植草一秀氏が掲題の記事を出しました。庶民の実感とは裏腹に、日経平均株価が史上最高値に接近しています。いうまでもないことですが植草氏はそれを喜べと言っているのではありません。
株価急騰の要因は
1.企業収益の拡大
2.株価の指標面からの割安さ
3.日本円暴落で外国投資家の日本株投資活発化
によるもので、経済が成長していないのに企業利益が拡大しているのは、「労働者の実質賃金が減っている」ことの顕れだとしています。
そして政府が株価上昇をアピールしたら、それは労働者の犠牲によってもたらされているのだから日本の労働者は団結しなければならないと述べています。
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日経平均史上最高値接近の背景
植草一秀の「知られざる真実」 2024年2月19日
日経平均株価が史上最高値に接近している。史上最高値を更新するのは時間の問題だ。
昨年年初に上梓した『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社)https://x.gd/8MnQp
帯に「日経平均3万6000円突破も!」と明記。
1年が経過して日経平均株価は本年1月15日に36000円を突破。
昨年1月4日の日経平均株価安値は25,661円で、昨年初に日経平均株価36000円を予測した者は上掲書予測以外に皆無だったと思う。
本年初に上梓した『資本主義の断末魔』(ビジネス社)https://x.gd/xIij4 帯に「2024年、ついに日経平均史上最高値を更新か!」と明記。
本シリーズは私が執筆している市場分析レポート『金利・為替・株価特報』=TRIレポートhttps://uekusa-tri.co.jp/report-guide/ の年次版。
年次版TRIレポートで数字を明記して日経平均株価急騰を予測をしたのは2013年、2017年、2023年に続き、2024年が4度目。
過去3回は株価急騰予測が完全的中した。
2023年の市場分析レポート=『金利・為替・株価特報』https://uekusa-tri.co.jp/report-guide/ では、年初に株価急騰を予測したが、5月中旬以降はボックス相場への移行を予測した。31000円から34000円のボックス相場を予測。昨年末に、このボックス相場を上方に抜けて「雲外蒼天相場」を形成すると予測した。
その予測通りの変化が年初から観察されている。
日経平均株価急騰を予測した理由を三つ挙げてきた。
1.企業収益の拡大
2.株価の指標面からの割安さ
3.日本円暴落で外国投資家の日本株投資活発化
日本株価のPER(株価収益率=株価が一株利益の何倍であるかを示す指標)は16倍で、利回り(一株利益が株価の何%かを示す)は6.3%。
10年国債利回りは0.7%で株式利回りが圧倒的に高い。
日本株価は指標面からみて割安なのだ。
政府は株価上昇をアピールするが日本の労働者、消費者、生活者、主権者は騙されてはならない。
日本経済はまったく成長していない。経済成長はまったく実現していない。
それなのになぜ株価が上昇するのか。それは上場企業の利益が拡大しているからである。
経済が成長していないのに企業利益が拡大している。
何が起きているのか。答えは明白だ。労働者の実質賃金が減っているのだ。
アベノミクスはインフレ誘導を推進し、黒田日銀がインフレ推進に突進した。
黒田日銀は失敗したが、2022年に世界的なインフレが起きた。
欧米諸国はインフレ退治に全力を挙げたが日銀だけはインフレ誘導の旗を振り続けた。
その結果、2023年には4%インフレが日本で示現した。
インフレは実質賃金を減少させるから企業にとって利得になる。
裏を返せば労働者にとっては大きな損失になる。
「賃上げ」、「賃上げ」と騒いでいるが労働者実質賃金は減り続けている。
昨年12月統計が発表され、労働者一人当たりの実質賃金は21ヵ月連続で減少した。
1996年から2023年までの27年間に労働者実質賃金は16.7%も減った。
株価上昇は労働者の賃金減少の裏側の現象であることを見落とせない。
昨年10-12月期のGDP統計が発表された。年率0.4%のマイナス成長になった。
昨年7-9月に続き、2四半期連続のマイナス成長。
米国の定義は2四半期連続のマイナス成長を「景気後退」=「リセッション」としている。
日本経済はリセッションに陥ったということ。
政府が株価上昇をアピールしたら、日本国の労働者は団結しなければならない。
株価上昇は労働者の犠牲によってもたらされているのだから。
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