2024年2月3日土曜日

国際司法裁命令 順守を 国連安保理 ガザ情勢緊急会合 停戦求める声相次ぐ

 国際司法裁判所(ICJ)がイスラエルに対し、パレスチナ・ガザでのジェノサイド(集団殺害)を防ぐよう命じたことを受け1月31日、国連安全保障理事会緊急会合を開きました。アルジェリアモザンビーク、マルタなどからICJの命令順守を求めその実行のため停戦が必要だと訴える声が相次いだということです。

 告発国の南アフリカのパンドール外相は31日、ガザにおけるイスラエルの軍事行動に対し、資金提供や後押しをしないことはすべての国の義務だと訴え、ICJはイスラエルの軍事行動がジェノサイド(集団殺害)となり得ることを明確にしたと指摘しました
 また同氏は記者団に対し、先週ICJの判事と会い、「ICJが)ロシアのプーチン大統領に逮捕状を発給できるのに、なぜイスラエルのネタニヤフ首相に対してはできないのかとただしたが、判事はそれに答えなかった」と述べました。
 この件に関しては二重基準の誹りを免れません。

 それとは別に、米国では31日までに少なくとも48都市の議会がパレスチナのガザ地区での停戦やイスラエルによる爆撃の中止を求める決議を可決しています。サンフランシスコやシアトル、アトランタなどの大都市も含まれます。
 昨年10月の世論調査では、バイデンに対するアラプ系米国人の支持率は17にとどまり、21年時点の59から急落しました。各地での決議可決は「11月の大統領選挙を前にバイデン氏にとってますます圧力になっている」としています。

 全米第3の都市シカゴの市議会は31日、ガザ地区での停戦を求める決議案を賛成24、反対23で可決しました。市議による表決では賛否が同数で、議長を兼務するジョンソン市長(民主党)が賛成しました。シカゴでは前日、高校生がデモ行進するなど、市議会に停戦支持決議を上げるよう求める声が強まっていました。イスラエル寄りの政治家や右派団体が妨害する中、若者をはじめとする市民の運動が実を結んだ形です。
 しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。

 関連記事(櫻井ジャーナル1日付
  ICJの判決を無視、ガザでの住民虐殺を続けるイスラエル、アメリカ、イギリス
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国際司法裁命令 順守を 国連安保理 ガザ情勢緊急会合 停戦求める声相次ぐ
                       しんぶん赤旗 2024年2月2日
 【ワシントン=石黒みずほ】国連安全保障理事会は1月31日、国際司法裁判所(ICJ)がイスラエルに対し、パレスチナ・ガザでのジェノサイド(集団殺害)を防ぐよう命じたことを受け、緊急会合を開きました。ICJの命令順守を求め、その実行のため停戦が必要だと訴える声が相次ぎました。

 アルジェリアは、ICJの決定は「停戦を通じてのみ達成される」と強調。毎日250人が犠牲となっているとして「このような非道が受け入れられてはならない」と訴えました。
 モザンビークは、ICJがイスラエルに、ガザで緊急に必要とされる基本的なサービスや人道支援を施すよう命じたことに言及。「緊急に人道停戦を実現する必要がある」と述べました。
 マルタは、イスラエルにガザの人々への肉体的・精神的な危害を防ぐよう命じたICJの決定を「完全かつ迅速で、効果的に履行するよう求める」と述べました。
 イスラエルは「自衛権」を主張し、ガザでの軍事作戦継続を正当化。米国も「ICJは即時停戦を命じていない」などと擁護しました。
 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員がハマスによるイスラエル奇襲に関与した疑惑については、多くの国が速やかな調査を要請。資金拠出の停止を決定した国に対し、「UNRWAの取り組みはガザの数百万人の命綱になっている」(スロベニア)など、資金拠出の継続を訴える声もあがりました。


イスラエル軍地支援停止 南ア「すべての国の義務」
                         しんぶん赤旗 2024年2月2日
 【ヨハネスブルグ=ロイター】南アフリカのパンドール国際関係・協力相(外相)は1月31日、ガザにおけるイスラエルの軍事行動に対し、資金提供や後押しをしないことはすべての国の義務だと訴え、国際司法裁判所ICJ)はイスラエルの軍事行動がジェノサイド(集団殺害)となり得ることを明確にしたと指摘しました。 南アフカは長年、パレスチナの主張を擁護し、パレスチナ人の窮状をアパルトヘイト(人種隔離政策)下の南アの黒人になぞらえてきました。
 パンドール氏は記者団に対し、先週、国際刑事裁判所ICJ)の判事と会い、南アが昨年11月、他国と共同でICJに求めたパレスヂナの状況に関する調査について議論したと表明。「ICJが)ロシアのプーチン大統領に逮捕状を発給できるのに、なぜイスラエルのネタニヤフ首相に対してはできないのかとただしたが、判事はそれに答えなかった」と述べました。 ただ、その議論を通じて、調査がまだ進行中だとの感触を得たと説明しました。


米48都市議会が停戦支持決議
                         しんぶん赤旗 2024年2月2日
 【ワシントン=島田峰隆】ロイター通償によると、米国では1月31日までに少なくとも48都市の議会がパレスチナのガザ地区での停戦やイスラエルによる爆撃の中止を求める決議を可決しています。サンフランシスコやシアトル、アトランタなどの大都市も含まれます。
 昨年11月にミシガン州のデトロイト市議会が可決した停戦支持決議に賛成したサンティアゴロメロ議員は、決議の可決は停戦を拒むバイデン大統領や民主党指導部へのいら立ちの反映だと指摘。「われわれの声に耳を傾ける指導者を求めている。民主党は若者たちの声を聞くべきだ」と強調しました。
 ロイター通信は各地での決議可決は「11月の大統領選挙を前にバイデン氏にとってますます圧力になっている」としています。
 決議を可決した都市の多くは大統領週で民主党が勝利することの多い州にありますが、少なくとも14都市はミシガン州など週挙のたぴに勝利政党が変わる激戦州にあります。
 昨年10月の世論調査では、バイデン氏に対するアラプ系米国人の支持率は17にとどまり、2021年時点の59から急落しました。

シカゴ市議会 若者らの運動実る
                         しんぶん赤旗 2024年2月2日
【ワシントン=島田峰隆】米中西部イリノイ州シカゴの市議会は1月31日、イスラエルの軍事侵攻を受けるパレスチナのガザ地区での停戦を求める決議案を賛成24、反対23で可決しました。市議による表決では賛否が同数となり、議長を兼務するジョンソン市長(民主党)が賛成しました。シカゴは米国第3の都市。ガザ停戦支持決議を上げた地方自治体の中では最大規模です。
 シカゴでは前日、高校生がデモ行進するなど、市議会に停戦支持決議を上げるよう求める声が強まっていました。イスラエル寄りの政治家や右派団体が妨害する中、若者をはじめとする市民の運動が実を結んだ形です。
 決議は、即時の人道的停戦を求めた昨年12月の国連総会決議に支持を表明。ガザで永続する停戦と人道支援の強化、すべてめ人質の即時・無条件の解放を求めています。
 決議の共同提案者となったラスパタ議員は採決にあたり、イスラム組織ハマスによる暴力とイスラエルによるガザ住民に対する暴力の双方を非難すると強調。「停戦こそが暴力から抜け出す道だ。われわれは希望と連帯の気持ちを持って採決に臨む」と述べました。
 同決議の採択を受けて、米国内に住むパレスチナ人などでつくる団体「米国パレスチナ人コミュニティー・ネットワーク」は「この勝利を力にバイデン大統領に対してジェノサ,イド(集団殺害)の支援をやめるよう求め続ける」と表明しました