アルジェリアが国連安保理に提出した「人道目的の即時停戦や人道支援の強化などを求める決議案」に対して21日未明、米国は4度目の拒否権を行使し否決しました。仮にも大国である米国がこのように公然とガザにおける虐殺を認めるのは全く理解しがたいことです。
22日、国際NGO「国境なき医師団(MSF)」のクリストファー・ロックイヤー事務局長は、ガザ情勢に関する国連安保理の公開会合で、「米政府が『即時の人道的停戦』を求める安保理決議案に拒否権を行使したことについて、「愕然とした」と批判し、「パレスチナのガザにはもはや医療システムがない。イスラエル軍は病院を次々と破壊した」「医療への攻撃は人間性への攻撃だ」として、国際人道法の順守と即時停戦を求めました。
22日の安保理の公開会合で、フランスは「イスラエルは軍事作戦をやめねばならない」として「すべての民間人の保護と支援物資の搬入を保障する緊急の停戦」を求めました。
スロベニアは「国境なき医師団」の報告に触れ、「涙が出るような報告を聞いて心を動かされないなら、安保理は一体どんな組織になってしまったのか」と述べ、安保理が「即時の人道的停戦」を求める決議案を採択できなかったことを批判しました。
シエラレオネは即時停戦を要求し、スイスは、占領者であるイスラエルにはジュネープ条約に基づいて「ガザ住民に食料や医薬品を提供する義務がある」と指摘しました。
国連機関や人道支援を行うNGOの統括組織「機関間常設委員会」IASCは21日、イスラエルが侵攻を続けるパレスチナ自治区ガザの人道状況が壊滅的だとして、即時停戦を求める声明を発表しました。
声明は、これまでにガザの医療機関は370回以上攻撃を受けており、入院患者を受け入れる36病院のうち12病院のみがかろうじて部分的に機能している状態だと指摘し、「人口密集地での暴力拡大は大規模な犠牲者を出し、すでに崩壊寸前の人道支援に致命的打撃を与えることになる」と警鐘を鳴らしました。
21日・22日にブラジル・リオデジャネイロで開かれていたG20外相会合は、イスラエル・パレスチナ紛争で「2国家解決」が和平の唯ーの道であることで参加国がほぼ一致しました。
しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
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イスラエル 病院次々破壊「人間性への攻撃」と非難
ガザで活動の国境なき医師団
しんぶん赤旗 2024年2月24日
安保理
【ワシントン=島田峰隆」国際NGO「国境なき医師団(MSF)」のクリストファー・ロックイヤー事務局長は22日、「パレスチナのガザにはもはや医療システムがない。イズラエル軍は病院を次々と破壊した」と批判し、即時停戦を求めました。同日開かれたガザ情勢に関する国連安全保璋理事会の公開会合で報告しました。
ロックイヤー氏によると、2日前にはMSFの職員とその家族が身を寄せていたガザ南部ハンユニスの民家がイスラエル軍による砲撃を受けました。砲弾は壁を突き抜けて爆発し、家は燃え上がり、2人が死亡、6人が負傷しました。負傷者6人中5人は女性と子どもでした。
攻撃された民家の場所は事前にイスラエル側に通知し、MSFの旗を立てていました。ロックイヤー氏はこうした攻撃は日常茶飯事であり、「意図的なものかあるいは向こう見ずな無能さの兆候だ」と非難しました。
イスラエル軍の攻撃でMSFの職員が医療施設から避難を余儀なくされています。病院自体も破壊されてベッドや医薬品が不足しています。止血用ガーゼが不足し、医師は使用済みのものを洗浄、消毒し、次の患者に使っています。ロックイヤー氏は「医療への攻撃は人間性への攻撃だ」として、国際人道法の順守を求めました。
また.「ガザ住民は〝実行可能な″時ではなく、いま停戦を必要としている」と強調。米政府が「即時の人道的停戦」を求める安保理決議案に拒否権を行使したことについて「愕然(がくぜん)とした」と批判しました。
同じく安保理に報告したウェネスランド国連特使(中東和平担当)は、イスラエルが表明したガザ南部ラファヘの軍事作戦に「強い懸念」を示しました。「すべての人質の即時かつ無条件解放と人道的停戦を改めて求める」と述べました。
ラファ侵攻破滅招く 安保理 反対表明相次ぐ
しんぶん赤旗 2024年2月24日
【ワシントン=島田峰隆」22日にニューヨークの国連本部で開かれたパレスチナのガザ情勢に関する国連安全保障理事会の公開会合では、イスラエルが検討するガザ南部ラファヘの地上侵攻に反対を表明し、即時停戦を求める発言が続きました。
フランスはガザでの人道状況に懸念を示し、「イスラエルは軍事作戦をやめねばならない」と強調。「すべての民間人の保護と支援物資の搬入を保障する緊急の停戦」を求めました。
また「ラファヘの攻撃は新たな規模の人道的破滅を招くだけだ」と反対を表明しました。ガザ住民の強制退去にも反対するとし、パレスチナ国家の樹立を認める2国家解決の実現を呼び掛けました。
スロベニアは国際NGO「国境なき医師団」の報告に触れ、「涙が出るような報告を聞いて心を動かされないなら、安保理は一体どんな組織になってしまったのか」と強調。安保理が「即時の人道的停戦」を求める決議案を採択できなかったことを批判しました。
シエラレオネは「ラファヘの攻撃を含めたガザでの爆撃と軍事作戦は人道状況を悪化させる」と指摘し、即時停戦を要求しました。
スイスは、占領者であるイスラエルにはジュネープ条約に基づいて「ガザ住民に食料や医薬品を提供する義務がある」と指摘しました。ラファへの軍事攻撃は 「人道上の破滅的な結果をもたらす」と懸念を表明しました。
米国はイスラム組織ハマスによる人質拘束が障害になっているとし、「人質の解放なしにガザでの持続可能な停戦はない」と述べました。
即時停戦求める 国連・NGO共同声明
しんぶん赤旗 2024年2月24日
【ワシントン=石黒みずほ】国連機関や人道支援を行うNGOの統括組織「機関間常設委員会」(IASC)は21日、イスラエルが侵攻を続けるパレスチナ自治区ガザの人道状況が壊滅的だとして、即時停戦を求める声明を発表しました。
国連総会が創設したIASCには国連人道問題調整事務所(OCHA)、国連児童基金(ユニセフ)、世界食糧計画(WFP)、世界保健機肩(WHO)などが参加しています。
声明は、これまでにガザの医療機関は370回以上攻撃を受けており、入院患者を受け入れる36病院のうち12病院のみがかろうじて部分的に機能している状態だと指摘。「病気がはぴこり、基本的なインフラが破壊されている。病院は戦場と化し、多くの子どもたちが日々心の傷を負っている」と述べました。
遊難民が押し寄せるガザ最南部ラファヘの侵攻をイスラエルが計画していることについて、「人口密集地での暴力拡大は大規模な犠牲者を出し、すでに崩壊寸前の人道支援に致命的打撃を与えることになる」と警鐘を鳴らしました。
IASCは
▽民間人やインフラの保護
▽支援配給のアクセスを妨げず安全を保証すること
▽人道支援の主力となっている国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が必要な
資金を確保すること
ーなどを要求。イスラエルに国際人道法や人権法を順守するよう求めました。
「2国家解決」和平の道 G20外相会合 参加国で一致
しんぶん赤旗 2024年2月24日
ブラジル・リオデジャネイロで開かれていた20カ国・地域(G20)外相会合は22日閉幕しました。議長国ブラジルのビエイラ外相は記者会見で、イスラエル・パレスチナ紛争で「2国家解決」が和平の唯ーの道であることで参加国がほぼ一致したと述べました。ロイター通信が伝えました。
ビエイラ氏は、パレスチナ自治区ガザでのイスラエルの軍事攻撃についての懸念や、紛争が中東全域に拡大する危険が主要な議題となったと表明。ガザでの停戦と人道支援物資の搬入を求める声が出され、イスラエルがガザ南部ラファで計画している軍事攻撃に対し、「多くの」諸国が批判したことを明らかにしました。
欧州連合(EU)のポレル外相は記者団に対し、「2国家解決」には「すべての国が賛成した。反対意見は聞かなかった。2国家解決を求める強い要求があった」と指摘。ガザの危機はパレスチナのヨルダン川西岸にも広がり、イスラエルの入植者がパレスチナ市民を攻撃していると述べました。
イスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナ国家樹立を含む「2国家解決」に一貫して反対しています。