2024年2月26日月曜日

防衛省「有識者会議」 軍需拡大へ「軍拡増税」推進

 岸田首相は防衛予算を5年以内に年額11兆円余りに倍増させることを米国に約束し、その間に43兆円を投じることを決めました。バイデンは大いに喜んだようですが、本来 憲法9条により戦争放棄を謳った国にあるまじき話で、軍事費を増大させれば民生が圧迫されることは火を見るよりも明らかです。
 ところがこのところの「物価高騰と円安」で『43兆円』では到底収まらないので政府は19日、防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」を開き、為替変動、物価高、人件費の上昇が、装備品調達へ与える影響等」ついて「議論頂きたい」と要請しました。
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 ⇒2月21日)有識者「大軍拡へ負担増を」「43兆円」からさらに増額へ 防衛省で初会合

 何のことはない軍事費『43兆円』を更に増額しようというわけで、その行き着くところは「増税」と「社会保障の切り捨て」しかありません。
 しかし別掲の記事のように「物価高騰と円安」に日々苦しんでいるのは庶民です。国が予算を割くべきはそこであって間違っても無用で有害な軍事費ではありません。そもそも民生費を削って軍事費を増大させる必要がどこにあるというのでしょうか。「台湾有事」などという戯言がまだ通用すると思っているのでしょうか。
 国が手当てすべきは「物価高騰・円安」に苦しんでいる国民の方であって、無用で且つ日本の防衛に取って有害な軍備増強ではありません。

 政府はさすがに更なる軍事費の増額を言い出せないとして「有識者会議」を作りました。ご承知のように「有識者会議」なるものはそこで政府の意向通りの結論を出せるように(この場合は防衛省が)委員を選ぶ(ご丁寧に少数の反対者を含めることも行われます)のですから、まさに政府の御用機関であり「政府の代弁者」に過ぎません。
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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防衛省「有識者会議」 軍需拡大へ「軍拡増税」推進
                       しんぶん赤旗 2024年2月25日
 防衛省が安保3文書に基づく大軍拡を推進するため設置した「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」。円安や物価高騰などを口実に、202327年度の5年蜀で約43兆円の軍事費(防衛省予算さらなる増額の可能性に言及した榊原定征座長(日本経団連元会長)の発言(19日の初会合)が波紋を広げました。その狙いは、「軍需」拡大のために増税・社会保障の切り捨てを推進するための地ならし″にあります。 (竹下岳)

 「43兆円の規模を超えることなく防衛力の抜本的強化を進める」。林芳正官房長官は19日の会見などで、繰り返し増額を否定。榊原氏の発言は、「あくまで有識者の発言」だと弁明しました。しかし、防衛省が作成した有識者会議の資料には、「ご議論頂きたい事項」として、為替変動、物価高、人件費の上昇が、装備品調達へ与える影響等」を挙ています。榊原氏の発言を引き出したのは防衛自身であることは明らかです。

政府の「代弁者」
 そもそも、安保3文書に基づく武器調達計画は、価格高騰で深刻な矛盾に直面しています。昨年10月27日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)に示された資料によると、大型輸送ヘリCH47が19年度の平均単価76億円から、陸上目衛隊分で109億円増と約2・5倍に、航空自衛隊分は140億円増と3倍近くに膨れ上がっています。これ以外にも、航空機や艦船、戦闘車両などの調達価格が軒並み高騰しています。
 同資料ではい価格高騰の要因として部品の価格上昇や円安などに言及しています。これだけ価格が高騰すれば、「43兆円」の枠内で予定している武器をすべて調達するのは、どう考えてもできません。「軍拡増税」や教育・社会保障費などの切り捨てが不可避となります。政府が言いたくても言えない「国民負担」に、「有識者」が代わりに言及しているのが真相です。
本当に物価高騰で苦しんでいるのは国民であり、軍事費だけ聖域化する策動は許されません。

国民には悪循環
 有識者会議の諮問事項には、もう一つ、重要なテーマがあります。「防衛力の抜本的強化と経済成長の好循環」をいかに生み出すかという点です。
 防衛省の配布資料は、「防衛調達」は「家庭用電気機器市場よりもはるかに大きな規模」だと指摘。「防衛生産・技術基盤の維持・強化は経済成長の観点からも重要」だと述べています。軍需産業の正当化論として、従来は軍事技術を民生分野に転用する「スピンオフ」が持ち出されてきましたが、防衛省は「軍需が経済成長をもたらす」というところまで踏み込もうとしているのです。
 しかし、多くの消費者を対象にしている家電など生活関連用品と異なり、「防衛」分野の顧客は国(自衛隊など)に限定されます。競争原理が働かず価格がつり上げられる、政府は高額兵器を買うために軍事費を引き上げる、それが国民の負担増につながる。榊原氏の「国民負担」発言の真意は、まさに、その点にあるいえます。国民にとっては、「好循環」どころか悪循環そのものです。

 さらに、軍需が高まれぱ高まるほど、そこに群がる 企業と政府との癒着が深まる可能性もあります。有識者会議のメンバーに、軍需産業最大手の三菱重工や、「宇宙・サイバー・電磁波」という新たな戦闘領域で需要が見込まれているNTTの会長が加わっていることが、その兆候です。