2024年2月19日月曜日

19- ウクライナ人をさらに殺す米国の計画(賀茂川耕助氏)

 海外の記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
 1990年のNATO組織を東に向かって拡大させないというロシアとの合意に始まって現在に至るまで、ウクライナとロシアを戦わせることでロシアを疲弊させようと画策した米国に全ての罪があることが述べられています。
 具体的にはバイデン、ビクトリア・ヌーランド、ジェイク・サリバン、アントニー・ブリンケンを含む2014年のウクライナチーム(ウクライナのクーデターを実行)が現在もそっくりそのまま、不毛で不幸なウクライナ戦争の継続が画策されているというものです。
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ウクライナ人をさらに殺す米国の計画
                  耕助のブログNo. 2064 2024年2月18日
   The US plan to kill more Ukrainians
     バイデンとシューマーが提案したウクライナ戦争への610億ドルの拠出は、
    戦争を長引かせ、何万人もの死者を出し、ウクライナを物理的に破壊する以外、
    戦場は何も変わらないだろう。    by Jeffrey D Sachs
ジョー・バイデン大統領は、ウクライナ人の命と米国民の税金を賭けた勝ち目のない戦争からおりることを拒否している。バイデンと民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、バイデンの悲惨な外交政策の失敗を11月の選挙が終わるまで隠しておくために、さらに何万人ものウクライナ人の命と610億ドルの連邦資金を浪費することを提案している。
この610億ドルは、戦争を長引かせ、何万人もの死者を出し、ウクライナを物理的に破壊する以外、戦場では何の変化ももたらさないだろう。ウクライナを「救う」ことはないだろう。ウクライナの安全保障は交渉の場でしか達成できないのであって、ロシアに対する軍事的勝利などという空想によって達成できるものではない。
610億ドルはゼロではない。この役に立たないよりも悪い出費は、米労働省、環境保護庁、全米科学財団、女性・乳幼児・児童栄養プログラムの予算を合わせた額を上回る。
ほぼちょうど10年前の今月、バイデンはウクライナを破滅への道に導くために多くのことを行った。このことは、事実を注意深く見てきた人々にはよく知られているが、ホワイトハウス、上院民主党、そしてバイデンを支持する主流メディアによって隠されている。私は以前、ハイパーリンク付きの詳細な年表をここに掲載している{1}。

1990年、ジョージ・H・W・ブッシュ・シニア大統領とドイツのヘルムート・コール首相は、ソ連がドイツ再統一を受け入れればNATOは東方へ拡大しないとミハイル・ゴルバチョフ・ソ連大統領に約束した。1991年12月にソ連が解体し、ロシアが後継国になると米国の指導者たちは約束を反故にすることを決めた。
ビル・クリントン大統領はジョージ・ケナンのような主要外交官やウィリアム・ペリー国防長官の猛烈な反対を押し切ってNATOの拡大を開始した1997年、ズビグニュー・ブレジンスキーは、ウクライナまでNATOを拡大するさらなる計画を打ち出した。彼はウクライナがなければロシアは大国でなくなる、と書いたことで知られている。
ロシアの指導者たちは、ウクライナへのNATO拡大は、当然のことながらロシアのレッドラインであることを繰り返し明らかにしてきた。2007年、ウラジーミル・プーチン大統領は、それまでのNATO拡大は1990年の約束を反故にしたものであり、これ以上拡大してはならないと述べた。自国の外交官を含むこうした明確な警告にもかかわらず、ジョージ・W・ブッシュ・ジュニアは2008年、黒海でロシアを包囲するためNATOをウクライナとグルジアまで拡大することを約束した。
現在はCIA長官で、当時は駐ロシア米大使だったウィリアム・バーンズは、「Nyet means Nyet」と題する有名なメモを書き、ロシアがNATO拡大に反対しているのはロシアの政治スペクトル全般にまたがっていると説明した。ウクライナ国民の多くもこの計画に断固反対し、NATO加盟よりも中立を支持していた。ウクライナ議会は1990年、「永世中立国」になることを前提に、ウクライナの国家主権{2}を宣言した。2009年、ウクライナ国民は中立を掲げたヴィクトル・ヤヌコビッチを選出した
2014年初頭、米国はヤヌコビッチをクーデターで崩壊させる手助けをすることを決定した。これは米国ディープステートが世界中で何十回も行ってきた標準的な活動手順だった。CIA、全米民主化基金、USAID、そしてオープン・ソサエティ財団のようなNGOがウクライナで活動した。中心人物はヴィクトリア・ヌーランド{3}で、彼女は最初はリチャード・チェイニーの主要外交政策副顧問、次にジョージ・ブッシュ・ジュニアのNATO大使、次にヒラリー・クリントンの報道官、そして2014年には国務次官補となった。
今回、ロシア側はヌーランドとジェフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使(現国務次官補)の通話を傍受し、陰謀をテープに収めた{4}。ヌーランドはパイアットに、バイデン副大統領がクーデター後の政権を選び、固める手助けをすると説明している。バイデン、ヌーランド、ジェイク・サリバン(当時、現バイデンの国家安全保障顧問)、ジェフリー・パイアット、アントニー・ブリンケン(当時国家安全保障副顧問)を含む2014年のウクライナチームは、現在もウクライナチームのままである
これはまぬけなチームである。彼らはヤヌコビッチをたおせばすぐにNATOの拡大が始まると考えていた。その代わりにウクライナのロシア系民族は、ヌーランドによって樹立されたクーデター後のロシア嫌いの政府を激しく拒否し、民族的にロシア的な地域の自治を求めたのである。住民投票では、クリミアは圧倒的多数でロシアへの加盟を決めた
オバマ、バイデン、そしてこのチームはクーデター後の政府に武器を供与し、民族ロシア人地域を攻撃させることを試み、これで事態は終わると考えていた。しかし地域は抵抗した。ウクライナと離反地域は、戦闘を終結させ、民族ロシア人のドンバス地域に憲法的自治を与えるためにミンスク協定に署名したミンスクII協定は国連安全保障理事会の支持を得ていたが、米国は非公式にウクライナ政府と同意し、無視しても問題ないと考えた。

2021年、7年にわたるドンバスでの戦闘で1万4000人以上の死者が出た後、プーチンは新たに選出されたバイデン大統領に対しNATOの拡大を中止し、相互安全保障の取り決めについてロシアと交渉するよう求めたバイデンはウクライナへのNATO拡大という策略を終わらせるというプーチンの呼びかけを拒否した
2022年2月、プーチンはウクライナを交渉のテーブルにつかせるため、特別軍事作戦(SMO)侵攻を開始した。ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は直ちに、ウクライナの中立性に基づく交渉を呼びかけた。1カ月もしないうちに、ウクライナの中立とナトーのウクライナへの拡大停止に基づき、ウクライナとロシアの間で戦闘を終結させる枠組み合意が成立したバイデンはこの合意を阻止するために介入し、アメリカは中立を支持しないとゼレンスキーに通告した
バイデンとそのチームは、さらに失敗するトリックを仕掛けた。彼らは米国の金融制裁(ロシアの資産を凍結し、SWIFT銀行システムから切り離す)がロシア経済を麻痺させ、プーチンを屈服させると固く信じていた。実際、彼らはそれに伴う経済危機によってプーチンが倒れると予想していた。もちろん、そのようなことは起こらなかった。
それから彼らはNATOの兵器が戦場でロシアを打ち負かすと期待した。それもまたそうはならなかった。そして2023年夏のウクライナの「反転攻勢」が、国防総省とCIAの立案者の支援を受け、ロシアを打ち負かすと期待した。その代わりにウクライナは何十万人もの兵士の死傷者を出し、軍備は破壊された

ウクライナの領土を失い、何十万人ものウクライナ人犠牲者を出し、1000億ドル以上の米国民の税金を無駄遣いしたこの戦争は、簡単に回避できたはずだった
今、バイデンとシューマーは、この明らかな失敗に、さらに多くのウクライナ人の命と数百億ドルを投じようとしている。議会はおろか国民の監視もなく、公聴会もなく、戦略もないまま、急ぎの採決でこれを行おうとしている。事実は、少なくとも11月の選挙まで、かれらはこの10年間の愚かな失敗の恥辱からバイデンを救いたいのである。
ウクライナの安全保障にはひとつの答えが残っている。それは外交と中立である。この解決策には命も金もかからない。2014年のクーデター前も、そして2022年にバイデンに阻止されるまで、それがウクライナの選択だった。バイデンと上院民主党は、その道をとることをいまだに拒否している
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