこと。
「為せば成る 為さねば成らぬ なにごとも成らぬは 人の 為さぬなりけり」
加藤厚労相がPCR検査を妨害しているからPCR検査が増えない。
「地域のなかでご努力いただくこと」ではなく、
「国がPCR検査を拡大する具体的方法を定めて実施」すればよいだけのこと。
現状では、感染を疑う市民が「帰国者・接触相談センター」に電話して、「帰国者・接触者外来」での受診予約を得て診察を受け、「帰国者・接触者外来」の医師が判断して初めてPCR検査が実施される。「帰国者・接触者相談センター」に電話がつながらない。電話がつながっても「帰国者・接触者外来」での受診を許可してもらえるのは20人に1人
「帰国者・接触者外来」で受診を認められても、4人に3人しかPCR検査は受けられない。

政府に特別のつてがある者以外の市民にとって、PCR検査を受けることは日本における超難関だ。「帰国者・接触者相談センター」と「帰国者・接触者外来」がPCR検査を妨害する防波堤になっている。
4月末にかけて東京都での新たな感染確認者数が減少傾向を示したが、4月末にかけては全国での検査件数が減少している。
  4月25日(土)6667  4月26日(日)3968  4月27日(月)5576
  4月28日(火)4149  である。

安倍首相は4月6日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、「感染拡大の防止に向けて、PCR検査体制の一日2万件への倍増や保健所の体制強化により、クラスター対策を抜本的に強化します」と述べたが、1日2万件の検査と現実の間に埋めがたい落差がある。
安倍首相は4月30日の国会質疑で「我々、能力を1万5000まで上げてきたということでございまして、地方と一緒になって努力を重ねていきたい」としながらも、
「さまざまな目詰まり、あるいは地域ごとの差があるわけでございまして、国が仲介をしながら、融通しながら、検査を受けられるようにしていきたい」「厚労省を問いただしている」
と述べた。

「帰国者・接触者外来」の医師が判断してPCR検査を実施するというプロセスを定めたのは誰なのか。厚労省ではないか。
厚労省が専門家会議と共謀してこの方式を決定して、全国の都道府県、市町村に強制しているから、かかりつけ医の判断でPCR検査を発注できない現状が生み出されている。
厚労相が自分自身でPCR検査を妨害するプロセスを定め、それを日本全体に強要しておきながら、PCR検査が拡大しないことについて、「国だけが旗を振ってもどうにかなるもんではない」と逆ギレしている。
こんなデタラメ国会答弁を放置すべきでない。
安倍首相は「医師が必要と考える場合にはPCR検査が行われるようにすることを掲げて、これを実行している」とするが、ここでいう「医師」は「帰国者・接触者外来の医師」であって、すべての「かかりつけ医」ではない。
「帰国者・接触者外来」は全国に850しかない。医療機関は全国に11万以上存在する。
11万以上の医療機関の医師がPCR検査が必要と判断する場合にPCR検査を行えるよう、PCR検査実施プロセスを国=厚労相が変えればよいだけのこと。
国が旗を振るどころか、国が旗をたたんでしまい込んでいるだけだ。人為的な不作為を押し通す加藤厚労相を罷免しない限り、日本のPCR検査後進国の現状は変わらない。
(以下は有料ブログのため非公開)

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