内閣官房機密費「政策推進費」は、官房長官が自由に使え、領収書も要らないというものですが、その額たるや、雨の日も風の日も、また盆も正月もなく1日当たり307万円!、月額にすると1億円弱です。
年収200万円以下の国民が1200万人もいるというのに、桁外れで夢物語のような潤沢さというしかありません。名目上は「内政・外交を円滑かつ効果的に遂行するため」の経費で、使途を明らかにすることは「国の機密保持上、適当でない」とされていますが、それが主要な用途だと本当に思っている人は殆どいないのではないでしょうか。
まさに菅首相が批判した「悪しき慣習」そのもので、真っ先に排除されるか、そうでなければ合理的な額に抑えられるべきです。
しんぶん赤旗が、「官房機密費の闇 つかみ金に多額の税金やめよ」とする主張を掲げました。
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主張 官房機密費の闇 つかみ金に多額の税金やめよ
しんぶん赤旗 2021年2月10日
使途をチェックできない内閣官房機密費(報償費)に多額の税金が投じられていることが議論を呼んでいます。なかでも官房長官が自由に使え、領収書もいらない「政策推進費」のあり方に批判が集まっています。同費は安倍晋三政権時代の7年8カ月で86億円超が支出されました。菅義偉政権の4カ月半では約3・6億円の支出となっています。これほどの額の税金が官房長官の“つかみ金”とされ、行方不明のままということに国民は納得できません。官房機密費の闇にメスを入れる時です。
領収書不要で自由勝手
内閣官房機密費は、使い道が一切公表されず、会計検査院でさえも支出先を調査できない公金です。政府は、「内政・外交を円滑かつ効果的に遂行するため」の経費で、使途を明らかにすることは「国の機密保持上、適当でない」と説明します。しかし、「機密」の名のもとに、自民党の選挙資金、国会対策、マスメディア対策など政権が党利党略的に使ったり、私的流用したりした疑惑がたびたび浮上しました。その実態を官房長官経験者が証言したこともあります。
官房機密費には「政策推進費」「調査情報対策費」「活動関係費」の3種類があります。とくに問題になっているのが、「政策推進費」です。「事務補助者」が出納管理する他の二つの支出と異なり、「政策推進費」は官房長官に資金が渡った時点で支出完了になります。領収書も不要です。官房長官の裁量で、自由勝手に使用できるため、官房機密費の中でも闇の金の要素が最も強いとされます。
安倍晋三前政権時代、菅官房長官の下で「政策推進費」はどうなっていたのか。本紙が情報公開で入手した資料によれば、2012年から20年9月までに支出された官房機密費の総額は95億4200万円余にのぼり、うち86億8000万円余が「政策推進費」でした。在任期間7年8カ月(2822日)で見ると1日307万円使った計算です(1月4日付)。
見過ごせないのは、安倍首相辞任表明を受け、菅氏が自民党総裁選に出馬表明した昨年9月の金の動きです。同1日、菅氏は官房機密費1億3200万円から9020万円を「政策推進費」に振り分けました。菅氏は16日に首相に就任しましたが、加藤勝信官房長官に引き継いだ「政策推進費」は4200万円です。16日間で4820万円は何にあてられたのか。日本共産党の小池晃書記局長は1月28日の参院予算委員会で、「総裁選のために使ったといわれても仕方がない」と追及しました。菅首相は「一切ない」と答弁しましたが、証拠は示しません。「政策推進費」は、官邸全体の闇の金としての性格もあります。安倍前首相の「桜を見る会」前夜祭費用を補填(ほてん)した原資が問題になる中、官邸の公金の使い方はあいまいにできません。
異常な支出を続けるな
加藤官房長官は、菅政権発足以降の官房機密費は5億円で、うち「政策推進費」は約3・6億円になると発表しました。菅官房長官時代からほぼ同じペースです。官房長官の“つかみ金”が闇のベールに包まれたまま続いていることは問題です。官房機密費を追及する市民団体は、目的外使用の禁止と使途公開ルールをつくることを要求しています。異常な税金の使われ方を国民は許しません。