ウクライナのゼレンスキーはウクライナ戦争が劣勢にあることをようやく認めたのはいいのですが、国民の人気が高いザルジニー総司令官を更迭すると明言したようです。
しかしTVタレント出身のゼレンスキーはパフォーマンスだけは見事ですが、現状を正しく認識した上で今後どうするべきかについて正確に判断できるとは思えません。
このまま米国の望むがままに戦争を継続する道を進むことに「わが身を守る」メリットはあるでしょうが、リーダーたる者 国民に無駄死にを強要する道を採るべきではありません。
外交評論家の孫崎享氏が「ウクライナ戦争をこれ以上、長引かせる意味はない」という記事を出しました。
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日本外交と政治の正体 孫崎享
ウクライナ戦争をこれ以上、長引かせる意味はない
日刊ゲンダイ 2024/02/01
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
過去の戦争は「銃と銃」「大砲と大砲」の戦いであり、そこに戦車や爆撃機が加わっていたが、ウクライナ戦争は様相を変えた。
ロシア軍が侵攻した際、ウクライナは携行式の対戦車ミサイル、対ヘリコプターや対爆撃機ミサイルを活用し、ロシアの攻撃を撃退した。
ウクライナはドローン(無人機)を活用。上空から戦場や基地を調査し、攻撃目標を特定。この情報をもとに低空飛行で機動性の高いドローンやミサイルが攻撃するという2段階の戦法を取った。
ウクライナはロシアの戦力を上回り、黒海でロシア海軍を撃破。首都モスクワでプーチンの居住地周辺まで攻撃した。
だが今や潮目は変わった。ロシアはイランと無人機を共同開発し、国内を戦時経済に移行させ、ドローンの質と量でウクライナを凌駕し始めた。
ロシアはオルラン10(監視無人機)とランセット(攻撃無人機)という2種の国産無人機を組み合わせて使用している。
ドローン攻撃には通信が不可欠。ウクライナにはイーロン・マスク率いるスペースXの「スターリンク」ネットワークが貢献したが、ロシアはこの通信を妨害する技術も確立した。
現在、ドローンはウクライナ東部の前線に集中している。ロシアは戦場を調査し、遠くから目標を特定し、低空飛行で機動性の高いドローン操作に敵の位置を伝える。
攻撃型ドローンは前線で、安全な距離から密度の高い攻撃を行う。ドイツが提供した欧州最強の戦車レオパルト2は、ほぼ全て破壊、または損傷を受けて前線にいない。
さらにロシアは、一時途絶えていた首都キーウや第2の都市ハルキウに対してミサイルや無人機での攻撃を強めている。
ウクライナはパトリオットなどの迎撃ミサイルを使用しているが、パトリオットは攻撃型無人機の100倍以上の価格である。
ウクライナは武器の量と質を米国に依存している。その米国では、予算の先議権がある下院で多数を占める共和党がウクライナへの軍事支援に慎重姿勢を示している。
日本国民の多くは、米国などNATO諸国の軍事支援を受けているウクライナが負けることはないと思ってきたが、ロシア撃退という目的の実現は不可能だ。ロシアは日々、基地攻撃を行っており、死者の数を見ると、ウクライナ兵がロシア兵よりも上回ってきた。戦争をこれ以上、長引かせる意味はない。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。