安倍首相の私的懇談会である安保法制懇の北岡座長代理が、「あるべき新しい憲法解釈」と題した文書をまとめ、報告書はこの文書の内容に沿って策定されるということです。
文書は、集団的自衛権の行使はむしろ紛争の可能性を未然に減らし、軍備のレベルを低く抑えることを可能にすると述べ、従来の内閣法制局の解釈は誤りで、その行使に憲法上の制約はなく、また行動に地理的な限定を設けることは不適切だとしています。
集団的自衛権の行使は認められないとする内閣法制局の解釈が「誤り」と述べるなどは論外ですが、紛争の可能性を減らし、軍備のレベルを下げられるというのも一向に説得力がありません。それは事実ではなく、「集団的自衛権の行使に踏み切れば日本の自衛隊は米軍の(無給の)傭兵になるだけ」という元外務省官僚の孫崎 享氏の主張の方が遥かに説得力を持っています。
米軍と一緒に海外の「紛争」のために派兵するようなことになれば、莫大な軍事費(装備+派遣費など)が必要になること一つを考えてみても、「軍備のレベル云々」は欺瞞です。
こうした首相の私的懇談会の報告を、あたかも第三者の見解として政策の中に取り込もうとする策動は非常に危険です。
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集団的自衛権の行使容認 報告書に
NHK NEWS WEB 2013年11月15日
集団的自衛権の行使を巡る政府の有識者懇談会の北岡伸一座長代理は、報告書の策定に向けて、集団的自衛権の行使に憲法上の制約はないとして、憲法改正ではなく憲法解釈の変更によって行使を容認する内容の文書を取りまとめました。
報告書はこの文書の内容に沿って策定される見通しです。
「あるべき新しい憲法解釈」と題されたこの文書は、報告書の策定に中心的な役割を果たす北岡座長代理がまとめ、13日の有識者懇談会に示されました。
文書は、集団的自衛権の行使は自衛権行使の機会を増やすのではなく、むしろ紛争の可能性を未然に減らし、個別的自衛権だけで一国で安全を守るより、集団的自衛権は軍備のレベルを低く抑えることを可能にすると指摘しています。そのうえで、集団的自衛権の行使は認められないとする従来の内閣法制局の解釈は誤りで、その行使に憲法上の制約はないと結論づけています。
そして、集団的自衛権を行使する自衛隊の活動範囲について、地理的な限定を設けることは不適切だとしています。
ただ一方で、行使に歯止めをかけるため、要件を密接な関係にある外国が武力攻撃を受け、その国から明確な要請がある場合とし、行使については、内閣として意思決定し、その場合でも国会の承認を得る必要があるとしています。
さらに、文書は個別的自衛権の行使は憲法解釈を固めることで認められてきたと指摘し、集団的自衛権の行使も憲法改正ではなく、憲法解釈の変更によって容認できるとしています。
この文書は、有識者懇談会でのこれまでの議論を踏まえてまとめられており、報告書は文書の内容に沿って策定される見通しです。