2024年2月10日土曜日

10- イスラエルの飢餓戦略(賀茂川耕助氏)

 海外記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
 イスラエルは、国際司法裁判所ICJ)の「ガザでの大虐殺を早急に止めるべし」とする判決を完全に無視しています。そして始まったのが、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の12名が10月7日のハマスの奇襲に関与したという告発でした。
 米国はいち早くUNRWAへの資金提供を停止し、日本を含めた多くの西側の国家がそれに倣いました。
 仮に12名の関与が事実であったとしても、それは難民救済事業機関職員1万3000人の僅か0・1%にも満たないものです。米国をはじめとする西側諸国がそれを口実にUNRWAの活動資金源を断つというのは余りにも非合理であり、それはそのままガザの市民を現行よりも更に厳しい飢餓に陥れ、餓死させることを狙うもので、それこそがイスラエルの狙っているものです。彼らにとってガザのパレスチナ人が死に絶えること、あるいは見かねた外国がガザの市民を受け入れてイスラエルの目指すパレスチナ人の一掃が果たされることこそが、願っているものです。
 ガザでの大虐殺を事実上放置している西側のリーダーたちは、今度はパレスチナ人が飢餓で命を失うのを静観しようというのでしょうか。

 併せてしんぶん赤旗の記事「UNRWAに資金拠出 ノルウェー」を紹介します。西側諸国のリーダーたちの「人非人」さが際立ちます。
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イスラエルの飢餓戦略
                   耕助のブログNo. 2054 2024年2月8日
         Israel´s Starvation Strategy  by Mike Whitney
国際司法裁判所の判決後、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)に攻撃が行われたのは偶然ではないイスラエルは国際司法裁判所の信用を失墜させようとしており、その手段のひとつがUNWRAをこき下ろすことなのだ。しかし、UNWRAは1948年以来、パレスチナ難民に保健、教育、その他あらゆるサービスを提供するという英雄的役割を果たしてきた。そして、イスラエルのプロパガンダが今、UNWRAを悪者扱いし、援助を打ち切る国も出てきているのは本当に心が痛む。だから、私は完全にUNWRAの側にいて、UNWRAがイスラエルによる侵略の犠牲となったパレスチナ人を支援するために、これまで果たしてきたような重要な役割を長く果たし続けることを願っている。{1}

UNRWAはガザの全人口220万人に食糧と小麦粉の配給を行っている。UNRWAを財政破綻させれば大量の飢餓と死がもたらされるhttps://youtu.be/_cQ7b03ggCI 
今日のシオニスト・クイズはこれだ。なぜイスラエルは国際刑事裁判所(ICJ)が歴史的なジェノサイド判決を発表した同じ日に、国連救済機関(UNRWA)に対する本格的なメディア攻撃を開始したのだろうか?
 1 イスラエルがガザで大虐殺を行っているという事実から目をそらすこと。
 2 ハマスが国連救済事業団に関与していることを明らかにする新たな情報が浮上したこ
  とを一般に知らせるため。
 3 イスラエルの最大の関心事はテロとの戦いであることを、あらゆる人々に保証するこ
  と。
 4 民族浄化作戦の最終段階を開始するため

もしあなたが「4」と答えたならそれは正しい。もちろん、イスラエルがICJの発表から注意をそらしたかったのも事実だが、民族浄化作戦の最終段階を開始したことに比べれば、その程度は軽い。これこそが致命的な一撃で、二国家解決への最後の一撃で、イスラエルの厄介な人口問題への現実的な解決策なのだ。これはまた、過去100日以上にわたる執拗な砲撃、空爆、その他の国家テロを理解するための重要なパズルのピースでもある。イスラエルは、先住民を根絶やしにし、川から海までのユダヤ人国家というシオニストの夢を実現するために採用しようとしている戦略を全世界に知らしめるために、大胆にもカードを敷いているかのようだ。

その戦略とはなんだろうか?
200万人のパレスチナ人を大量移民によって地球の隅々にまで分散させるのだ。
しかし、どうやってそんなことをするのだろうか?結局のところ、すでに多くの国がパレスチナ人の受け入れを拒否しているのではないだろうか?
確かにそうだ、 しかしそれは、飢えに苦しむ女性や子どもたちの写真が世界中のソーシャルメディアに溢れ、苦境にあえぐ人々へのかつてない同情が巻き起こる前の話である。そして、人々の同情が広範な怒りにつながると、ますます多くの人々が、苦しみを和らげるために大量移民を政府に求めるようになる。これがイスラエルが自国の先住民を追放し、シオニストのヴァルハラ、永遠のユダヤ人多数派を作り出す意図なのだ。
イスラエルがUNWRAへの猛攻撃を開始したのはこのためだ。UNWRAは、中東で活動する他のどの人道支援組織よりも、パレスチナ人の食事と住居の確保に貢献している。イスラエルが最も望まないのは、パレスチナ人がラファ近郊に大規模な難民キャンプを建設し、数年後にその規模が拡大することだ。ヨルダンでもレバノンでもすでにそのような現象が起きており、300万人近いパレスチナ人がいまだに難民キャンプに滞留している(イスラエル建国から75年)。それはイスラエルが望んでいることではない。イスラエルが望むのはパレスチナ人が「空中に消える」ことであり、そのためにパレスチナ人を世界中に分散させ、故郷に帰るという考えすら浮かばないようにすることなのだ。
だから、イスラエルの指導者たちは、パレスチナ人に対する自分たちの仕打ちによる風評被害を快くは思っていないが、アラブ系住民の完全な根絶とユダヤ人の永続的多数派の強化という、より広範な戦略目標を達成するためなら、それに耐えることも厭わないのである。
イスラエルの全体的な戦略は、ヨルダン川西岸の入植地の元市長であるダニエラ・ワイスが、TikTokの短いインタビューで次のように語ったところに最もよく要約されている: 
   彼らは移動するだろう。彼らは移動するだろう。アラブ人は移動する。だから、私たちは彼らに食料を与えず、アラブ人には何も与えない。そして彼らは移動せざるおえなくなるだろう。世界は彼らを受け入れるだろう{2}
これがイスラエルの計画なのだ。

Links:
{1} Avi Shlaim, Israeli historian, https://www.youtube.com/watch?v=_cQ7b03ggCI 
{2} https://www.tiktok.com/@middleeasteye/video/7329510232520936737 
https://www.unz.com/mwhitney/israels-starvation-strategy/ 


UNRWAに資金拠出 ノルウェー
                       しんぶん赤旗 2024年2月9日
【オスロ=AFP時事」ノルウェー政府は7日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に対し、新たに2億7500万ノルウェークローネ(約38億円)を拠出すると発表しました。イスラム組織ハマスによる昨年10月のイスラエル奇襲にUNRWA職員が関与した疑いが浮上したことを受け、米英やドイツなど主要国は資金拠出を一時停止しています。
 ノルウェーのアイデ外相は、資金拠出がパレスチナ自治区ガザやヨルダン川西岸、レバノン、シリアなどにいるパレスチナ難民の支援につながると説明。「ガザが事実上の廃虚となる中、ノルウェーがこの取り組みから手を引くことはあり得ない」と強調しました。
 イスラエルとハマスの戦闘は4ヵ月が経過し、ガザでは食料や水、医薬品、燃料の不足が深刻化。UNRWAは支援物資の供給で重要な役割を担ってきました。